映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「この国の空」 二階堂ふみ

2015-08-14 19:00:41 | 映画(日本 2013年以降主演女性)
映画「この国の空」を映画館で見た。


空襲が続く終戦間際東京杉並の住宅街で、隣同士に住む所帯持ちの男と嫁入り前の娘が恋に落ちていくという話だ。荒井晴彦の監督脚本で二階堂ふみ が出演するということで映画館にいってみた。観客にはおばあさんが多いという印象をもったがどうしてだろう。途中までは若干緩慢で、思わず眠くなりそうだった。後半戦に入り二階堂と長谷川が一気に近づくところで多少の盛り上げは見せるが、もう一歩かな。競馬で言うと、中盤より後方につけていた差し馬が最後の直線で一気にまくるけど5着に終わるといった映画という印象を持った。

1945年、終戦間近の東京。
19歳の里子(二階堂ふみ)は母親(工藤夕貴)と杉並区の住宅地に暮らしている。
度重なる空襲に怯え、雨が降ると雨水が流れ込んでくる防空壕、
日に日に物価は高くなり、まともな食べ物も口には出来ないが、健気に生活している。


妻子を疎開させた銀行員の市毛(長谷川博己)が隣に住んでいる。
里子の周りでは日に日に戦況が悪化していく。
田舎へ疎開していく者、東京に残ろうとする者...。
戦争が終わると囁かれはするものの、すでに婚期を迎えた里子には、
この状況下では結婚などは望めそうもない。
自分は男性と結ばれることなく、死んでいくのだろうか。
その不安を抱えながら、市毛の身の回りの世話をすることがだんだんと喜びとなり、
そしていつしか里子の中の「女」が目覚めていくのだが──。(作品情報より)

1.二階堂ふみ
町役場の職員役である。父はおらず、母と2人で暮らす。横浜に住む伯母(富田靖子)が戦災にあったということで逃げ込んでいる。途中までは話し方の不自然さに??という感じであった。後半戦、長谷川と近づいていくうちに、色気づいていく。
大胆なラブシーンは「私の男」でも見せつけていたが、後半情事のあとの水浴びで背中のヌードを見せつける。ここでは戦前の日本の女が男にすり寄るというのがテーマで、積極的な女の匂いも見せる。


2.長谷川博巳
テレビドラマ「家政婦のミタ」では、長身の松嶋奈々子と共演だったせいでそんなに背が高く見えなかったが、二階堂ふみと並ぶとこんなに背が高かったんだと改めて思う。
杉並から大森まで通勤する銀行員という設定で、妻子は疎開に出している。メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲の有名なフレーズを流暢に奏でる。それを二階堂がうっとり聞いているという構図だ。
まあ男の立場からすると、よくいる自分勝手な奴である。
それでも同じ立場だったら、誰しもが同じようにつまみ食いしてしまうだろう。ただ、あとが怖そう。

3.印象に残るシーン(2人の接近1)
米を用立てするため、2人で大森へ取りに行く。その時2人で神社に立ち寄る。2人きりしか境内にいないので、とっさに長谷川博巳二階堂ふみにぐっと近づく。二階堂は少しづつ後ずさりしていくが、後ろには大木がある。このまま長谷川が抱きつくのかなとなったとき、逆に二階堂が長谷川に抱きつく。意外性のある展開にドキッとしてしまう。そして接吻をかわそうとしたときに思わぬ妨害が。。。。


4.印象に残るシーン(2人の接近2)
寝付かれぬ二階堂ふみ長谷川博巳のことが気になってしかない。母親が寝ついたことを確認した後に、外に出てしまう。井戸の前に実がなっているトマトをもぎ取り洗う。それを二階堂は夜中に長谷川の元へいき、食べさせる。むしゃむしゃ食べたのを見届けた後、二階堂は長谷川の家に入り、くっついていく。。。


こんな感じのシーンがラストにかけて続き、少しは面白くなっていく。戦前は受け身に徹していた女性が積極的に男を求めることもあるというのを見せたかったんだろう。昭和25年の映画「暁の脱走」に通じるものを感じた。あの映画では山口淑子演じる慰問団の女性が、池部良ふんする上等兵に惚れてしまい情熱的に迫っていく。この山口淑子はかなりやばい。二階堂ふみはそれに比べると今回に限ってはおとなしめに感じてしまう。

空襲で身近な人が大勢死んでいく中、死を意識せざるを得ないのだ。長谷川も自分は丙種合格で戦争に行かなくて済んだけど、これからはわからない。現に自分の年齢に近い男が招集されている。そう言って、死を恐れている。女性ももしかして長く生きられないかもしれないので大胆に相手を求めるというわけだ。

それにしても途中までは退屈でつらいなあ。焼け出されて杉並の家にやってきた横浜の伯母さんが空襲が怖いとのたうちまわったりするシーンなどは興味深いけどあとは。。。

(参考作品)
私の男
近親相姦まがいの恋


ほとりの朔子
浪人生のひと夏の想い出


家政婦のミタ
長谷川博巳のなさけない父親につかえるミタさん
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映画「ウォーリアー」 トム・ハーディ

2015-08-14 04:10:14 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「ウォーリアー」は2011年の作品で日本未公開作品だ。


レンタルショップでdvd散策している時におもしろい映画を見つけた。これはなかなかの掘り出し物だ。

人気作「ダークナイト・ライジング」から「マッドマックス 怒りのデス・ロード」へかけて大活躍しているトムハーディが総合格闘技の映画に出演しているのだ。先日香港映画「激戦 ハートオブファイト」をみてコメントした時に、これまで総合格闘技の映画って見たことがないとしたが、実はすでにこの作品があったのだ。むしろ「激戦」の方がこの映画「ウォーリアー」からの影響を感じさせる。

少し前、視聴率を稼ぎまくっていた「プライド」では「紅白歌合戦」の裏番組に総合格闘技の猛者たちを集めて派手にやっていた。最近ずいぶん鳴りをひそめたのには理由があるのであろうが、何でもありの総合格闘技が真に「ケンカ№1」を決めるものというのは間違いあるまい。プロレスとちがって、ショー的な要素は少ないけど、獲物を狙う猛獣のようなスピード感がある。ここでのトムハーディの動きはきわめてすばやく、圧倒的な強さをほこる。なかなか見ごたえある。


アルコール中毒の父親を逃れ、母親とともに家を出たトミー(トムハーディ)が14年ぶりに実家に戻った。父(ニック・ノルティ)の指導により、学生時代はレスリングの選手として名を馳せていた彼は、総合格闘技の大イベント“スパルタ”に出場するため、父にトレーナー役を依頼する。一方、トミーが家を出て以来、生き別れとなっている兄のブレンダン(ジョエル・エドガートン)もまた、かつて格闘家だったが、今は教師として働いていた。しかし、娘の病気にかかる医療費のため家計は厳しく、銀行から自己破産をすすめられてしまう。愛する家族を守るため彼に残された道は、総合格闘技の試合で金を稼ぐことだった。奇しくも再び格闘技の世界へと足を踏み入れた兄弟が再会したのは、“スパルタ”の会場だった―。(作品情報より)

物語の基本は「欠落」である。
対決する兄弟の兄は物理の教師になったのにもかかわらず、子供が難病にかかって金がかかる。ストリップ劇場で興行されている格闘技戦にでて賞金稼ぎをしなければならない。弟も金を稼ぐために、長年縁を切っていた元の指導者である父親の元を訪れ、多額の賞金がかかっている格闘技大会に出場するのだ。出る理由がある。ともにハングリーな男たちである。

弟は圧倒的な強さで勝ち抜く。
でも兄はすんなりはいかない。いつもやっとの思いで勝ち抜くのだ。

軽いネタばれあります。

1.トムハーディ
今年公開の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」で完全にスターと言える地位を築いている。不死身というイメージがついてきた。存在感のある悪役だった「ダークナイト・ライジング」でもバットマンを寄せ付けず、その覆面を取り去るシーンがある。見ていてうなってしまった。その前に「ウォーリアー」に出演しているのだ。推測であるが、「ウォーリアー」での強さというのが、キャスティングの際「ダークナイト」の製作側にも頭にあったに違いない。


トミーの動きは早い。すぐさま相手をとらえると強いパンチを打ち、そのまま自分のペースに持ち込んで速攻で勝つのだ。勝っても試合後のリングの網によじ登るというようなパフォーマンスはいっさいなく、相手もいたわらずにさっそうと控室に向かう。かっこいい。

トミーは元々海兵隊にいた。その同僚が窮地をトミーが救ってくれたことを発表し、海兵隊のメンバーが集団で応援する。しかし、勝ち抜いていくうちに素性が明らかになる。なんと軍の職務から逃げ出したことがばれてしまうのだ。さあどうする。北朝鮮から拉致者の曽我さんが帰ってきたとき、夫のジェンキンスさんの軍からの離脱が問題になり、超法規で解決させたが、本当は厳罰なのである。トミーも同じだ。

2.ジョエル・エドガートン
学校で物理を教える場面が出てくる。作用には必ず反作用があるなんていうニュートンの法則を語っているのだ。何これ??
そうしているうちにリングで戦う場面も出てくる。要は金がないのである。上を目指してジムにいくが最初は歯が立たない。コテンパンにやられるが、最後関節技で逆転する。その繰り返しだ。


このとき相手を倒す技の名称が「キムラロック」なんてセリフが出てくる。そう戦前元日本柔道の頂点だった木村政彦の必殺技だ。1951年グレイシー柔術の主エリオグレイシーをこれでやっつけている。手元にある木村政彦著「柔道の技」(昭和49年版)には日本名で「腕がらみ」となっている。極めて実践的な本だ。ブラジルでグレイシーを倒したフィルムは残っているが、木村がかける強烈な大外刈りの切れ味が凄すぎる。力道山戦は八百長だったので手をぬいていた。それは「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で語られるが、バカなことをしたものだ。


いずれにせよ2人は勝ち抜いていく。
特に兄は見た目に普通これくらいやられたらもう立ち上がれないんじゃないかな?と思う場面もあるけど、これは劇画のようなものだ。
そしてアル中だったオヤジも含めて最終場面に向かう。
ちなみにこのオヤジ役ニック・ノルティ、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。


普通ノミネートされる作品で日本未公開というのは少ないけど、やっぱりこの出演者ではお客は呼べないと配給元も思ったんだろうなあ。でもこれはなかなかいける映画だ。

(参考作品)
ダークナイト ライジング
ゴッサムシティを狂乱させるテロリストを演じる強いトムハーディ


激戦 ハート・オブ・ファイト
香港版総合格闘技映画
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