よしきりの 声が冷たく 身をせめる?
連れ合いが好む三波春夫の「大利根無情」の冒頭の一節である。幾度も聞かされているのだが、この日は「よしきりの声が冷たく身をせめる」のところにひっかかった。
「鳥名の由来辞典」(柏書房)によれば「よしきりはヨシキリ類でオオヨシキリ、コヨシキリを含むが、オオヨシキリをさしている場合が多い。・・・」とある。それにコヨシキリは高原の湿地に渡るものが多く、あまりお目にかかれないから、このヨシキリはオオヨシキリと考える方が妥当だろう。
オオヨシキリの鳴き声は大きな声で「ギョギョギョ、ギョチ ギョチギョギョギョギョ ギギギギ」とかなり煩く頻繁に鳴く。だから、俗名で「行行子(ぎょうぎょうし)」という。
利根の 利根の川風 よしきりの
声が冷たく 身をせめる
これが浮世か
見てはいけない 西空見れば
江戸へ 江戸へひと刷毛 あかね雲
(猪又 良 作詞)
よしきりの声に身を責められるなんて・・・どういうふう?
ではどんな鳴き声なら、納得できるか。鳴き声がすぐ浮かぶ鳥なら、鶯、郭公、不如帰、雀、烏、雲雀、などなど考えてみたけれどどれも、どれも身をせめない。 それだけ平手さんの心の闇が深いということか。
そうそう、「別れの一本杉」に登場するカケスの声もひどい。およそ詩的ではなくしわがれた声で「ジュー」と鳴く。
そんなこと問題にするのは、バードウオッチャーだけだね。
オオヨシキリはスズメ目ウグイス科の夏鳥。カケスはスズメ目カラス科の留鳥または漂鳥だ。