子供が生まれ次第に成長するが、言葉が話せない。母親の言葉が聞こえないようだ。両親にとっては深刻な悩みです。
私はこのような子供達を何度も見ています。この悩みに取り組むのが言語聴覚士なのです。
今日は幼児の言語障害と言語聴覚士の重要性について簡略に書いてみたいと思います。
そもそも何故このような問題を書くようになったかを説明させて下さい。
私は去年の2月から日本歯科大学の「口腔リハビリステーション多摩クリニック」という所に通っています。
老人になって、ろれつが回らなくなって会話能力が低下したからです。会話能力の改善の為に橋本久美さんという言語聴覚士の指導を受けています。
その施設の待合室で、言語障害の幼児と母親によく会うのです。一瞬、母親は私を警戒した目で見ます。私は可愛い子供さんだと考えながら子供を見ます。母親は警戒を解いて安心したように子供と遊び始めます。子供をそれとなく観察すると言葉が上手に話せません。それでも母親とはコミュニケーションが出来ています。しかし親にとっては深刻な問題です。
詳しいことは下に書きますが、子供の言語障害は成長とともに自然と治るものと、そうではないものがあるのです。
子供のテストや診察で何故言語障害が起きているか判断するのが言語聴覚士です。そしてそれぞれの症例に対して適切な対応方法を指導するのが言語聴覚士です。当然、言語聴覚士は難しい国家試験に合格しなければなりません。
ここで3枚の写真をご覧下さい。
1番目の写真は私が指導を受けている言語聴覚士の橋本久美さんです。この橋本さんは教育系の有名大学を卒業し、発達障害児童の特殊クラスの先生の資格も取得しています。「高齢者のロレツを回るようにすることは易しいことではありません。しかし適切に訓練すれば良くなるものです。明快な会話が出来るように訓練してあげます」と言って私を指導してくれています。
2番目の写真はこのセンターのスタッフの写真です。口腔リハリビでは非常に有名な菊谷武先生がセンター長です。菊谷教授は前列の中央に写っています。
この写真の出典は、http://dent-hosp.ndu.ac.jp/nduhosp/tama-clinic/ です。
3番目の写真は日本歯科大学口腔リハビリステーション多摩クリニックの建物の写真です。
さて言語障害とはどういうものなのでしょうか?
簡単に言えば、病気や交通事故、発達上の問題などで、言語や聴覚や発声や認知などの機能に障害がある状態です。
この治療は以下のように「乳幼児・学童期」と「成人」とによって違います。
【乳幼児・学童期】
うまく発音できない、また、お口の中の発音の問題からおしゃべりが上手ではない。どもってしまう。声がうまく出ない。こえが悪いなどによる、発達の遅れ・自閉症・学習障害などの治療を行います。
【成人】
脳卒中や神経疾患、腫瘍の術後、事故などの後遺症から起こる言語障害、脳機能障害(失語症や記憶障害など)、認知症にともなうコミュニケーション障害、音声障害、聴力障害などの治療を行います。
老人の私の場合は、ろれつが回らないので妻とのコミュニケーションがつかえることが時々あります。
筋肉の動きをコントロールする小脳が委縮していく一種の病気を持っているのです。歩くとフラフラします。転びやすくなります。ろれつが回らず言葉が不明瞭になります。治療法が無いので難病の指定をされています。従って介護保険の適用を受けています。
そこで会話能力を改善する訓練を受け始めたのです。
さて話をもどします。
言語聴覚士の橋本久美先生の守備範囲は高齢者特有のコミュニケーションの指導だけではありません。もっと重要なのは幼児の言語障害です。
幼児期の言語障害は単に言語能力の成長の遅れの場合が多いのです。その場合は言語聴覚士の指導で次第に改善されます。
その一方、子供が生まれる前の胎児の間に脳の機能の成長が正常でない場合があります。いわゆる発達障害による言語障害です。
この発達障害には学習障害、ADHD(注意欠如・多動性障害)、自閉症スペクトラム障害などがあります。
一般に発達障害は治療法が困難なのです。しかし周囲の人間がどのような対応をしたら本人が幸せに暮らせるかは解っているのです。
発達障害は非常に複雑です。素人の判断では間違うことが多いので言語聴覚士と専門医の指導を受けることが非常に重要なのです。
発達障害について、詳しくは https://h-navi.jp/column/article/134 をご覧ください。
以下では私が以前に詳しく調べたアスペルガー症候群についてだけ簡単に紹介いたします。
簡単に言うと人付き合いの苦手な人や上司とすぐ喧嘩して何度も転職する人の多くはアスペルガー症候群だと言われています。
アスペルガー症候群は発達障害のひとつで、コミュニケーション能力や社会性、想像力に障害があり、対人関係がうまくいかない障害のことです。アスペルガー症候群には知的障害の症状はないので、周りからは「変わった人」と思われがちです。
結論です。スペルガー症候群には大きく分けて3つの症状があります。「コミュニケーションの問題」「対人関係の問題」「限定された物事へのこだわり・興味」の3つです。
以上のような難しい問題を仕分けして、それぞれに対応した適切な対処法を指導してくれるのが言語聴覚士なのです。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
===参考資料============================
言語聴覚士(英: Speech-Language-Hearing Therapist (ST))は、言語や聴覚、音声、認知、発達、摂食・嚥下に関わる障害に対して、その発現メカニズムを明らかにし、検査と評価を実施し、必要に応じて訓練や指導、支援などを行う専門職である。医療機関の他、保健施設、福祉施設、教育機関などで活動している。
医療機関では、医療従事者の一員として、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、視能訓練士(ORT)と共に、リハビリテーション専門職を構成する。米国では、オーディオロジスト(聴覚療法師)とスピーチ・ランゲージ・パソロジスト(言語療法士)に分かれており、米国での資格取得には大学院修士課程以上(聴覚療法士については博士課程)の教育歴を要する。
日本においては、1997年に制定された言語聴覚士法第2条において、言語聴覚士は「厚生労働大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者」として定義されている。
言語聴覚士の職務は医療にとどまらず、福祉や教育にもまたがっているため、理学療法士や作業療法士とは異なり、「医師の指示の下に」業を行う者とはされていない。
幼児と児童
乳児に対しては、出生時合併症による摂食障害、嚥下障害などが対象となる。また、児童に対しては、軽度・中等度・重度を問わず、心身の障害を抱える者が対象となる。たとえば、ダウン症候群、ディ・ジョージ症候群など、音声、言語などの認知発達に悪影響を与える障害や、脳神経損傷、小児外傷性脳損傷などのほか、経口運動障害を含む摂食障害、難聴、言語発達遅滞、さらには、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害などの発達障害である。
養成 - 人口当たりの有資格者はアメリカの4割にとどまる
日本における養成は、1971年に国立聴力言語センター附属聴能言語専門職員養成所(現在の国立障害者リハビリテーションセンター学院)の設置によって始まり、1997年に国家資格になり、1999年に4,003人が国家資格を取得した。その後、新たに養成課程を修了した者が言語聴覚士国家試験を受験し、毎年1,500人程度ずつ増えている。それでも、2016年現在の累計合格者数は27,274人であり、人口10万人当たり21.5人にとどまる。アメリカの人口10万人当たり有資格者数(53.9人)と比較すると、約4割にとどまる。
以上は、https://ja.wikipedia.org/wiki/言語聴覚士 からの抜粋です。