我が家の庭は手入れもせずにほかってあるので草樹伸び放題の庭である。
だから、訳のわからぬ虫どもの天国になっている。中でも殊の外活発でわがもの顔なのが
小虫を餌にする蜘蛛の連中である。
困るのは蜘蛛の巣である。朝夕の新聞取りにも小枝を片手に出かけるありさま。
しかし、そんな蜘蛛の巣にも意外な素晴らしさを発見した。
この時期の蜘蛛の巣は、網が緻密で粘り気が有り、手本といえるような造形の巣が張られている。
この日、まぶしいほどの秋の日差しが庭に差し込んでいたのだが、何とあちこちに張られている
蜘蛛の網が日差しを反射して金色の網に変身しているではないか。
おもわず見とれて近づいていくと、女主人の蜘蛛殿から八方に縦網が輝き、それを繋いで何角形かの
横網が緻密に重なり広がって輝いている。
日輪である。 秋の光を一杯にすい込んで幾重にも広がる小さな日輪が、お日様と対峙している。
むさくるしい我が庭も此の時は極楽のようであった。
蜘蛛の巣の日輪となる秋野かな