後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

盧舎那仏へ供えた櫻花の風景

2009年04月09日 | 写真

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奈良の東大寺の大仏は盧舎那仏だそうです。4世紀頃に生まれた華厳経にある宇宙の真理を象徴した仏像の一つです。東大寺境内にある桜の木々はあくまでもこの仏像へお供えするという精神で植えてあるようです。豪華絢爛な桜花では有りません。瓦屋根の軒を飾るように、ひかえめに植えてあります。遠方の山肌に一本だけ供えるように植えてあります。大仏殿や二月堂、三月堂、そして若草山に静かに咲いています。そんな櫻の風情をお楽しみ頂ければ嬉しく思います。撮影日時は4月5日午後4時前後でした。(終わり)

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教養としてのキリスト教(9)復活祭。そして共産主義のことを思う

2009年04月09日 | うんちく・小ネタ

今週の日曜日は復活祭です。カトリックの筆者にとっては一年で一番重要な祭日です。約2000年前に、ローマ帝国の領土であった現在のイスラエルでキリストが十字架にかけられ処刑されました。しかし3日後に生き返り、弟子たちの前に現れました。弟子の一人のトマスは疑っていましたが、キリストの脇腹の傷跡に指を入れてみて、本当にキリストが生き返った、と確信します。その後、キリストは天に上がり、全知全能の神の右の座につきます。この世の終わりに、キリストはもう一度地上に降りてきて最後の審判をします。その時には全ての死者も生き返ります。キリスト教信者は皆この様に信じています。ただし宗派によって、「キリストの復活」の重要視の程度が異なります。十字架での処刑後3日目に、キリストが生き返ったこと、すなはち復活したことを祝う祭日が今週の日曜日の復活祭です。

復活祭が近づくと筆者は共産主義のことをいろいろ考えます。共産主義はキリスト教文化圏のヨーロッパで20世紀初頭に生まれた思想です。ドイツのモーゼル河上流のトリアーという町で生まれたカール・マルクスが作った思想です。1970年の復活祭の後に訪れ、マルクスの生家を見ました。町の回りには芽を出し始めた一面のブドウ畑でした。モーゼルワインの産地です。

共産主義はキリスト教の生んだ子と言われます。近代科学技術で世界を制したヨーロッパ人の間には合理主義が浸透します。科学的に考えると「イエス・キリストの復活」などは信じられません。あまりにも荒唐無稽すぎます。その上、産業革命のお陰で多数の工場労働者が生まれました。工場労働者の生活は悲惨で奴隷のような生活です。それにロシアでは農奴という農民階層が苦しい生活を続けています。カール・マルクスはこの様な階級の存続する原因を考えました。そうです、キリスト教が原因であるという仮説を立て、宗教を否定しました。万国の労働者よ銃をとって立ち上がれ!と、いう「共産党宣言」をロンドンで出版されたのは自然な成り行きでした。ロシア革命が成功し、ソ連が出来ます。しかし1989年にソ連は行き詰まり、崩壊します。

ヨーロッパで発達したキリスト教は貧困階級を組織的には救おうとはしません。「隣人を愛せよ」と教えたキリストの教えに背いてきたのです。その矛盾をついて貧困階級を助けようとしたのが共産主義でした。共産主義は机上の理論としては良く出来ています。しかしそれを実社会へ用いることには疑問があります。新しい権力階級が生まれ、独裁体制が出来ます。人間を合理的な視点のみで考えたのが間違いでした。神への恐れ、キリストの愛、隣人への愛、寛容の精神などが重要なのです。

20世紀のヨーロッパは共産主義に悩みました。戦争の世紀でした。キリスト教の愛の教え、寛容の精神を忘却した時代でした。そのような失敗を思い出し、共産主義のことをいろいろ考える季節です。復活祭の頃になると仏教の教えについても考えます。   筆者はイエスの復活を信じています。(続く)

今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します。    藤山杜人