NHKで放送していた『仕事の流儀』という番組を観た。
話の内容は特殊なシミ抜きで全国から依頼を受けるクリーニング業を
東京麻布で営む古田さんという方の話。
若い頃に集団就職で上京し、クリーニング店に勤めた。
お客さんから受け取ったシャツが1枚無くなって、その店の主人から
『質屋に売ったんだろう』と言われて、居た堪れなくなってその店を辞めたそうだ。
古田さんが言う
『殴られたり、蹴られたりは我慢できても信用されないことは我慢できなかった』
その気持ちは、凄く解る気がした。
その後、別のクリーニング店に勤めた。
その店の社長と出会ったのが運命の出会いだった。
特殊なシミ抜きの修業をして、その社長から信頼されて、
他の人がやらない難しい作業を一手に引き受けた。
しかしその後、やはり辛い事が起きた。
クリーニングを終えた品物を届け先の玄関から訪ねて言ったら
『洗濯屋のくせに表から入るな・・・・・』と言われた。
そして、外国のクリーニングを見てみたくなり渡米。
ビバリーヒルズの高級住宅街に有るセレブが着る高級品を専門に扱う
洗濯屋を見て、そのセレブ達から尊敬された姿に刺激されたと言う。
帰国後、その思いを理解した社長から店を一軒任されたが、
本体の利益まで圧迫するような赤字続きで辞めようかとも思ったらしいが、
その社長から
『君は間違っていない・・・信じる道を行け 』と言われ、その店を譲られた。
独立後は、必死の努力を重ね・・・・・ここから先は良いでしょう。
運命的な人との出会いと、本人の努力によってシミ抜きと言う
地味だけど誰にでも出来る仕事ではない道を極めた古田氏に拍手!
古田氏の言葉をいくつかメモしたのでご紹介します。
☆技術は感性:
お客さんの喜ぶ姿を、どれだけ想像できるか?と言った事でしょうね。良い言葉です。
☆出来ないと言いたくない
これ、解ります。
☆楽なものばかりやっていたら存在価値がなくなる
全く同じ事を、私も弟子に言い続けています。
☆仕事は誇りをかけた闘い
怖さと向き合う覚悟、怖さと向き合ってこそ職人
実際に辛い経験を体験しないとわからないとも言う。
本当にそう思います。
そして古田氏は言う。『誇りをもてる仕事を持つことが幸せ。』
僕もそう思って仕事をしてきました。
が、最近はそれを踏みにじられる事が多くて・・・・
そんな古田さんの背中を見て育ってきた長男が、後を任せられるようです。
良い番組を観て、観終わった後に感動して涙が出てきました。