575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

月下美人  麗

2010年07月29日 | Weblog
今日は久しぶりのお湿りでやっと一息つけた感じです。
植木の水やりも必要ないですね。

さて、おととい満月の夜、我が家の鉢植えの月下美人が一輪見事に咲きました。
おととし実家から挿し芽でもらい去年は蕾をつけたものの落下。
それが今年は見事に開花しました。

そでまでタランと下を向いていた蕾を支える茎が3日ほど前から直角に上を向き始め
迎えた満月の夜。
夜8時ごろ蕾のさきが割れ始め10時頃には手のひらサイズの白色の花が咲きました。

満開時には濃厚な甘い香りが漂いうっとりしてしまいました。
蕾を包んでいたがくの部分が後ろに反り返るように張りつめその様子は
なんともいえずエネルギーに溢れ
神秘の一言でした。

満月の夜に咲いてくれるなんて、花びらがアンテナとなってまるで月を交信しているかのよう。
明け方には花はしぼみ、大仕事を終えた安堵感からかひっそりと垂れ下がっていました。
もう、あの濃厚な香りは全くしません。

植物とは思えない意志を持った動きに魅了された良夜でした。

      満月と月下美人が交信す   麗
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水加減見に行つたきり敗戦日   佐藤文香

2010年07月29日 | Weblog
山口萌人さんの佐藤文香論からです。(遅足)

  

中七「見に行つたきり」と季語「敗戦日」の
表現の上での繋がりを狙ったもの、
しかし、これは多少実感に欠けるところがあり、
所謂「頭の中で作った句」のようだと容易に分かる。
彼女自身も「サライ」二〇〇九年十月号誌上の
金子兜太・小沢昭一の両氏との対談において
兜太氏に「水加減」の句が理屈だと言われて、

「戦争を詠む責任はあると思うのですが、
やっぱり頭の中で消化しきれていない。
だから、金子先生のおっしゃる、
頭で考えた句というのは100%正解です。」
「俳句鼎談」―「サライ」二〇〇九年十月号

           山口萌人

    

戦後の焼け跡の実感のない世代には、
肌で敗戦日を詠むことはもともと出来ないのですから
頭でつくるのは仕方のないことですし、
だから句がよくない、ということにはならないと思います。

知らない世代にしか出来ない句があるはずです。遅足




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同じ蜥蜴毎日走る足の下    朱露

2010年07月29日 | Weblog

      玄関を開けると足元は植木が密生。
      地響きがするのか蜥蜴が飛び出す。
      目の前のコンクリートを疾走する。
      夏の終りまで同じことを繰り返す。

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