先月の句会でも少しお話しましたが
先日、山形へ出かけてきました。
天童温泉のお風呂場で、紅花祭りを見に来たという方が
「今日は立石寺に登ってきた」と嬉しそうにお話して下さったので
私も登って見ることに。
恥ずかしながらこの山寺が芭蕉の
「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の舞台だったことも知らずに訪れました。
太陽の光が全く差し込まないほど。
鬱蒼とした杉木立の中、ひたすら上を目指します。
おくの細道に
「岸を巡り、岩を這ひて、仏閣を拝し、佳景寂寞として心澄みゆくのみおぼゆ」
とあるようにこんな急峻な山の中にお堂を造った昔の人の苦労をしのびながら
頂上からの景色を堪能しました。吹き抜ける風がなんとも言えず心地よく、まさに心澄みゆく思いでした。
320年前、芭蕉が見た景色を私も旅人からの薦めで訪れることができたことになんだかありがたみを感じました。
旅から戻り、早速「おくの細道」を読み返しました。
「閑かさや」は始め「さびしさや」だったこと。岩にしみ入るは「しみこむ」だったことなど知りやはり推敲の大切さを思い知りました。いつも「えいや!」と俳句を作っている我が身を反省したことしきりでした。
立石寺ではなぜか蝉の声が聞こえませんでしたがいつの日か
またあの山寺でしみ入る蝉の声を聞きたいと思います。