575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

六月の穴が欠伸を噛み殺す   遅足

2009年07月08日 | Weblog
先回の句会でみごと零点を取ったこの句。
こんな感想をいただきました。
 
欠伸を噛み殺すとは、出かかった欠伸を抑えることだと思いますが、
それを抑えるのが、「六月の穴」であるという、
ちょっと謎解きのようで、すっと理解しにくいですが、
六月の湿気を帯びた穴ならそれもありかも、と思いました。

   

自分で読み返していたら、
欠伸をしようとする人間の口を、クログロとした穴が
覆いかぶさって一飲みにしようとする・・・
水分の多い六月には、そんな怪物もいるかも。
そんなイメージも浮かんで「迷句」だと思いました。

   





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美味しい食卓が長生きの秘訣?   遅足

2009年07月08日 | Weblog
記憶装置が故障した母のお話しです。

最近のことはすぐ忘れてしまいますが、
子供時代のことは、じつに、よく覚えています。
92歳という歳月は、おおきな宝物なのでしょう。
でも、過去のことは話相手がいなくては・・・
どんどん話し相手が消えてゆく。サミシイことです。

さまざまな能力が衰えていくなかで、どのように「今」を楽しむのか?
残された能力を使って、どんな楽しみがあるのでしょうか?
五感のうち、どの感覚が、しぶとく生き残るのでしょう?

ヒントになりそうな本がありました。医学関係の本でした。
脳死状態の患者さんに、どういうケアが効果的なのか?
こんなことが書いてありました。

①匂いを嗅がせる。
②呼びかける。
③ヘッドフォンステレオで音楽を聞かせる。
④からだをマッサージする。

このなかには眼がありません。
眼という人間にとって一番発達した能力が、一時的に失われていても、
鼻、耳と肌という、より原初的な能力は残っている、
ということでしょうか。

嗅覚は、一番原始的な感覚のひとつで、
鼻と脳との間の神経は、眼などと違って交差することなく、
まっすぐ繋がっているそうです。

また耳は最後まで残る能力で、死んでいく人は、
周囲の話を聞いていると言います。

感覚を使った楽しみ方は、その人の生き様に深く関わっており、
急に出来ることではないようです。
若い時から五感を楽しませる術を身につけていくことが大切ですが、
もう若く、ありません。
しかし、今からでも、遅くはないかも。

   

母は食欲は衰えていません。
さすがに以前のように大食ではありませんが。
気管支炎で入院していた時は、薬の副作用で、
ダメでしたが、退院後には、舌はしっかり回復しています。
よく食べます。これは素晴らしいことです。

看護士さんも、自分の口で食べる人は長生きです、とのこと。
まだまだ5年は大丈夫でしょう。

食べることは生きる基本。
さっさと食べずに、
目で楽しむ。
鼻で楽しむ。
舌触りを楽しむ。
おしゃべりを楽しむ。
しみじみと美味しんぼをすること。

五感をフルに楽しませる食事が人生を一日でも長く楽しむこと、
その大切さを、母は身を持って教えてくれているようです。



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