映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「縞模様のパジャマの少年」

2013-02-11 20:44:41 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
映画「縞模様のパジャマの少年」は第二次大戦中のドイツ軍将校の8歳の息子と同じ年のユダヤ人の少年との友情を描いたドラマだ。

ユダヤ人強制収容所を監督する将校の息子が、有刺鉄線の先にいる収容所内の少年と仲良くなるという設定だ。こんなことありえるのかな?と思いながら、映像を追った。縞模様のパジャマとは、収容所内でユダヤ人たちが着る囚人服のことだ。
無邪気な少年2人は好演だけど、ドイツ軍将校が英語をしゃべるというのはちょっと違和感がある。
そののち「ヒューゴの不思議な発明」で主演を務めるエイサ・バターフィールドの出世作だ。

第二次大戦下のドイツ。
ナチス将校である主人公の父が昇進すると同時に、家族4人はベルリンを離れ郊外へむかった。引越した先は人里離れた大きな屋敷である。その屋敷には軍の関係者が大勢出入りをしており、多くのメイドがいる中にはユダヤ人の使用人もいた。

8歳のブルーノは、縞模様のパジャマを着ている人たちが窓から遠くに見える農場で働いているのに気づいた。昼間に何でパジャマを着るのか不思議に思っていた。裏庭へ出るのを禁じられ、遊び相手もなく退屈していた。学校もないので家庭教師のおじさんがきて姉とともに教えてくれた。そこではドイツ民族の優位性とユダヤ差別も語られていた。
探検好きの少年は裏庭を探索していくと“農場”にたどり着いた。そこは向こう側と有刺鉄線で遮られていた。鉄線の向こうにはパジャマ姿の同い年の少年シュム-ルがいた。話を聞くと自分と同じ8歳だ。引越してから友人のいない主人公はうれしくなった。しかし、彼はお腹がすいているようだ。パンをこっそり家から持ってきて、彼に食べさせた。おいしそうに食べるシュムールを見て何度も寄るようになる。

ある日、主人公がダイニングに行くとシュムールがいるではないか。どうしたのかと聞くと、軍の人間からグラスを磨くように指示されきたのであった。いつものようにお腹をすかしているシュムールに主人公が食べ物を与えていたら、軍人が突然入ってきた。

ユダヤ人の分際でこの家の食べ物に手を出すとは何事かと烈火のごとく怒られた。その時軍人から「何でか」と聞かれ、シュムールは黙っていた。軍人にこの子を知っているかと聞かれ、横にいた主人公は怖くなって「この子のことは知らない」と思わず言ってしまった。少年は連れだされた。

その後主人公は有刺鉄線の前に何度もいったけど、彼は来なかった。どうしたのかと心配していた。しばらくたった後、シュム-ルがいた。シュム-ルの顔はひどく痛めつけられた跡があったが。。。

(加害者の立場から描いた作品)
ホロコーストのことを描いている映画はいくつかある。それぞれが収容所内で被害者が残虐行為を受けることだけが語られるのに対して、最後に近づくまで収容所の外で動いている話だ。被害者でなく加害者の視点から見た映画と言ってもいい。主人公の父母は絵にかいたような模範的なドイツ人夫婦である。母親も収容所で何が行われているのかを具体的には知らない。夫も良いパパを演じている。それが収容所の中ではむごいことをする。恐ろしい話だ。

(ホロコーストの「責任の分散」)
経営学の本で読んだ話だけど、ナチスのホロコーストに関しては、誰かが責任者だったらとてもうまくいかなかった。いわゆる「責任の分散」が最もうまくいった例として取り上げられていたのだ。何百万人というユダヤ人を殺したあの仕組みは、誰かが責任者だったというわけでなく「名簿をつくるだけ」「部屋に連れて行っただけ」「ボタンを押しただけ」のように担当を分散し、誰もが「自分の責任じゃない」状態をつくりだしたから、あれほどの大虐殺ができたと言われている。
あまりに凄い話で驚いたものだ。

この映画は当然フィクションなんだけど、この主人公の父親は実際どうなんだろうか?



(映画に対する疑問)
主人公は8歳である。少しだけ疑問なのは、子供は無邪気と言っても、ここまでまわりで起こることに対して無知かな?ということ。それと、ユダヤ人の子供も一度裏切られた少年ともう一度会おうとするのかな?ということ。有刺鉄線の境のところに監視の人がいないのかな?こんなに容易に話ができるはずはないと思うんだけどなあ。この映画ちょっと不自然に思うことは多かった。

そんなこと思っていて、アレどうなっちゃうんだろうなあ?と思いつつ進んでいく方向は。。。。
少しだけビックリだ。

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映画「フェノミナン」 ジョン・トラボルタ

2013-02-11 20:44:22 | 映画(洋画 99年以前)
映画「フェノミナン」はジョントラボルタ主演の1996年の作品だ。
一度見たことがあった。
頭が急によくなり超能力者のようになるトラボルタの話と覚えていた。ファンタジー映画のような要素をもつが基本はラブストーリー、近い路線でいえば「グリーンマイル」のような余韻を残す素敵な映画だ。カイラ・セジウィック崖っぷちの男で出ているのを見てふと思い出して見てみた。

カリフォルニア州の美しい田舎町
自動車整備の仕事をするジョージ(ジョン・トラボルタ)は、気さくな人気者だ。独身の彼の意中の女性は、家具アーティストのレイス(カイラ・セジウィック)だ。子持ちの彼女は相手にしてくれない。
行きつけのバーで37歳の誕生パーティが開かれた夜。不思議な光を見たジョージは、急に頭が冴え出す。突如天才に生まれ変わるのだ。毎日何冊もの本を読み、すべて理解する。
そして次々に画期的なアイディアを披露する。

ある日地震を見事予知したという情報が伝わり、翌日地震学の権威リンゴールド博士が彼を訪ねてきた。ちょうどその時医師ドク(ロバート・デュヴァル)から呼び出しがある。急病人がポルトガル語しか話せないので、通訳をしてほしいと。主人公はポルトガル語ができるわけでない。移動の車中、教則本を見てわずか20分でポルトガル語をマスターしたジョージは、食中毒で苦しむポルトガル人の老人と会話をして病状をきく。横にいた地震の博士は主人公の能力に唖然とする。老人から同じ症状で苦しむ行方不明の孫を捜してほしいと頼まれる。まわりが懸命に探すなかでジョージは念力で居所を突き止め、少年は無事に保護された。

少年の母ミカエラがメイドの仕事を探していると聞いたジョージは、独身の親友ネイト(フォレスト・ウィテカー)に彼女を紹介すると、2人はたちまち恋に落ちた。
ジョージの不思議な能力を知った町の人々は彼を恐れ始める。アマチュア無線好きの親友ネイトが聴いているのを見て軍の暗号を解読したのが元でFBIに拘束されてしまう。監視を付けられたジョージは、孤独と不安から家に閉じこもる。そんな時、レイスが彼を訪ね、伸び放題の髪を切り、髭を剃ってくれた。彼女の愛で勇気を取り戻した。そして間もなく、再びあの光を見て倒れたが。。。

ジョントラボルタは矢沢永吉と並んで、自分にとって永遠のヒーローだ。
78年のサタデイナイトフィーバーは何より衝撃だった。そこでの彼はニューヨークでもブルックリンに住むペンキ職人だ。週末になるとさっそうとディスコのフロアに登場するけれど、いつもは同じブルックリンの仲間と遊び呆けるだけ。その彼がマンハッタンで働く女性に憧れ、彼女にパートナーになるように申し出して、ダンス大会に出る話だった。

この映画「フェノミナン」でのプロフィルも基本は一緒である。アッパー層というより労働者や田舎の男を演じる方が、トラボルタの味が出てくると思う。ここでは最初にトラボルタの起用が決まって、逆にカリフォルニア州の美しい田舎町がロケ地に選ばれたのではないだろうか。良い街で、人もよさそうだ。
その街がトラボルタに人知を超えた能力が備わり一変してしまう。
このところ天才が出てくる映画をずいぶんと見ている。
「脳男」もある意味そうだ。
でもここでのトラボルタはやさしい。天才になっても鋭角的な態度を示さない。好感が持てる。
それなので、最終に向かってせつない思いを感じた。

そういう映画の雰囲気を支えていたのが、トーマス・ニューマンによるバックミュージックだ。代表作として「ショーシャンクの空」「グリーンマイル」というと想像がつくだろう。やさしいピアノが静かに弾かれる中で、ソフトで胸にジーンとする音楽が鳴り響く。その途中街の様子を描くとき、アメリカンポップスが流れる。初期のシュープリームスが数曲ながれ、「ベイビーラブ」と歌うダイアナロスの声が実に映像にピッタリする。そして最後にエリッククラプトンの「チェンジ・ザ・ワールド」が流れる。あまりに有名な曲だが、この映画のテーマソングと知っている人は少ない。もっと早く出てきても。。とも思うけど、あの情景で流れるのがより美しいのであろう。


あとはオスカー俳優の2人がいい。ロバート・デュヴァル「アウトロー」にも出ていて今だ現役だけど、80~90年代の活躍が一番いい感じに思える。「デイズオブサンダー」「ナチュラル」での彼が好きだ。町の人がトラボルタの変身に畏怖の念を抱くときに、ロバート・デュヴァルが強い口調でかばう。これは胸にしみるいいシーンだ。



一方フォレスト・ウィテカーはそののちオスカーを受賞した「ラストキングオブスコットランド」でウガンダの暴君を演じた時と違い、表情がやさしい。無邪気だ。アマチュア無線好きの独身男性が恵まれない子持ち女性をすきになる場面がハートにしっくりくる。このカップル誕生は応援してあげたくなる心境になった。


そういった名優の演技と流れるムードのやさしさに心がやすらぐ

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