575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

雁風呂を焚く   鳥野

2012年04月17日 | Weblog
我が家の風呂は給湯式で、バスタブはFRP、なんとも味気ない。

それでも、適温の湯に肩まで漬かれば、やれやれの思いです。

そんな時、ふとよぎったのは、季語の「雁風呂」。
歳時記は繰れば繰るほど、教えられることが多い。

雁風呂は、俳人さんなら今更の春の季語。東北地方の人たちの、計り知れない
優しさに、打たれる思いで読みました。

 雁は海を渡る時、羽を休めるために、小さな枝を咥えて飛び、海岸に着けば、
 波に浮かべておいて、帰路にまた咥えて行く。
 残った枝の数は、失われた命の数。
 その木片を集めて、供養の風呂を焚く。

その慣わしが、季語として生かされ、現在も多くの秀句が詠まれ続けている、そのことも
また、ワタシには驚きです。

  ・ 雁風呂や笠に衣ぬぐ旅の僧  飯田蛇笏

  ・ 砂山にぽかと月あり雁供養  永田青嵐

  ・ 雁風呂やしずくしそうな人のこゑ  石田郷子

コメント
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