![]() | 高度成長 (中公文庫) |
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中央公論新社 |
【一口紹介】
◆内容(「BOOK」データベースより)◆
高度成長は、わずかの期間に日本という国の姿を根本から変えた。
それは、一七年間、合わせて六〇〇〇日に及ぶ。洗濯機、冷蔵庫、カラーテレビ…。
現代生活の必需品は、すべてがこの時代に生まれたが、言うまでもなく、「甘い果実」だけがもたらされたわけではない。
現代日本の原点に、歴史と経済の両面からあらためて迫る。
◆著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)◆
吉川/洋
1951年、東京都に生まれる。専攻はマクロ経済学。東京大学経済学部卒業後、イェール大学大学院博士課程修了(Ph.D)。
ニューヨーク州立大学助教授、大阪大学社会経済研究所助教授、東京大学助教授を経て東京大学大学院教授。
著書に、『マクロ経済学研究』(東京大学出版会、日本経済図書文化賞、サントリー学芸賞)、『日本経済とマクロ経済学』(東洋経済新報社、エコノミスト賞)、『転換期の日本経済』(岩波書店、読売吉野作造賞)など
【読んだ理由】
高度成長を体験した者として、惹かれた。
【印象に残った一行】
1950年代の中ごろから20年足らず、1970年代初頭の日本は以前とは全く異なる社会へと形態変化を遂げた。それからすでに40年ほどの時が流れた。しかし現在の日本の社会は
70年代初頭とそれほど大きく異なるわけではない。1970年代の初め、街に出ればマクドナルドがあり、人々はハンバーガーを食べていた。その光景は今と大して変りがない。1955年から70年までの15年間、わずか六千日の間に生じた変化に比べれば、その後の40年間に生じた変化は小さい。
2009年、日本の平均寿命は男80歳、女86歳であった。男女合わせた全体の平均寿命83歳は世界一である。これだけ情報化が進み、医療技術が進歩した現代においても、人々にとっての最大の関心事であるはずの「長寿」は、地球上で等しく共有されているわけではない。地理的にはほんの目と鼻の先にあるお隣の中国の平均寿命はいまだに74歳であるし、ロシア人男子の平均寿命は62歳だ。インドでは平均寿命65歳。
高度成長直前1950年の日本の平均寿命は.男58歳、女61.5歳だった。これは先進国の中では一番短かった。しかし高度成長が終焉した1970年代には、それが男69.3歳、女74.7歳まで延びた。それから、40年、日本経済はさらに成長した。それとともに平均寿命は今や男80歳、女86歳となり、日本は世界一の長寿国となった。子供の数を増やすというのは生命の本能かもしれないが。一人ひとり(生物としての個体)の平均寿命の伸長も、人間の本能といえるだろう。
【コメント】
著者は私より一年あとの一九五一年生まれ。同じ日本で同じ時代背景の中で高度成長を体感してきた者として興味深く読むことが出来た。
解説に、ぜひ本書を通じて、一空気を感じてとってもらいたい。とあったが全く同感である。