アメリカは世界一豊かな国です。日本も豊かな国です。しかし驚くことに両国の貧困率は世界のトップクラスなのです。貧富の差が激しいのです。
今日はアメリカと日本の貧困率について考えてみたいと思います。経済の格差について考えみたいと思います。
例えば日本人の個人の経済生活の格差が増加している現状を考えてみましょう。
生活に充分な厚生年金を貰っている高齢者と毎月5万円の国民年金だけを貰っている人の間の格差、正規社員と非正規社員の間の格差、農業従事者や漁業従事者の中の経済格差などなど日本には大きな格差が増大しています。
日本の社会がアメリカの弱肉強食の資本主義にならった結果です。
日本人はこの事実に気が付いていません。しかし現実には日本人の格差が年々増加しているのです。
そこでアメリカと日本の人々の経済格差を少し詳しく考えてみましょう。
(1)アメリカと日本は世界的にも貧困率が高い先進国
年収格差が全く存在しない国はありませんが、いき過ぎた格差拡大は下積になった人々の不満や怨恨を生み出し、不幸な社会になります。
アメリカと日本はこの「行き過ぎた格差社会」になっています。
以下では年収からみた日本の貧困率を世界の国々と比較した図面です。2005年2月にOECDによって発表された図です。
1番目の写真の図面はOECDが発表した世界の貧困率を表したものです。貧困率の定義は末尾に示します。
OECDとはOrganisation for Economic Co-operation and Development(経済協力開発機構)の略で、北米とヨーロッパを中心に、世界的に裕福である経済先進国を中心とした30ヶ国による経済機構です。
貧困率とは簡単に言ってしまえば貧乏人が、社会のどのくらいを占めるかという割合を示したものです。貧困率が大きければ大きいほど貧乏人が多いということです。
このOECDが発表したデータによりますと、アメリカの貧困率は世界で2位、日本は貧困率No.5にランクされているのです。
アメリカの貧困率は17.1%で日本は15.3%です。24ヵ国の平均である10.4%を大きく上回っています。
そしてドイツやフランスなどヨーロッパの国の多くは、軒並み10%以下を示しており、多くの国が日本よりも貧困率が小さい国であることがわかります。
しかも日本より上位の国を見てみると、先進国ではアメリカしかいないのです。ということは、アメリカと日本は世界第2位と5位の格差社会の先進国ということがハッキリと示されているのです。
(2)アメリカ2番目の写真は日本は格差の大きい先進国!ジニ係数の各国との比較です。
続けて世界の格差を示すデータをみていきましょう。2005年2月にOECDによって発表された図です。
2番目の写真の図面は同じくOECDが発表したOECD加盟国の "ジニ係数" を表示したものです。
ジニ係数とは、格差社会をあらわすひとつの目安となっている指数のことで、格差社会のバロメータと言われています。
この数値が大きければ大きいほど所得格差が大きい格差社会であり、1.0になると1人がすべての金を独り占めにするという完全不平等社会を示すことになります。
そして逆に、ジニ係数が小さければ小さいほど所得格差が小さく、0.0になればすべての人の所得が同じという完全平等社会となります。
さて、このジニ係数においてもアメリカは4位で日本は10位です。両国ともOECD参加国の中でも上位にランクされています。
しかしこの日本がなによりも問題なのは、急速にこのジニ係数の数値が上昇していることなのです。
一昔前まで日本は「一億総中流」とか言われて、貧富の差が一番少ない国であると言われていました。
それが、わずか10年程度でここまで格差が拡大してきたのです。
この格差拡大は、次のジニ係数の年度別変化を見るとハッキリします。
(3)収入格差を示すジニ係数の増加の様子
下にOECD加盟国のジニ係数がどのように変化したかを示します。
3番目の写真の図面は、ここ30年間のジニ係数の推移を表した図です。
この日本のところを良く見てください、確かにジニ係数自体は5番目あたりになっていますが、そのジニ係数がこの30年間で急速に上昇しているのです。
逆に日本よりもジニ係数が高い水準にある アメリカ、 イタリア、 イギリス などはジニ係数が1990年代からあまり拡大せず、むしろアメリカなどではジニ係数が抑えられてきているのです。
それは日本の格差拡大は急速に進んでいること、そしてその格差拡大が進んでいるために将来は、アメリカを超える格差社会になる可能性を意味しているのです。
さて日本は何故このように格差の大きい社会になってきたのでしょうか?
その原因は(1)高齢化社会になっている、(2)収入の少ない非正規社員が増加している、(3)正規社員は能力主義で収入格差が増大している、などなどの多くの原因が考えられます。
貧困率とは、再配分後所得を家族の人数で調整したうえで、可処分所得の中央値の50%未満の所得しか得ていない人々を「貧困者」として定義し、その「貧困者」が、全体の人口に占める比率のことです。
貧困率が高いということは、その国が貧困であるということではなく、その国内で、上記で定義した「貧困者」が多数いるということを示しており、それだけ、貧富の差が大きいということです。
例えば、日本の貧困率が、OECD諸国の中で第5位で、15.3%だということは、かなりショッキングなデータです。
1980年台までは、日本は「一億総中流」とか言われて、貧富の差の少ない国であると思われていたのです。
それが、バブルがはじけて10年ちょっとで「貧困者」が、15%以上にもなっているのです。
貧富の格差を測る指標に,ジニ係数というものがあります。
ジニ係数は、0から1までの値をとり、分布が平等であれば0に近づき、不平等であれば1に近づく係数であり、値の大きさが不平等度を測る指標として用いられています。
例えば、5世帯の所得が、少ない順に10万円、20万円、30万円、40万円、100万円の場合のジニ係数をもとめてみましょう。
世帯数の累積相対度数を横軸に、所得の累積相対度数を縦軸にとり、原点と各点を結んだ線をローレンツ曲線といいます。
4番目の写真の図のローレンツ曲線と45度線で囲まれる面積の2倍した値をジニ係数と呼ぶのです。
この場合,ローレンツ曲線と45度線で囲まれる面積は,0.2であり,ジニ係数は0.4になります。
4番目の写真の図面はローレンツ曲線からジニ係数を求める方法を示す図面です。
ジニ係数(ジニけいすう、英: Gini coefficient)とは、主に社会における所得分配の不平等さを測る指標です。
ローレンツ曲線をもとに、1936年にイタリアの統計学者、コッラド・ジニによって考案された指標です。
所得分配の不平等さ以外にも、富の偏在性やエネルギー消費における不平等さなどに応用されています。
今日はアメリカと日本は世界的にも貧困率が高い先進国であることを説明しました。説明には両国のジニ係数を用いました。ジニ係数計算方法も説明しました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)