後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

「西洋人の考え方を簡単に理解出来る謝肉祭、灰の水曜日、四旬節そして復活祭とは?」

2021年02月04日 | 日記・エッセイ・コラム
明治維新以来、153年間にわたって日本は西洋の文化を熱心に導入して来ました。そのお陰で日本の科学技術は非常に進歩しました。
しかし西洋の精神文化はそれほど容易には取り入れることは出来ません。その根本のキリスト教の考え方が理解しにくいからです。
そこで今日は何時も彼等の心の中にあるキリスト教を分りやすく説明したいと思います。
キリスト教を手っとり早く理解するために間もなくやって来る復活祭(イースター)の前の謝肉祭(カーニバル)灰の水曜日、そして四旬節のことを簡単に説明致したいと思います。
これからやって来る順序は、謝肉祭(カーニバル)、灰の水曜日、四旬節、そして最後に復活祭(イースター)です。
しかしそれぞれの宗教的な意味を説明するためにはこの順序を逆にして説明したほうが分かり易いのです。

(1)今年は4月4日日曜日が復活祭

復活祭 (イースター) とは、十字架にかけられ死んだイエス様が3日目に蘇られたことを記念する祭りです。キリスト教の最も重要なお祝いの日です。クリスマスより重要とも言えます。
その復活祭の日の決め方は、「春分の日の後の、最初の満月の次の日曜日」です。 この決め方に従うと4月4日が今年の復活祭になります。、2022年には4月17日になり、2023年には4月9日になります。

(2)40日間の四旬節

復活祭の前に節制した生活を送る準備期間を四旬節(40日間)と呼びます。40という数字は、イエス様が荒れ野で40日間断食をされたことに由来しています。それに倣って40日の間に断食をしたり節制したりする習慣が生まれたようです。
そうして四旬節が始まる直前の水曜日 が「灰の水曜日」なのです。

(3)日本人にも理解し易い灰の水曜日
灰の水曜日は2021年は 2月17日です。2022年 は 3月2日で2023年 は 2月22日です。
「灰の水曜日」という名前は、この日に司祭が灰で信者の額に十字の印をつけることに由来します。自分が灰のように消えてなくなるはかない者であることを認め、ただ神の慈しみによって生かしていただいていることを思い起こすのです。この意味は仏教の無常の考えと同じなので理解し易いです。
灰の水曜日に用いる灰は、前の年の「枝の主日」に祝別されたシュロの枝を焼いて作られます。エルサレムにイエス様が入城した時に群衆が棕櫚の葉を手に持って打ち振り、歓迎しました。シュロの枝は勝利と歓喜の象徴として、凱旋の行列に用いられるといわれますが、イエス様がこれによって人間の栄華も歓喜も、灰のように塵になる儚いものであることを教えたのです。

(4)日本人には分かり難いバカ騒ぎの謝肉祭

謝肉祭はカーニバルとも呼ばれますが、これは分かり難い祭です。
断食をしたり節食をして静かに過ごす40日の四旬節に入る前に、思いっきり飽食をして仮装をして踊り狂います。この世の楽しみを思う存分してから40日間の静かな節制生活に突入するのです。このようなバカ騒ぎをイエス様が喜ぶか私は疑問に思っています。
しかし賑やかな謝肉祭も灰の水曜日の前日にピタリと止めます。
ですから有名な南米のリオのカーニバルも「灰の水曜日」の前日に終り静かになります。

以上はカトリックの習慣です。しかし欧米では夏のバカンス以外の休日は、多くカトリックの習慣に従って決まっています。ですから謝肉祭(カーニバル)、灰の水曜日、そして四旬節、そして最後の復活祭(イースター)などは欧米社会の歳時記として定着しているのです。堅苦しく考えなければそれらは欧米社会の楽しい風物詩なのです。
その上、復活祭(イースター)はクリスマスと共に日本の俳句の季語にもなっています。

今年も謝肉祭(カーニバル)、灰の水曜日、四旬節、復活祭(イースター)が巡って来ますので、こんなことを書いてみました。
なお移動主日・祝祭日表(2018年度~2026年度)は、https://www.cbcj.catholic.jp/wp-content/uploads/2017/10/2018ido.pdf にあります。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)

今日の挿し絵代わりの写真はイタリアは水の都のヴェネツィアのカーニバルです。https://www.nta.co.jp/media/tripa/articles/1xPbO からお借りした写真です。
中世に起源を持つヴェネツィアのカーニバルでは街全体が仮面舞踏会の会場となります。
メイン会場となるサン・マルコ広場には舞台が設置され、仮装コンクールなどが開催されるそうです。それにしても日本の伝統には仮面舞踏会というものが無いので私には異様な光景に見えます。しかし仮装が念入りでいかにも伝統的なヨーロッパ文化を感じます。