映画「ルッツ 海に生きる」を映画館で観てきました。
映画「ルッツ」は地中海の島国マルタでつくられた人間ドラマである。もちろんマルタには行ったことはない。シチリア島よりも南で、地中海を隔てたアフリカ側ではチュニジアに向かう位置にある。若き日に自宅でマルチーズを飼っていて、マルタ島が犬のルーツと聞いていた。そんな思いが脳裏にあり、映画館に向かう。マルタ出身のアメリカ人監督アレックス・カミレーリがメガホンをとる。
マルタ島の伝統漁船ルッツで海に出る漁師の青年ジェスマーク(ジェスマーク・スクルーナ)は、妻デニスと男の赤ちゃんと暮らしている。病院で息子の発育不良を指摘され、治療費が高額であることがわかる。その上、船に水漏れが見つかり、修理をするのにお金がかかる。獲った魚が市場で高く売れず金銭的余裕がないことで、大胆なことを思いつく話である。
古典的な題材でストーリーも単純であるが、マルタの海をバックに現役の漁師がドキュメンタリーのように演じる人情話に興味をひく。「コーダあいのうた」のように海で働く人の話って、大画面で船を走らせるシーンを見ているだけで躍動感を感じる。今回の上映館では画面の大きさが普通なのでそこまでの刺激はなかった。
題材には既視感があるが、途中で展開が予想と違ってくる。国民性の違いのようなものを感じる。
⒈窮地に追い込まれる
赤ちゃんが発育不良で、船の水漏れがあってとなれば、金が入り用だ。治療費の精算をするのもきびしい状態。不漁続きで思うように収入が得られていない。それなのに妻が実家に金を出してもらうことが気にくわない。メカジキが釣れて、これは金になると喜んでも、問い合わせた相棒は禁漁時期だからと海に投げろと言いガッカリだ。
しかも、市場でセリをしている仲介人は自分たちの魚を高く売ってくれない。料理店に売りに回るがダメ。妻が働いているレストランまで顔を出して、妻がいやな思いをする。悪いことが続くのだ。
主人公を奈落の底に落とすストーリー展開は既視感がある。でも、これを実際の漁師が演じているのが凄い。船に乗っての網さばきや魚の扱いを素人がやろうと思ってもうまくはいかないだろう。
⒉勧善懲悪についての考え方(軽いネタバレあり)
良いことが続かないジェスマークが、市場で禁漁のはずのメカジキが裏取引されているのを見てしまう。料理店が品薄の魚を高く買ってくれるのだ。取引には自分たちに意地悪している市場の仲介人が絡んでいる。ジェスマークは、わらをもつかむ思いで近づいていき、やがて裏取引に絡んでいくのだ。
ここからが、日本映画とちがう。勧善懲悪のエンドを望む日本人は、この漁師の悪さがバレて窮地に落とし込むストーリーを普通考えるであろう。実際コンプライアンスについて、日本は異常なくらいの社会である。そういった主人公をおとしめる話の展開がないのだ。禁漁時期のメカジキを獲るなというお達しがあっても、官憲に裏金がうごけば何とかなる。
地中海に浮かぶマルタ島は人口50万人の小さな国だ。しかも、淡路島の半分程度の領土だ。映画を観ると、最新の車が道路を埋め尽くしている現代的な部分もある。そんな中で、前近代的な体質が変わらないことが示したかったのか?わからない。
映画「ルッツ」は地中海の島国マルタでつくられた人間ドラマである。もちろんマルタには行ったことはない。シチリア島よりも南で、地中海を隔てたアフリカ側ではチュニジアに向かう位置にある。若き日に自宅でマルチーズを飼っていて、マルタ島が犬のルーツと聞いていた。そんな思いが脳裏にあり、映画館に向かう。マルタ出身のアメリカ人監督アレックス・カミレーリがメガホンをとる。
マルタ島の伝統漁船ルッツで海に出る漁師の青年ジェスマーク(ジェスマーク・スクルーナ)は、妻デニスと男の赤ちゃんと暮らしている。病院で息子の発育不良を指摘され、治療費が高額であることがわかる。その上、船に水漏れが見つかり、修理をするのにお金がかかる。獲った魚が市場で高く売れず金銭的余裕がないことで、大胆なことを思いつく話である。
古典的な題材でストーリーも単純であるが、マルタの海をバックに現役の漁師がドキュメンタリーのように演じる人情話に興味をひく。「コーダあいのうた」のように海で働く人の話って、大画面で船を走らせるシーンを見ているだけで躍動感を感じる。今回の上映館では画面の大きさが普通なのでそこまでの刺激はなかった。
題材には既視感があるが、途中で展開が予想と違ってくる。国民性の違いのようなものを感じる。
⒈窮地に追い込まれる
赤ちゃんが発育不良で、船の水漏れがあってとなれば、金が入り用だ。治療費の精算をするのもきびしい状態。不漁続きで思うように収入が得られていない。それなのに妻が実家に金を出してもらうことが気にくわない。メカジキが釣れて、これは金になると喜んでも、問い合わせた相棒は禁漁時期だからと海に投げろと言いガッカリだ。
しかも、市場でセリをしている仲介人は自分たちの魚を高く売ってくれない。料理店に売りに回るがダメ。妻が働いているレストランまで顔を出して、妻がいやな思いをする。悪いことが続くのだ。
主人公を奈落の底に落とすストーリー展開は既視感がある。でも、これを実際の漁師が演じているのが凄い。船に乗っての網さばきや魚の扱いを素人がやろうと思ってもうまくはいかないだろう。
⒉勧善懲悪についての考え方(軽いネタバレあり)
良いことが続かないジェスマークが、市場で禁漁のはずのメカジキが裏取引されているのを見てしまう。料理店が品薄の魚を高く買ってくれるのだ。取引には自分たちに意地悪している市場の仲介人が絡んでいる。ジェスマークは、わらをもつかむ思いで近づいていき、やがて裏取引に絡んでいくのだ。
ここからが、日本映画とちがう。勧善懲悪のエンドを望む日本人は、この漁師の悪さがバレて窮地に落とし込むストーリーを普通考えるであろう。実際コンプライアンスについて、日本は異常なくらいの社会である。そういった主人公をおとしめる話の展開がないのだ。禁漁時期のメカジキを獲るなというお達しがあっても、官憲に裏金がうごけば何とかなる。
地中海に浮かぶマルタ島は人口50万人の小さな国だ。しかも、淡路島の半分程度の領土だ。映画を観ると、最新の車が道路を埋め尽くしている現代的な部分もある。そんな中で、前近代的な体質が変わらないことが示したかったのか?わからない。