![]() | ザ・前座修業―5人の落語家が語る (生活人新書)稲田 和浩,守田 梢路日本放送出版協会このアイテムの詳細を見る |
【一口紹介】
◆内容(「BOOK」データベースより)◆
人気と実力で知られる落語界の5人のスターたち。彼らはどのような修業を経て真打になったのか?徹底して叩き込まれる序列への配慮と礼儀。師匠への過剰なまでの気配り。トラブルや危機が起きたときのとっさの判断と対処法。―それぞれの経験をふまえ、独自のしきたりが生き生きと語られるなか、落語への限りない愛情が浮かび上がってくる。“社会の前座たち”に贈る、一人前になるための英知の言葉。
【読んだ理由】
落語ファンとして。
【印象に残った一行】
あまり言い訳に聞こえてしまうのは嫌ですが、新作落語をやる噺家の鼻先には、いつも美味しい古典落語という誘惑のネタがぶら下がっているんです。新作を生みだすのは、すごいエネルギーを使うし、苦しいんです。古典落語は、長い年月を経て磨き抜かれた完成度の高い落語です。必ずお客様に笑ってもらえる、受けることが確実な落語です。苦しさから古典に逃げるような誘惑とも戦わなくてはならないんです。(古今亭昇太)
前座修業とは、いったい何を習い始めるのだろうか、そして、それにはどんな意味があるのだろう。
この問いに、五人の師匠がたが五通りに応えてくださった。
円杖師匠は「夢の実現のために耐える。こういう時期が人生にあってもいい」と語り、正蔵師匠は「いつか心が折れてしまうことがないように修業するのだ」と語った。小三治師匠は「身体を使って物事に相対することを学ぶことであり、いつかそれが落語に表れる」という。それぞれ、じつに示唆に富んだ答えである。
「噺家として、楽屋で師匠がたに、お茶を出したり着物を畳んだりして働くことに意味があったのかわからない。ただ、この時代が落語の修業ではなく人間としての修業時代だということだけははっきりいえる」という昇太師匠の言葉は意味深かった。また、「楽屋仕事のエキスパートになっても意味がない」と談志師匠に教えられた志らく師匠は「自分の頭を使って対処することを身につける時期なのだ」といっている。
【コメント】
『「落語」を楽しむためのミニガイダンス』も巻末にあり落語入門書にもなっている。
落語に興味のある人に一読をおすすめする。

