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【一口紹介】
◆内容紹介◆
栗原一止は信州の小さな病院で働く、悲しむことが苦手な内科医である。ここでは常に医師が不足している。
専門ではない分野の診療をするのも日常茶飯事なら、睡眠を三日取れないことも日常茶飯事だ。
そんな栗原に、母校の医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば、休みも増え愛する妻と過ごす時間が増える。最先端の医療を学ぶこともできる。
だが、大学病院や大病院に「手遅れ」と見放された患者たちと、精一杯向き合う医者がいてもいいのではないか。
悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。第十回小学館文庫小説賞受賞作。
◆内容(「BOOK」データベースより)◆
神の手を持つ医者はいなくても、この病院では奇蹟が起きる。夏目漱石を敬愛し、ハルさんを愛する青年は、信州にある「24時間、365日対応」の病院で、今日も勤務中。読んだ人すべての心を温かくする、新たなベストセラー。第十回小学館文庫小説賞受賞。
◆著者略歴◆
1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒。長野県の病院にて地域医療に従事。『神様のカルテ』で第十回小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー
【読んだ理由】
今、旬の本。
【印象に残った一行】
現代の驚異的な技術を用いてすべての医療を行えば、止まりかけた心臓も一時的には動くであろう、呼吸が止まっていても酸素を投与できるであろう。しかしそれでどうするのか?心臓マッサージで肋骨は全部折れ、人口呼吸の機械で無理やり酸素を送り込み、数々のチューブにつないで、回復する見込みのない人に、大量の薬剤を投与する。
これらの行為の結果、心臓が動いている期間が数日のびることはあるかもしれない。
だがそれが本当に"生きる”ということなのか?
迷うた時にこそ立ち止まり、足下に槌をふるえばよい。さすれば、自然そこから大切なものどもが顔を出す。
そんなわかりきったことを人が忘れてしまったのは、いつのころからであろうか。
足もとの宝に気付きもせず遠く遠くを眺めやり、前へ前へと進むことだけが正しいことだと吹聴されるような世の中に、いつのまになったのであろう。
そうではあるまい。
惑い苦悩した時にこそ、立ち止まらねばならぬ。
川を塞き止め山を切り崩して猛進するだけが人生ではない。そこかしこに埋もれたる大切なものどもを、丁寧に丁寧に掘り起こしてゆくその積み重ねもまた人生なのだ。
【コメント】
2010年本屋大賞第二位作品にふさわしくすばらしい読後が爽やか。また、読後に書名の由来が理解できた、一読をお薦めする。
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