後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

アメリカが北朝鮮を先制攻撃したら日本はどうなるか?

2017年04月15日 | 日記・エッセイ・コラム
アメリカの世界最強の軍事力を国際外交に積極的に利用するのがトランプ政権の特徴と考えられます。この特徴は前のオバマ大統領のレベラルな外交政策とはきわだって対照的な性質を持っています。
シリアの政府軍基地へ巡航ミサイル、トマホークを59発打ち込みました。アメリカ単独の決断で攻撃したのです。
アフガニスタンの過激派の拠点に、今迄使用したことの無い強力な爆弾を落としました。重量10トンの爆弾で「爆弾の母」という名前です。
そして朝鮮半島に近い海域に航空母艦艦隊を派遣し北朝鮮に軍事的圧力をかけています。
航空母艦間隊は駆逐艦2隻、ミサイル艦数隻、原子力潜水艦、補給艦などによって編成された強大な打撃力を有する一大戦力であります。
その上、トランプ大統領は中國が北朝鮮の核兵器開発を止めることが出来なかったら北朝鮮へ先制攻撃をかける可能性を暗示しています。
この暗示が単なる暗示で済めば日本がそれほど心配する必要がありません。
しかしアメリカは度々軍事力使用の可能性を公言しています。
そこで今日はこの問題の日本に及ぼす影響について考えて見たいと思います。

(1)アメリカは北朝鮮へ先制攻撃をかけるか?

アメリカは北朝鮮の核兵器開発拠点と長距離ミサイル発射基地を徹底的に破壊したいのです。
北朝鮮が反撃しない限り、派遣した航空母艦隊からの地上攻撃型ミサイルで核兵器開発拠点と長距離ミサイル発射基地を破壊することは充分可能かも知れません。
しかしアメリカがこのような先制攻撃をしたなら北朝鮮は短距離艦隊攻撃ミサイルや戦闘機で、アメリカの航空母艦艦隊を攻撃するのは必然です。
さらに韓国の米軍基地や日本の米軍基地は北朝鮮のミサイル攻撃の可能性に準備しなければなりません。
そして、北朝鮮は「アメリカの先制攻撃」を理由にして韓国を侵略し、一挙に朝鮮半島を制圧し、悲願であった朝鮮半島の統一を実行する可能性も考えておく必要があります。
このシナリオは現在の彼我の軍事力を比較すれば不可能なシナリオです。しかし北朝鮮は狂気なのです。そのことを考えると昔の朝鮮動乱のようになる可能性があります。
アメリカはこのことを充分知っている筈ですから、うかつに先制攻撃はしないでしょう。
しかし北朝鮮が挑発的に日本海向けに打ち上げるミサイルを迎撃して撃ち落とす迎撃用ミサイルを航空母艦艦隊の駆逐艦から発射する可能性はあります。公海上のミサイル同士の戦いですから、それ以上の戦争に発展しないかも分かりません。

(2)中国に北朝鮮の核兵器開発を止めさせること期待するのは大間違い
中国にとって、その弟分のような北朝鮮が核兵器を開発しアメリカの脅威になることは中国の立場を強くさせます。
北朝鮮が中国の弟である限り中国にとって北朝鮮の核兵器保有は望ましいことと考えるのが自然な考え方です。
ですからアメリカがいくら中国へ北朝鮮の核兵器開発を止めて下さいと頼んでも無駄です。
中国が外交的礼儀上、「協力します。北朝鮮は核開発を放棄すべきです」と言います。
しかし本音は全く逆です。
それが証拠には、中国から北朝鮮へのパイプラインでの原油供給を止めないことです。
貿易を続行し北朝鮮の経済発展へ貢献しているのです。最近、平城の高層ビル街の竣工式典を盛大に行ったことは北朝鮮の経済発展の一つの証拠です。
日本人にも中国が北朝鮮の核開発を止めてくれると期待している人がいるようです。
それは現実的には無理な相談なのです。

(3)日本は今後、北朝鮮とどのように対峙すべきか?
以上のような状況を考えると北朝鮮は必ず核弾頭を装備した長距離ミサイルを戦力として数十発配備するでしょう。ですからその気になればその核ミサイルで日本全国を攻撃し、破壊することは可能なのです。
このような将来には日本はどうすれば良いのでしょうか?
誰も正解が出せない難しい問題です。
しかし2つのことだけは、すぐに重要だと考えられます。
1)軍事的にはアメリカとの同盟をもっと強化し、北朝鮮の軍事的攻撃の意志を弱める。
2)中国との外交に努力し、北朝鮮の狂気が自分達にとっても危険な考え方だと理解させるようにする。
このうように書いてみると1)は可能なようですが、2)は至極困難なことは明白です。
ですから今日は正解の無い問題提起をしています。正解は無いのですが日本の将来にとって非常に重要な問題だと信じています。
皆様からいろいろなご意見を頂けたら嬉しく存じます。

今日の挿し絵代わりの写真は昨日撮って来た新緑の武蔵野の風景です。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)