『やんちゃジジイ・ゆうちゃん』のイカすセカンドライフ

我儘で『やんちゃ』な爺さんの目標は、
周りに笑顔を振りまいて、楽しくセカンドライフを生きる事。

僕の『仁義』

2014年05月14日 | Weblog

今日は、長い付き合いの某高圧電源メーカーの営業担当責任者が会社を訪ねて来て
くれた。
敢えて名前は出しませんが、科学技術の分野で実績のある電源専門メーカーなので、
ちょっと調べれば察しがつく方も多いでしょう。

訪ねて来てくれた東京営業のトップは、かれこれ20年以上の付き合いになる。
最初は小型の電源を購入していた時の担当者だった。
入社したての営業マンだった彼は、まだ知識も浅く、技術的な難しい話は出来なかったけれど、
とにかく一生懸命に売り込みに来る姿を見て、僕は好感を抱いていた。

数年後のある時、電源の設計で技術的なアドバイスを求められた。
内容は何だったか・・・・?良く覚えていないのだけれど、とにかく製造上の問題を
解決すべく方策を真面目に訊いてきたので、僕はちょっとしたアドバイスをした。
それを採用して、そのメーカーの製品の歩留まり(不良品の割合)が格段に良くなった。

その後、今度はそのメーカーの電源を組み込んだ社内製の製品に問題が起きた。
世界中に販売してしまった装置に組み込まれている電源が故障するのは時間の問題だった。
その問題が発覚した時は、設計担当者は退職した後・・・・・
僕が上司から拝み倒されて、問題解決に当たった。
その時は、自分の設計人生の中で一番の大仕事だった超高圧電源の試作中。

仕方がなく、その実験の合間を見て問題点の検証をした。
結論は、使ってはいけない環境に、そのメーカーの電源を組み込んでしまった設計ミス。
その問題を解決するには、メーカーを変更してシャーシから全て作り直すか、
同じメーカーに、環境を変えて使える、同じ大きさの物を作ってもらうしかない。

僕はまず、別のメーカーの物を選択。しかし上手く動かない上に値段が3倍以上する。
それで、彼のメーカーに無理を言って短期間で製作して貰えないかと頼んだ。
普通なら仕様書を取り交わして、進めるべく仕事なのだが、そんな事をしていたら
数ヶ月費やす上に、その間に不良品をどんどん出荷されてしまうだけでなく、
出荷した装置が故障して保障問題などに発展したら、多大な損失を被ってしまう。

その時、メーカーの担当者は技術部門に頼んで2週間で試作品を作ってくれた。
それが上手く行き、約100台分の電源を発注。
僕はリコールの手続きをして、世界中の装置に作り直した電源を納めて、問題が終息した。
担当者が動いてくれたのは、長年の付き合いで育んだ『僕との信頼関係』だけだった。

それから10年以上が経過。
今の子会社に来る前にも同じような問題が起きて、僕を引っ張ってくれた元社長から、
異動前に『何とか打開策を考えてくれ』と頼まれ、このメーカーに無理を聞いてもらって、
窮地を脱した事もある。
その時の窓口になってくれたのが10年以上ご無沙汰だった彼だった。
お互いに名刺を交換して、相手に気がついたほどお互い歳を重ねていた。

僕は彼に3回助けられている。
今回の問題も、蚊帳の外に押しやられている僕は知ったこっちゃないんだけど、
このメーカーの評判を悪く言う奴が居て、どうやら政治的に他メーカーに
電源の発注を移管するつもりらしい。

会社としても恩義があるのに、仇で返すような事を黙って見ているのが嫌なので
このメーカーに言われなき汚名を返上させようと、阿呆どもの知らないところで動こうと思う。
これは僕の『仁義』。

そして弟子に今後の全てを引き継がせる事をメーカーに伝えて、面会は終わり。
弟子は、僕とメーカーの深い繋がりの歴史を彼から聞き、同時にお互いの強い信頼関係を知り
『あまりにも経験値が違いすぎる』と溜息混じりに感心していたのでした。

コメント
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