映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

夜叉  高倉健

2009-04-15 20:10:51 | 映画(日本 昭和49~63年)
高倉健は、ヤクザ映画を卒業した後も、元ヤクザの役が多い。足を洗ってもその世界から抜け切れない役は彼以外には考えられない。降旗監督とのコンビは絶妙、独特の雰囲気がいい。

高倉健は北陸若狭湾に面する漁村で妻いしだあゆみと暮らしている。彼は元は夜叉の修治といわれたヤクザである。今は足を洗って15年静かに漁師として暮らしている。
その村に田中裕子がやってきて、居酒屋蛍をはじめる。高倉の仲間田中邦衛をはじめ地元の漁師たちが通いつめている。そこに田中の情夫ビートたけしが住み始める。たけしは飲みにきた地元の漁師たちと麻雀をして、遊びにきた漁師たちに覚せい剤を横流しにして一儲けしている。田中はそれをやめさせようとして覚せい剤を捨ててしまう。怒ったたけしは包丁を振り回して大暴れ。止めようとした高倉健がたけしに背中を切りつけられたところ、背中には美しい刺青が入ってた。。。。。

漁村を取り巻く風景が美しい。荒くれる波、大漁の旗を掲げている漁船、激しく降る雪と雪景色の海岸潮のにおいがする素敵な画面である。そのバックにはジャジーな曲が流れる。演歌ではない。その響きが映像にぴったり合っている。しみじみと情感が高まる。特に高倉と田中が雪の中戯れる映像に。。




高倉健は当時54歳、一番良かった時代である。立ち回りもかっこいい。
田中裕子も一番美しかった時代ではなかろうか。美人ではないが、不思議な色気をぷんぷんさせる。居酒屋のママ役、こんな素敵なママがいるなら毎日通ってしまいたくなるようなオーラを感じさせる。当時の彼女に沢田研二が夢中になるのもわかる。
ビートたけしは本格的に俳優業や映画に足を突っ込んでいないころ。演技は鋭い。彼もチンピラ的なヤクザの役は良く似合う。

後半の脚本の展開がちょっと不自然で、無理やりストーリーを作っている印象がある。しかし、全体に流れる高倉、降旗コンビの雰囲気が良いのでそれを補っている。映像のコンテの選択がよく感心した。荒波の美しさをこれほどまでに表現しているのは他には「ライアンの娘」くらいで非常に素晴らしい。
コメント
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