575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

12月句会の投句が集まりました。    遅足

2012年12月19日 | Weblog
今朝は青空。12月らしい寒さです。
太平洋側が青天の時は、日本海側では雪でしょうか。
この雪が日本列島は豊かな恵をもたらすと聞いたことが。
多すぎるのは困ってしまいますね。
加減良く降って欲しいと思います。

今回もいろいろな句が集まりました。

題詠「十二月」
①飛脚ネコ馴鹿(となかい)続く師の走り
②ゆるゆると街が濃くなる十二月
③旅立ちはひとりと悟る十二月
④あきらめてあきらめきれぬ十二月
⑤足早に犬曳き帰る十二月
⑥紐解けば故郷の匂う十二月
⑦ストローのどこか詰まって十二月
⑧せかされてせかしてすぎる十二月
⑨美しき誤算の灯り十二月
⑩湯船にて手足伸ばして12月
⑪鍋底の汁に手あぶり十二月
⑫余白ありて埋められぬまま12月
⑬鉄塔に志あり十二月

自由題  
①夜の雪見上ぐる我が身空に落つ
②言の葉の切れ端集め年暮るる
③雪の日の襖の目張り第九聴く
④冬うらら千体仏の千の顔
⑤大根を買ってイエスの妻いそぐ
⑥涸川や吹き積もりをる葉の厚さ
⑦マスクして素っぴん隠しひとっ走り
⑧背を丸めまだらに陽受く紅葉坂
⑨切り離れこたつの宇宙周回中
⑩短日や量子力学微積分
⑪やさしさを混ぜてみました玉子酒
⑫年賀の画グルグル巡り早幾日

私、風邪を引いてしまいました。残念ながら欠席です。
会では、どの句が選ばれるのでしょうか?楽しみです。

                    遅足



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雪幻想   鳥野

2012年12月18日 | Weblog

 ・いざ行かん雪見にころぶ所まで  芭蕉

 ・初雪をいまいましいと言うべきか 一茶

雪に寄せる思いはそれぞれです。

雪と聞けば、それだけで小躍りしていたワタシも、
このところ、反省させらています。

大震災の被災地を容赦なく襲う雪、屋根に降り積む
雪を下す術のない高齢者。ライフラインの凍結、交通の遮断・・・
どんなにか不自由なことか。

温暖な地方に住んで、ただに雪を恋う傲慢。
例年になく早い初雪に思いは複雑でした。

 ・ 灰色の空から眞白の雪が降る 浄化の不思議、
   懺悔の不思議
                  鳥野
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じいちゃんの昔語り聴く冬帽子    郁子

2012年12月17日 | Weblog
孫に昔話をする静荷さん。
小学生の頃、お弁当を盗まれてしまった。
便所の裏手にお弁当箱だけが放ってあった。
お弁当を盗む子も、盗まれる子も可哀想だった、と静荷さん。
初めて聞く時は、真剣だったお孫さんも、何回も聴く内に・・・

作者の詠んだ冬帽子も、ひとりぼっちのおじいさんの姿。
冬帽子だけが聴いている昔話。

                       遅足


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冬帽子かぶり直して秘密あり     童子

2012年12月17日 | Weblog
仔細の始終を見ていたのは帽子だけ、と鳥野さん。
どんな秘密かはヒミツ、と作者。

確かにヒミツはヒミツだから心惹かれるモノ。
ここは詮索はやめて、句を味わいましょう。

                  遅足

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シケ続き白髪頭に冬帽子     能登

2012年12月16日 | Weblog
テレビで見た、東北の海を見つめる年老いた漁師さんの姿。
一枚の絵のような句ですね。

漁師さんという仕事は、一番、自然に近く、歴史の長い仕事かも。
海は恵を与えてくれるとともに、命を呑み込む怖ろしい存在。
サラリーマンとは違った人間の原点の姿です。
シケの続く海を前に、人間はなにも出来ません。しかも厳しい冬の日本海。
白髪頭に毛糸の帽子を目深く被って、沖を見つめる眼の光に衰えは見えません。

                   

今日は総選挙の投票日。荒れる冬の政治の海・・・
個人的には、この句の漁師さんのような心境です。
戦後の憲法を変えるか?という大きな曲がり角です。
沢山の政党が候補者を立てているのは、その現れでしょうか。
一票を大切にしたいと思います。

                       遅足


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冬帽子犬猫パンダ手を引かれ     すみ

2012年12月15日 | Weblog
幼稚園の子供たちの散歩でしょうか。
犬や猫、パンダが手を引かれて歩いていくようです。
平和な日本の一齣です。

              

今朝は雨。昨日、サトイモを収穫しました。
親芋に小芋が連なって、家族のようです。

中国との領土問題、北朝鮮のミサイル発射。
日本周辺がきな臭くなっています。
「平和を守るには忍耐心が必要」
先の戦争を体験したフランス文学者の言葉です。

子供たちが銃を手にするような日本にはしたくないものです。

                      遅足


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生まれくる子にピンクの冬帽子       麗子

2012年12月14日 | Weblog
作者が一歳になった時、母が手作りのピンクの帽子。
それが今も実家に、と作者。

子供の頃は、母が毛糸でセーターを編みました。
両手首に毛糸の束を持たされて、毛糸玉を巻いてゆく母。
この両手がついつい下がってしまう。また持ち上げる・・・

昔は、嫁入り修業の一つとして裁縫がありました。
裁縫の上手な女性は大切にされたようです。
着るものにはタマシイが籠っているとも考えられていました。
現代では、こうしたメンタリティは消えてしまったかも知れません。
しかし、手作りには、作った人の思いが込められいる。
それは今も変らない真実ですね。

             

庭に雀の群が戻ってきました。今朝はシジュウカラの姿も。
冬になると、小鳥たちは朝早くから食事に。
決まったコースがあるらしく、その中の一つのようです。

                         遅足



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口笛の少年老いぬ冬帽子      亜子

2012年12月13日 | Weblog
口笛を上手に吹く女性の姿をテレビで見ました。
夫に吹いてみてと、頼みましたが、吹けなくなっていました、と作者。

私も口笛を練習しましたが、一向に上手になりませんでした。
その頃、夜、口笛を吹くと悪いことがある、と言われた記憶があります。
なぜなんでしょう?

牛若丸と弁慶のエピソードの五条の橋。橋は、この世とあの世をつなぐ境界。
この橋を、牛若丸は「夜」「笛を吹きながら」渡ってきます。
笛を吹いたとき現われた弁慶は、いわば「魔物」。
「夜の笛」は、未知との遭遇ならぬ「神霊的存在との遭遇」を引き起こします。
口笛も同じで、夜に吹くと、魔物を呼び覚ます、とされていたそうです。

神々と人間が一緒に棲んでいた時代の考えが、まだ残っていたんですね。
今、口笛は純粋に音楽として楽しまれるようになりました。
作者がテレビで見たのも、音楽としての口笛を楽しむ女性だったのでしょうね。

                 

水、木とお医者さんに。薬を貰って年末、年始に備えます。
2つの病院ともに人で一杯。
大きな病院では12時半から3時過ぎまで待って30秒の診察。
でも異常なし、なので、ヤレヤレ。
俳句の本なども読み、院内を散歩、充実した時間でした。

                       遅足



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「十二月」句会近づく      遅足

2012年12月12日 | Weblog
今年最後の句会が近づいてきました。
今回の題詠は「十二月」です。
「師走」とも言いますが、ちょっとニュアンスに違いがあります。
新しい季語といっても良いでしょうか。

  信号の赤に堰(せ)かれし十二月    今井千鶴子

赤に堰かれる、という表現が、気ぜわしい十二月ならでは。
赤信号というコトバも、師走より十二月がピッタリという気がします。

  棄て兼ねしものを捨て切る十二月    長田友子

大掃除をしながら、思い切って断捨離を実行する。この気持ちもよく分かります。

十二月といえば八日。太平洋戦争が始まった日。

  十二月八日を夫の言ひ出づる      天野慶子

戦争で被災、戦後の厳しい時代を思い出している老夫婦の姿が浮かんできます。
この後、二人の間で、どんな話があったのでしょう?

どんな十二月の句が集まるのでしょうか?楽しみです。

   
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ようやくの鴨  鳥野

2012年12月11日 | Weblog
 ・水底を見て来た顔の小鴨かな 丈草

句の出来、不出来は分からぬまま、ワタシの大好きな
一句です。

当方の住まいに近い堀川は、この時期、飛来する
小型の渡り鳥の楽園でした。
よく見れば、姿のどこか異なる鴨の類が、争いもなく
のどかに浮いていました。
それが大掛かりな河川敷の改修工事で、飛来
ゼロという年も。
今年になって、ようやく小さな群れを見るところまで、
漕ぎつけたのです。
秋沙(あいさ)、たかべ、羽白などの異称を持ち、
俳人に愛されてきた鴨たち。いつまでも堀川の景物
として、賑わいを見せてくれますように。

 ・水底を見て来し鴨をさがしおり 鳥野
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平和来て夢も実現ノーベル賞   ファン・ロンパイ

2012年12月10日 | Weblog
この句、EUの大統領、ファン・ロンパイさんのもの。
EUがノーベル平和賞を受賞した記念に詠んだ句。

ファン・ロンパイさんは、オランダ語俳句作家としても知られた方。
オランダ語の句は、三つの短い文章に五・七・五の音節があり、
独特のリズムを持つそうです。
毎晩、就寝前に句をつくっているとか。

この句は英語だそうですが、どんな575になっているんでしょう。

                             遅足

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せせらぎにぽっかり浮かぶ冬帽子      智恵

2012年12月10日 | Weblog
今朝の名古屋は雪です。岐阜は積もっています。
三重は南北にながい県。
北は雪ですが、南は雪が積もることはないでしょうね。

この句、ありそうな景ですが、少し哀れさを思わせます。
この先がどうなのかな・・・などと、結宇さん。
2時間ドラマの冒頭シーンのような句との声も。

私は意味を求めず、景色として楽しみました。
ぽっかり、というコトバが、そうした読み方を支えてくれます。

寒い上に雪まで、足元には充分、気をつけて下さい。  遅足
                        

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バスツアーどっと乗り込む冬帽子     立雄

2012年12月09日 | Weblog
待望の旅行?遠足?色とりどりに、と鳥野さん。

日帰りバスツアー。盛んですね。シニア世代にとっては手ごろなツアーです。
どっと乗り込むのは、一番元気な世代のオバサンたち(失礼)か。

バスが帰省やスキーツアーに使われ、人気を集めたのは、1960年代。
子供たちとスキーツアーに行ったことがありますが、強行軍でしたね。
早朝にバスに。何時間も揺られて、数時間スキーを楽しんで、深夜に帰宅。
思い出しただけでも疲れます。

バスツアーの始まりは、戦前、1930年代。
東京乗合自動車が、旅行会社と提携した「東海道五十三次遊覧自動車の旅」とのこと。
本格的にバスツアーが楽しめるようになったのは、戦後。
高速道路が普及した最近では、婚活バスツアーなど様々なツアーが盛んです。
もちろん京都の秋を楽しむツアーも。

                          遅足

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陽に干すや去年の匂い冬帽子    朱露

2012年12月08日 | Weblog
そろそろ時期という頃でしょうか、古い帽子を持ち出して準備ですね。
過ぎし一年のいろいろな事も含めて思い出されます。
自然体で、結構ですね、と結宇さん。

フェルトの帽子、革の帽子、手入れは結構、手間がかかるそうです。
しかし、手さえ、かければ、何年も被れるとか。
(私は帽子をほとんど被らないので・・・)
作者は、陽に干しました。
この帽子を被っていた頃のことが、思い出されたのでしょうね。
去年の匂い、と言ったところが良いですね。

                          遅足
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冬帽の眼までむずかる背ナのやや     静荷

2012年12月07日 | Weblog
よくある風景です。自身の孫でしょうか。
雰囲気がよく分かります、と結宇さん。

何時の頃からか、オンブをする母の姿を見かけなくなりました。
今では、ほとんどの人が、ダッコです。
このほうが、子供の様子がよく分かるためでしょうか。

これは少子化、それと、女性の家内労働が
大きく軽減されたことが背景にあるのでしょうね。
オンブなら両手が自由に使えますから、
母の時代、主婦はオンブしながら掃除や洗濯をしていました。

ヨーロッパでは、赤ちゃんをオンブしないし、ダッコもあまりしないようです。
生活様式が、西欧化していくなかで、一時、少なくなったダッコやオンブ。
赤ちゃんと、精神面でも身体面でも一体感を得られるとして、
見直されているとか。
(そういえば子育ての頃、スポック博士の育児法、という本が
我が家のバイブルでした。)

作者は、眼まで被ってしまった赤ちゃんを見ると、
そっと直してあげるそうです。

                         遅足


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