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【一口紹介】
瀬戸内寂聴入魂の書き下ろし。71の心の場面に応じて選ばれた功徳のあるお経などを厳選し、わかりやすく解説。
疲れた時、淋しい時、心に屈託を抱えている時、いつでも気軽に開けば、どの頁からも短く美しいお経や詩歌の言葉が囁きかける。
観音経、阿弥陀経、法句経から、寺山修司、良寛、宮沢賢治まで、心が穏やかになる美しい言葉集。
【読んだ理由】
著者と題名に惹かれて。
【印象に残った一行】
2.仏前にまずあげるお経(懺悔文=さんげもん)
我昔所造諸悪業 皆由無始貧瞋痴 従身語意之所生 一切我今皆懺悔
(ガシャクショゾウショアクゴウ カイユムシトンジンチ ジュウシンゴイシショショウ イッサイガコンカイサンゲ)
私が昔から造ってきたすべての悪い行いは、いつから始まったともしれないはるかな昔から私に具わった「貧(むさぼり)」と「瞋(いかり)」と「痴(おろかさ)」が原因となり、体と言葉と心が生んだものです。
私は過去のこれらの罪のすべてを、いまこそ、心からみ仏に懺悔します。
貧、瞋、痴は、三毒といって貪欲、瞋意(しんに)、愚痴ともいい、人間のこころに生まれた時から巣くっている悪の素です。
漢訳のお経を繰り返し称えていると、意外になめらかな言葉で、馴れてくると、いつも間にか快い気分になっています。
11.口に出して読めば心が鎮まる(法句経)
眠れない者には 夜はとても長い
疲れきった者には 道はとても長い
愚かな者には 一生はとても長く
人生の正法ついに知ることはない
「愚かな者」というのは、頭が悪い者と言う意味ではなく、人間の生き方や人生の意味について真剣に考えようとしない者のことをさしています。
68.人の世のはかなさ(閑吟集)
憂きも一時(ひととき) うれしきも 思ひ醒ませば夢候(そろ)よ
思へば露の身よ いつまでの夕(ゆうべ)なるらむ
人の心は 知られずや 真実 心は知られずや
ここにあげたのは、人の世のはかなさや、人の命のはかなさや、人の心の頼りなさを歌っています。
その思いをつきつめてゆけば、仏教に救いを求める心につながっていくでしょう。
【コメント】
お経とは仏教徒が大切にする聖典で、キリスト教の「聖書」、イスラムの「コーラン」のようなもの。
ただし、お経は釈迦(ブッダ)の教えを訳したものであるが、釈迦自身が書かれたものではなく、釈迦の死後、弟子たちが集まって忘れないうちにと、聞き覚えている教えをまとめたものである。
お経は死者を弔う為にあるのではなく、今を生きている私たちに生き方を教えてくれるもであるという思いを強くした。