
【原文】
子疾病、子路請祷、子曰、有諸、子路對曰、有之、誄曰、祷爾于上下神祇、子曰、丘之祷之久矣、
【読み下し】
子の疾(やまい)、病(へい)なり。子路、祷(いの)らんと請う。子の曰わく、諸(こ)れ有りや。子路対(こた)えて曰わく、これ有り、誄(るい)に曰わく、爾(なんじ)を上下の神祇(しんぎ)に祷ると。子の曰わく、丘の祷ること久し。
【通釈】
先生が病気になられたとき、子路がお祈りしたいと願った。先生が「そういことが有ったか。」と言われると、子路は答えて「有ります。誄の言葉に『なんじのことを天地(あめつち)の神々に祈る。』とみえます。」と言った。先生は言われた、「自分のお祈りは久しいことだ。[ことごとく祈ることはない。]」
【English】
The Master being very sick, Tsze-lu asked leave to pray for him. He said, "May such a thing be done?" Tsze-lu replied, "It may. In the Eulogies it is said, 'Prayer has been made for thee to the spirits of the upper and lower worlds.'" The Master said, "My praying has been for a long time."
『論語』とは
読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。