575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

釜山への旅③ 対馬    遅足

2010年07月09日 | Weblog
          写真は厳原港

対馬へ向かうフェリーの2等船室。
ベージュのカーペットの上に、一枚50円の毛布を借りて横になる。
一眠りで厳原港に。
山が迫った小さな湾であった。

厳原は、島の南にあり、対馬藩時代には府中とよばれていた。
明治になって今の町名に改称されたという。
三方を山に囲まれ、小さな川を挟んで両側に家並みが細長く続く港町。

武家屋敷だった石塀が、ところどころに残り、
城下町の面影を今に伝えている。

まず、藩主、宗家の菩提寺となっている万松院を訪れる。
寺には朝鮮から贈られた品々が展示されている。
樹齢数百年という杉に囲まれた石段を登ると、歴代藩主の墓。

初代は小さな墓石、二代、三代と大きくなる。
とくに三代藩主の墓は大きく、絶頂期であったという。
国境の島、対馬藩は10万石の格式を誇ったが、
お米のほとんどとれない対馬の財政を潤していたのは
朝鮮との交易であった。

対馬藩は、朝鮮出兵には反対であった。
しかし逆らうわけにもいかず、キリシタン大名の小西行長とともに
先陣として朝鮮に出兵を命じられている。

7年間に及ぶ戦争は対馬藩にも大きな痛手だった。
平和が戻っても、対馬藩は疲弊していくばかりであった。
それは朝鮮との行き来がまったく出来なくなってしまったからである。

    薄明の湾をへだててほととぎす

旅の3日目の朝、厳原八幡宮を散歩していたら妙な社を見つけた。
祭神は小西マリアという。

対馬初代藩主は、宗義智。
奥方は小西行長の娘・マリア。
義智も洗礼をうけてキリシタンになっている。
朝鮮との戦争が終った後、豊臣政権は内部分裂、
関が原の戦いで徳川家康が実権を握り、
西軍に組した小西行長は斬首された。

義智は、お家の安泰のために信仰を捨てマリアを離別している。
義智の死後まもなく社は建立されたという。
キリシタンを祭神として祀るのもオカシナものではあるが、
融通無碍な日本人らしくも感じられる。

天下をとった徳川家康は、朝鮮との国交回復へ動き出す。
しかし交渉は第一歩から暗礁に。
対馬藩が送った使者は殺されてしまう。

さらに、日本も朝鮮も、お互いに相手が
書簡を送ってくるのを待っている。
先に送ったほうが格下とされるからである。

メンツを重んずる両国。
ついに宗義智は、国書を偽造。国交の回復に道筋をつける。
背に腹はかえられぬ苦肉の策。
(これは、のちになってお家騒動があって発覚。
お家断絶の危機に陥る。)

国交が回復、秀忠の将軍襲名を祝って朝鮮から通信使がやってくる。
終戦から10年後のことであった。

対馬藩は、釜山の交易の拠点でる倭館を置き、
独占的に朝鮮との貿易を許される。
これは藩に大きな利益を与え、3代にわたる
全盛期を迎えることになる。



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クサタチバナ         草女

2010年07月09日 | Weblog
 橘の花に似ていて、草であるからの名前。この花にずっと憧れていた。3年前の8月、伊吹山の山頂でたった1つ残っていた花を見た。この草は茎の先にたくさんの花を付けるところが美しいはずだから、1個の残り花では、見たという気にならない。昨年仲間が、伊吹山群生しているクサタチバナに出会ったという。羨ましいと思い続ていた。

 この7月4日、伊吹山頂に行き、長年の思いを遂げることができた。この日、大垣・関ヶ原は晴れていたが、伊吹ドライブウェイは霧の中で8合目の駐車場は濃い霧に包まれていた。 雨音はしないが、雨具はぐっしょり濡れ、防水の帽子からは水滴が滴り落ちてくる。風も強く、誰からともなく雲の中にいるんだねと言う声が湧いてきた。
 植物の写真を撮るには、最悪の条件であったがお目当てのクサタチバナはたくさんさいていた。もう嬉しくて雨も風も気にならない。

 クサタチバナという名前ではあるが、タチバナには全く関係なく、ガガイモ科カモメヅル属の多年草で草丈は30~60cmになる。和名は見た目や、発見者の都合で付けられることがままあるので、最近は感じなくなったが、クサタチバナにすれば迷惑な名前であろう。


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昔蚊というものありと歳時記に   朱露

2010年07月09日 | Weblog

       1981年版平凡社歳時記の「蚊」の項。
       「蠅と共に嫌われた蚊も少なくなった」。
       三十年後のこの夏皆さん蚊を見ましたか。
       蚊も蠅も知らない子供たちは可哀想だ?! 

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