575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

推敲のチエックポイント・5 ~切れ字が使われているか~(等) 

2016年12月04日 | Weblog
この稿を書くのに当たって、ただスラスラと書くことは出来ませんので、これまでに読んだ俳句の本を読み返しながら、”再度勉強”の積りで書いています。中でも勉強になったのが今日の「切れ字」です。
いろいろな先生のご意見をご紹介します。

先ず、早稲田大学名誉教授の堀切実さんは、この「切れ字」の効用について、①「や」「か」などの切れ字を使うことで、散文的な表現を詩的表現にしている②「切れ」は想像力を生みその後の余韻残像を導く③「切れ」により前後二つのイメージによる重層性を発揮するとし、有名な「古池や蛙飛び込む水の音」の句では、「や」は古池のイメージを浮かび上がらせ、次の「蛙飛び込む」のイメージと重ねると述べています。
そして面白いのはこの後で、”「切れ字」は自然の花の命を一旦は切り、これを再び生かす「生け花」と同じである”と言っていることです。

次は櫂未知子さん、何においても威勢の良い方ですが、「切れ字」についても歯切れよく説いていらっしゃいます。先ず効用ですが、①詠嘆を表す②余計なことは言わず、省略出来る③句の調子が整い格調が生まれる、としています。
そして句を作る場合、何が何でも先ずは「切ってみる」ことを心掛け、平板な一行の文に終わらせず、「韻文」として「詩」として俳句を成立させて下さいと、説いています。

最後は井上弘美さん、いろいろな「切れ字」の使い方を説明しています。
「雁(かりがね)やのこるものみな美しき」(石田波郷)
この句は「雁」と「のこるものみな美しき」の二つの内容が詠まれ、「や」の切れ字によって二つの世界が融和し、全く新しい世界を作り出しています。上五にハッキリした切れのある方がスッキリし、景が広がります。
「かな」は基本的に名詞に接続し、その名詞を強調しつつ、一句全体を感動をもってまとめあげます。従って「かな」を使う場合は一句全体が上から下へ流れるように作ります。
「けり」は動詞や助動詞に接続し、句をスッキリとまとめます。
切れ字を使わなくても、名詞や動詞助動詞の終止形を使うことで「切れ」が生まれ、特に中七に「切れ」を作ると言葉が省略出来、句が引き締まります。

以上、「切れ字」のあれこれについて、諸先生のご意見を紹介しましたが、私はそれ以来必ず「切れ字」を使うようにしています。だって言葉が省略出来るし、しかも前後の”重層性”を作ってくれるのですから、こんな良いことはないと思いますよ。

 「古民家に馬の草鞋や山は雪」 (等)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする