575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

大白鳥羽搏けるとき小鼓の音  等

2019年02月11日 | Weblog

名古屋城のお堀に棲みついているオオハクチョウ。
よく人になついて餌をもらっています。
作者は、聞いたことの無い音に耳を奪われました。
それはオオハクチョウが飛んでいるところでした。
それを小鼓の音と詠みました。

渡り鳥の飛来ポイントのひとつ、兵庫県伊丹市の昆陽池公園。
冬鳥のカモが激減しているといいます。
ここ40年で10分の1以下にまで減っているそうです。

私の散歩圏内である名古屋市の池でも変化が見られます。
カモが減ってバンが増えています。
姿を見なかったカワセミも都会の池に現れています。
生態系も諸行無常のようです。(遅足)
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火の粉避けとん汁を待つどんど焼き  郁子

2019年02月10日 | Weblog

昨日、今日と寒い日が続きます。
焚火のような火が恋しくなってきます。

寒い中、待っている姿がうかびます、と幸泉さん。
寒さ熱さ匂い音が感じられる、とすみさん。

佐保子さんにも左義長の句。

  ふるさとの左義長の日や黒き餅  佐保子

「左義長」「どんど焼き」は小正月の行事。
田んぼや空き地に、竹や木どで作った小屋(どんどや)を組み、
松飾り・注連縄などを積み上げて火をつけ燃やします。
この火で焼いた団子や餅を食べると、この一年健康とも。

そういえば焚火が禁止されてから、どんど焼きを見ることも
少なくなりました。
私が初詣に行く千種区にある神社の左義長には、仏具、カレンダー、
ランドセルなどを持ち込む人がいるとか。困った人たちもいますね。
でも焚火の火は懐かしいなあ。(遅足)
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山形一泊の旅 ~ 立石寺 ( りっしゃくじ ) ~ 竹中敬一

2019年02月09日 | Weblog

山形県鶴岡市の湯田川温泉で一泊した翌朝、高速バスでJR山形駅へ。

さらに仙山線で山寺駅へ 。

帰りの飛行機のことを考えると、せいぜい2時間位しかないので、

駅からタクシーをチャーター。

若い運転手さんでしたが、私と一緒に歩いてガイドもして頂きました。

この運転手さん毎日のようにお客さんを案内しているようで、山寺の

ことには詳しい。

まず、根本中堂では法灯が千百余年間、今も燃え続いていること。

慈覚大師が開いた天台宗のお寺であることを教えてもらいました。

まもなく行くと、" これが芭蕉さん あれが曽良さんの銅像です "と

言われるので、一休みしながら写真を撮る。

何しろ、奥の院まで行くには、1000段余りの石段を登らなくては

いけません。

最初から途中までと決めていたのですが、それにしても厳しい。

だいたい、私のような80代の老人はこの日に限ってか、一人も見かけ

ませんでした。

手すりにつかまり、休み休み参道を登る。

道すがら運転手さんが言うには

" 芭蕉さんがここを訪れた今の7月13日頃、私もお客さんのガイドで毎年、

来ていますが、この時期にセミが鳴いているのを聞いたことがありません。

こちらでは、セミは鳴いていなかったという説がありまして……"

そこで、私 " あゝそうですか。ここへ来る途中、インターネットで

調べてみたら、歌人の斎藤茂吉は鳴いていたのはアブラゼミとしたのに対して、

夏目漱石門下の評論家 小宮豊隆はニイニイゼミだと言って結局、

小宮の説に落ち着いたと書いてありましたが、そもそも、セミは鳴いて

いなかったという説は初めて聞きました。"

などと言っているうちに、石段を600段位のところにある 「 せみ塚 」まで

登ることができました。

運転手さんと一緒でなかったら到底、無理だったでしょう。

改めて芭蕉の名句 " 閑かさや岩にしみ入る蝉の声" について後で私なりに

考えてたのですが、…… 。

まず、セミが鳴いていたか、鳴いていないか、それは、どちらでもかまわないと思います。

芭蕉はこの後、訪れた酒田で「 暑き日を海に入れたり最上川 」と詠んでいるように、

この時期はとても暑かったのでしょう。

ひょっとして、セミは鳴いていたかもしれません。

それはともかく、立石寺は当時 、伽藍も沢山あり 、寺僧で賑わっていたようですが、

「 おくのほそ道 」を読むと 芭蕉が訪れた時間帯などについて

「 日いまだ暮ず。麓の坊に宿かり置て、山上の堂にのぼる。( 中略 )

岩上の院々 扉を閉て、物の音きこえず。」とあります。

今の7月13日 、立石寺の麓の宿を出て山上へ向かったが、どの小寺院も

すでに扉を閉めて森閑としている。

この静けさを際立たせるために、それとは正反対のあの喧しいセミの声を

思いついた。

ここが、絵画でいえば前衛的で素晴らしいと私は思うのですが …… 。

ところが、曽良の「 俳諧書留 」によると、最初の句は

「 山寺や 石にしみつく蝉の声 」。

その後、推敲に推敲を重ねて「 閑かさや… 」が生まれたという。

だとすると、初めから、静けさを際立たせるために、わざと、

うるさいセミの声をもって来たという考えは当たっていないような気がしてきます。

いずれにしても、門外漢の者の推測はここまでとします。

これで、やっと 「 山形一泊の旅 」は終わりとします。

ありがとうございました。


写真は山形市山寺の立石寺 、 1000段余の半分近く「 せみ塚 」の辺りから撮る 。
もう少しで仁王門でしたが、私はここまでが限界でした 。

             

あの石段はキツイですね。ご苦労様でした。
蝉は鳴いていなかったという説もあるんですね。
とても興味深く読みました。遅足




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初稽古父の淹れた茶柱立つ  殿

2019年02月08日 | Weblog

初稽古のあと父が茶を淹れてくれました。
ふと見ると茶柱ひとつ。
元旦の凛とした朝。
寿ぎを祝すような湯気が立ち上ります、と作者。

初稽古。① 入門して初めての稽古。
    ② 新年になって最初の稽古。稽古始め。
この句は新年最初の稽古。伝統芸能などを連想します。
ピアノや声楽でも初稽古というのでしょうね。

お父様は師でもあるのでしょうか?
お茶を淹れていただきました。
新年らしい気持ちのよい句です。

七五への展開が窮屈な感じがします。

 初稽古父の淹れたる茶に柱

 初稽古父にたまわる茶に柱

でも分かると思いますが、いまいちかも。遅足
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メリーポピンズ リターンズ   麗

2019年02月07日 | Weblog
先日の映画の日に「メリーポピンズ リターンズ」を見て来ました。

1964年に公開されたジュリー・アンドリュース主演のミュージカル映画「メリーポピンズ」の続編です。
実は私、「チムチムチェリー」の歌は知っていても、映画は見たことがなかったのです。(なんせ1964年は私の生まれた年)

いきなり、リターンズから見てしまいましたが、すっかり心を持って行かれました。
前作から25年後、大恐慌時代のロンドンが舞台です。子供だったマイケルは三人の子供の父親に。そして、妻を亡くして家は大ピンチ。そこへ、また、メリーポピンズが颯爽と空からやって来ます。

映像も美しくファンタジーいっぱいの夢のあるお話。ちょっぴり泣けて好きな映画となりました。

すっかりメリーポピンズの魔法にかかってしまった私は、その後アマゾンプライムで「ウォルト・ディズニーの約束」(ディズニーがメリーポピンズを映画化させる経緯を描いた作品)、そして1964年の元祖「メリーポピンズ」を2作続けて見てしまいました。

時代をさかのぼって見えて来た物がたくさんありました。前作とのつながりや隠しキャラも。
メリーポピンズは風向きが変わるまでバンクス家にいましたが、春一番の南風に乗って我が家にもポピンズが来てくれた感じです。
子供の心を取り戻せる映画です。明るい春を運んでくれる一作。前作を知らなくても大丈夫♪
ぜひ映画館でどうぞ。

        春一番色んなものを運びけり  麗
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初夢や回転木馬無音にて  結宇

2019年02月06日 | Weblog

にぎやかな音を奏でる回転木馬。しかし無音として表現。
幻想的なサイレント映画を観る印象。
馬の絵を得意としたマルク・シャガールの
神秘的な色彩世界に迷い込んだ感、と殿さま。

音のある夢はあまり見ませんね。
過去のことなのに、いつも現在形なんです。
展開も想定外。そのなのにリアルな世界。
そして・・・

  はじまりは初夢からの帰り道   遅足

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初あかり小さき古墳を抱く街に  亜子

2019年02月05日 | Weblog

初あかり。元日の朝、東の空がほのぼのと明るくなること。
また、さしてくる明け方の光のこと。

名古屋市のど真ん中、大須に小さな古墳があります。
那古野山古墳(なごのやまこふん)です。

6世紀の初め、継体天皇の時代に築かれた古墳群のひとつ。
被葬者はわかっていませんが、尾張氏の一族では、と考えられています。
いくつも古墳があったのですが、唯一残ったのがこの古墳。
江戸時代には半分に削られて、庭の築山として活用されていました。
明治に入っても破壊の危機を免れ、公園の一部となって生き残りました。
現在では周りをビルに囲まれた状態となっています。

小さな古墳を抱くように眠っていた街。
新年の光がさしてきます。高い視点からの映像が浮かんできます。
変化をしながらも古い遺跡をのこして発展してきた街。
その長い時間を感じさせる句です。(遅足)

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A型の我が家訪問寒の入  能登

2019年02月04日 | Weblog

寒の入りとともにA型インフルエンザが我が家に。
有難くない訪問者です。

久々に寝込みました。曜日の関係で休日診療所に行かざる得ず、
インフルエンザウィルスに満ちた満員待合室での3時間も凄い体験でした。
もうこりごりです、と作者。

今年のインフルエンザ、衰えるどころか勢いを増すばかり。
患者数は200万人を突破、最多だった昨年を越えたそうです。
2009年に発見された新しいA型が50%。A香港型が49%。B型が1%。
すみさんの句もインフルエンザに関するもの。

  咳く人を遠目に眺め明日思う  すみ

インフルエンザのウイルスは感染力が強く、咳などで飛び散った
ウイルスの付いたものに触ると、鼻や口、目、肌などを介して
感染することがあるそうです。
一に手洗い二に手洗いが有効なのはそのためですって。

今日は立春。春はすぐそこまで。インフルエンザの流行も収まる時期です。
もうしばらくは、家に帰ったら手と顔を洗いましょう。(遅足)
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化粧濃きひとのまず買ふ懸想文  遅足

2019年02月03日 | Weblog
昨日は節分。京都の八坂神社では舞妓さんの豆まきが行われたとのこと。

          

同じ京都の須賀神社では、2日と3日、立烏帽子に水干装束の
懸想文売りが梅の枝を持ち売り歩きます。
この懸想文を得ると容姿が端麗となり良縁に恵まれるとの由。
とまれ、作者の観察のするどさに脱帽。

「懸想文売り」は、夏井いつき氏「絶滅寸前季語辞典」に掲載。
稀少な季語を巧みに使った句。
実は懸想文売りは貴族の副業。売り手の怪しげな覆面は
貴族が顔を隠すのが目的。

ところで、小川 糸 著「ツバキ文具店」は現代版の懸想文売り。
大切な人への想いは今昔を問わないようです。

殿様の評です。なにも付け加えることはありません。素晴らしい評です。
ありがとうございます。遅足


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山形一泊の旅 ~ 湯田川温泉 ~ 竹中敬一

2019年02月02日 | Weblog


昨秋、NHKの 「 ブラタモリ 」を見ておいたお陰で、小高い日和山公園

から酒田市内を眺めていると、その地形や港、市街地などの位置関係も

概ねわかりました。

私は昭和50年代の一時期、TBS系のトーク番組 「 すばらしき仲間 」の

プロデューサーをしていた折、タモリさんと山下洋輔、坂田明ら

その仲間に出演してもらったことがあります。

とにかく筋書きはあってないようなもので、当意即妙、抱腹絶倒のトーク

と芸には凄みがあり、人気がありましたが、「 ブラタモリ 」 を見ていると、

まだその片鱗が見られます。

大体、地質や地形をテーマにした旅番組などとても地味で企画にも入らない

と思いますが、それが見事な知的エンターテイメントになっています。

矢張り、タモリさん抜きには考えられない番組だと思います。


旅の宿をどこにするか。予め、温泉のあるところをと思い、インターネットで

調べてみたら、酒田から羽越本線で30分位の同じ庄内平野にある鶴岡市に幾つか

温泉があるので、電話をしてみたところ、紅葉のシーズンでどこも満室。

そのうち、湯田川温泉に延喜式の神名帳に由豆佐売 ( ゆずさめ ) 神社が

鎮座していることを知り、" ここに決めた "と思って宿を探してみたところ、

幸い一軒、予約がとれました。

宿に着いたのはその日の夕方、ちょっと熱めの温泉に入った後、予め頼んでおいた

塩分控えめの質素ながら心のこもった夕食を頂き、翌日、目がさめると外は雨。

朝食後、出発までに1時間位あるので、宿で傘を借りて、少し行ったところに

鎮座する由豆佐売神社に向かいました。

すると、途中で急に雨があがり、薄日が差してきました。

杉木立の中の長い石段の向こうにお堂のような建物の屋根が雨上がりで時々、

陽を浴びて輝き、神さびてみえました。

私の今回の旅で一番、印象深いものとなりました。

宿の女将の話では、小説家の藤沢周平は鶴岡市の出身で、湯田川中学の教員を

していた時期があり、この地区にもたくさん、教え子がいるとのこと。

藤沢周平 原作の「 たそがれ清兵衛 」のロケがこの神社で行われたそうです。


鶴岡市から高速バスで山形市へ向かいましたが、移動中は雨で念願の月山を

見ることもできませんでした。


山形県鶴岡市 湯田川温泉の 由豆佐売 ( ゆずさめ ) 神社
2018年10月29日 筆者 撮影

              

たしかにタモリさんは稀有なタレントですね。
石の話をしても違和感がありません。遅足





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新年にふるさとの味氷頭なます   幸泉

2019年02月01日 | Weblog

ご主人のふるさとが北國と聞きました。
作者のお宅のお正月の味ですね。
じつは私、氷頭なます。知りませんでした。

氷頭(ひず)とは鮭の鼻先の軟骨の部分。
氷のように透きとおっているためこの名がある。おせち料理の一つ。
作り方は、薄切りにした氷頭に塩をして酢で洗い、酢につけて置く。
薄切りの大根と合わせて、酢・砂糖・塩を合わせた調味料で和える
と、ウイキペデイアにありました。

父母が三河生れの我が家。山家生まれの母は魚が苦手でした。
氷頭なますは一度も口にした記憶がありません。

歳時記では、氷頭なますは秋の季語になっていますが、
この句の場合、新年という季語が主。
この季重なりは問題ありません。OKです。(遅足)

  新年の味ふるさとに氷頭なます

  流星の降る夜となりぬ氷頭膾  八牧美喜子

  氷頭膾父に放蕩なかりしか  大石悦子
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