映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ローマ法王の休日」

2013-02-20 17:01:19 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「ローマ法王の休日」は昨年公開の作品
「息子の部屋」のナンニ・モレッティ監督が描くハートフルドラマだ。

前ローマ法王が亡くなり、次の法王を投票で選ぶことになった。選出されたのは予想外の人物だった。いざ民衆にバチカンで発表しようとしたら、新法王は失踪してしまう。その顛末を描く。



最近ニュースで現在のローマ教皇が高齢で勇退したい旨の話が伝えられた。亡くなって交代でなく、勇退というのは600年ぶりだそうだ。その昔世界史で「教皇のバビロン捕囚~教会大分裂」は習った。フランスのフィリップ4世が仕掛けて、教皇ボニファティウス8世は失意のまま亡くなった話はあまりに有名だ。アヴィニヨンにもう一つの教皇がいるようになった。教皇に皇帝が謝りに行ったという「カノッサの屈辱」のように教皇の権力が絶大というわけではなかったのだ。その時代、決着をつけたコンスタンツ公会議を前にグレゴリウス12世が退位させられた。それ以来だ。まさにそんな話がある時期に昨年公開の映画を見た。

前のローマ法王が亡くなった。新しい法王を選出するために各国からヴァチカンへ枢機卿たちが招集される。システィーナ礼拝堂で投票が行われるが、枢機卿たちは心の内では重責を担う法王に選ばれたくないと一様に思っていた。下馬評で誰がということでマスコミも騒いでいた。投票の結果、メルヴィル(ミシェル・ピッコリ)が選出される。まったく予想外であった。まわりに祝福されるが心が晴れない。
すでに聖ペドロ広場には新しい法王の就任を祝いにきた人々で溢れかえっていた。バルコニーから就任の演説が控えていたが、メルヴィルは重圧から拒否する。

そして車で移動する際、目を離したすきに新法王が側近から逃げ出してしまうのだ。事務局はそのことが公にならないよう画策した。懸命に街中を捜索する。一方ローマの街に逃げ込んだメルヴィルは、ローマの人々と触れ合う中今後のことを考えるという話だ。

誰でも重責を担うときは、ぶるってしまうものだ。ローマ教皇の場合は世界中で12億人ものカトリック信者のトップである。その重圧はつらいものであろう。現教皇ベネディクトゥス16世が退位したいという気持ちもわかる。
この映画では選出されたメルヴィルはビビって逃げだした。しかし、周りはそうは言えない。
すぐ出てこれないと側近がうそを言う。しかし、それもずっとというわけにはいかない。困ったものだ。
コメディの一種、短編小説タッチでまあ普通の小品でした。

コメント
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映画「ゼロ・ダーク・サーティ」 キャスリン・ビグロー&ジェシカ・チャステイン

2013-02-20 06:34:57 | 映画(自分好みベスト100)
映画「ゼロダークサーティ」を劇場で見た。
アッパレ!という感じ、傑作だ。
自分にとって昨年から今年にかけての№1だ。

2時間30分を超える長時間が全く長く感じられなかった。緊張の場面が次から次へと続く。
オスカー作品賞候補「ライフオブパイ」や「アルゴ」と比べれば明らかにこの映画のほうが上
「アルゴ」のラストはドキドキ物だと言うけれど、この映画のクライマックスには全く及ばない。
この緊迫感は凄い。作品賞の本命ではないだろうか?(「リンカーン」見ていないけど)


2001年9月11日のテロ事件については映像はない。その日に交わされる会話だけが流れる。
2003年に時間が移る。
CIAは情報分析官マヤをパキスタンに送り込む。ビンラディンに繋がりがありそうな人物を拷問にかけて、関係者の名前を吐き出させようとする。最初は目をそむける彼女だったが、次第に慣れてくる。
サウジアラビアのテロ後、捕虜はビンラティンの関係者の名前をマヤに告げる。

そのあともマリオットホテルやタイムズスクウェアでのテロが続く。米国内のイライラは募るばかりだ。
捜査は行き詰まっていく中、大金を引換にビンラディンの情報を売るというヨルダン人が現れる。同僚のCIA分析官ジェシカが担当としてアフガニスタンの基地へ赴いた。砂漠の中一台の自動車が来る。いよいよかと期待したCIA職員に対して意外な展開が。。
自爆テロが仕掛けられていたのだ。ジェシカ含め、CIA局員7名が犠牲になってしまう。

捕虜への虐待が問題視され、CIAの拷問が批判されている場面もある。オバマが拷問をしないと選挙の政見放送で話すシーンも出てくる。内部告発で直属の上司が首になったりする場面もある。
そんな中ずいぶん前に得た情報をもとに一つの推理がされる。

そして最終に向かう。
実行部隊は喧嘩が大好きに見えるゴツイ男たちだ。主人公も会う。
男たちも本当にビンラディンか疑いを持っている。
ましてや女分析官のいうこと本当かな?と疑っている。
それでも決行された。緊迫感のあるシーンが始まる。


2001年の911の時は翌日香港に行くので、家にいた。テレビを付けたら世界貿易センタービルが火事になっているという映像だった。高層ビルでも火事になるのかな?と思っていたら二機目の飛行機がビルに突入したのだ。「何それ?!」と驚き、翌朝早いのにずっと映像にくぎ付けになっていた。
ビルが崩壊した時はあまりのショックに呆然とした。今も鮮烈に記憶に残る。

ビンラディンが住んでいた住居が捕獲後映し出されて、かなり大きい家のなのにどうしてわからなかったんだろうと思っていた。でもこの映画を見て、パキスタンというところがかなり特殊な場所だということがわかった。
白人がウロウロしているだけで目立つのである。しかも現地の人たちは露骨に外国人が歩くのを嫌がる。特にアメリカ嫌いは極端だ。
それでも現地職員が情報を見つけ出そうと、手を変え品を変えあらゆることをやる。
発見までの軌跡を見ているのも面白いし、いったん発見したあとのCIA内部の決断に向けての動き、ホワイトハウスの説得についての動きもなかなか興味深いものであった。


この主人公の存在は知らなかった。高卒でCIAに入り
2010年段階で勤めて12年と言っていたから2003年に分析官になったときは23歳くらいか?
そしてCIAでビンラディン及びアルカイダについて一番詳しい分析官になる。
恋人はもとより、友人もいない。慕ってくる後輩が食事に誘っても、外は危ないと断る。
当然アルカイダ側からマークされているので、外出しただけで銃撃を受けたりする。
こんな危険な業務なのに、情熱的に仕事に取り組んでいる。
まあ凄い人だ。
それを演じるジェシカ・チャステインもお見事だ。
ビンラディンが住んでいるという明らかな証拠がないと作戦決行に踏み切らない上司たちに絡むシーンは
迫力がある。ゴールデングローブ賞を受賞したが、オスカー主演女優賞についてもライバルの顔ぶれから見て最有力と言って良いんじゃないだろうか

キャスリン・ビグロー監督は「ハートロッカー」でオスカー監督賞を受賞した。元夫ジェームス・キャメロン「アバター」を抑えての快挙だった。
あの映画も現代的戦争映画だ。ただ、自分としてはそんなに良いとは思えなかった。
爆弾処理の重要性が理解できたが、途中退屈だった気がする。
その一方でこの映画はずっと緊張感を保っていられた。映画づくりには膨大な資料収集が必要で、本作を完成させるためものすごい取材活動をしたのが見ていてよくわかる。ましてや国家機密にかかわるCIAへの取材も難しかったろう。CIAに関する映画というと、とても人間業とは思えない仕事をするエージェントを対象にした物が多い。ここでは地味に活動する分析官を対象とした。よりリアルな感覚がある。
それでも、爆弾の爆発する場面が次から次へと出てくる。虐待場面もむごいが、とても女流監督と思えぬ演出だ。

(気になったクウェートのシーン)
ビンラディンの腹心の居場所を探るのにクウェートに行くシーンがある。
そのシーンのときクウェートの高級クラブが映し出される。
女性が接待するような店だ。そこにつく女性の美人度にビックリした。
そこで重要人物から腹心の連絡先を知るために、ランボルギーニをプレゼントしてしまう。
すごい報酬だ。
日本は裏金にうるさい。でも凄い情報を手に入れるにはこのくらいのことが必要なのであろう。

早くも今年の№1が決まってしまったような心境だ。
コメント (2)
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