575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

コトバで風景をつりあげる    遅足

2009年07月06日 | Weblog
先日、歌人協会のシンポジュームが蒲郡で開かれました。
ちょっと好奇心を起こして行ってきました。

そこで、歌人の高野公彦さんの歌の作り方が紹介されました。
高野さんは吟行に行っても歌がぜんぜん出来ないそうです。
目の前の風景は厳然として、その前にあって、
言葉を拒否しているようだ、と話していました。
(じつは私も吟行は苦手です。)
では、どうように歌をつくるのか?

地下鉄で乙女に席を譲られて樹雨(きさめ)浴びたるごとくまどいぬ

この歌は、まず、樹雨という言葉がこころに浮かび、
この言葉から風景をたぐりよせてつくるのだそうです。
そして最初の言葉は、できるだけ目立たないように、
できれば消してしまう、とのこと。

風景は、時間というフィルターを通して、潜在意識のなかに沈んでおり、
それを言葉でつりあげてくるという言い方をしていました。

ポイントは最初の言葉を目立たなくするという推敲。
樹雨は、ちょっと目だっていますかね?とも。

私も言葉から俳句をつくるので、とてもよく分かりました。
とくに風景をつりあげる、ということ。
私は、風景に到達するまえの中途半端なところで
句にしてしまうのでわかりにくいのだと、自分の欠点が理解できました。
いつも荻原先生に指摘されていることですが。

   今日は


コメント
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