9:娘日時計 未の刻
辰ノ刻(午前八時)から巳、午、未、申と午後四時までの五刻に分けて、町家の娘の一日を描いた揃い物である。
昼食のあと未ノ刻(午後二時)で一服というところであろうか。
この揃い物で歌麿は、顔の輪郭の墨線を排して、空摺りと背景の黄つぶしで女のやわ膚の白くふくよかな感じを出そうとしている。
この図ではあごから肩の線までうかしているが、彫りと摺りの巧みさに負うところの多い図柄である。
※喜多川歌麿
江戸時代の日本で活躍した浮世絵師の代表的な一人。
姓は北川、後に喜多川、幼名は市太郎、のち、勇助(または勇記)と改め、名は信美。
初号は豊章といい、歌麻呂、哥麿とも号す。
通常は「うたまろ」と読むが、秘画本には「うたまる」としているものもある。
俳諧では石要、木燕、燕岱斎、狂歌名は筆の綾丸、紫屋と号して、蔦屋重三郎とともに吉原連に属した。
国際的にもよく知られる浮世絵師として、葛飾北斎と並び称される。
繊細で優麗な描線を特徴とし、さまざまな姿態、表情の女性美を追求した美人画の大家である。
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