女狂いと酒狂いは同じなのか違うのか知らないが、果ては狂い死にするのは確からしい。
私は女に縁がないから女狂いはない。
しかし、酒狂いは人後に落ちなかった。
おかげで、狂い死にするところであった。
退職後の七年間の断酒もクラス会の一杯の冷酒で絵に描いたようにフラッシュバック。
一年後、案の定 狂い死に寸前に至り、緊急入院。
退院はしたが肝臓は余年わずか。
一日一日をひそやかに生き延びる身の上となった。
こうなると、四十年の酒の思いでがあたまをよぎる。
俳句を読んでも酒の句が目につく。
木曽谷の養生訓に菊の酒 加藤耕子
この句のように、菊の花びらを浮かべ、季節に思いをはせて飲むことが出来てたら
もう少し長く酒が愛でたのにと後悔しきりである。