日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第九十二段

2021年03月23日 | 徒然草を読む


【原文】  
   或人、弓射る事を習ふに、諸矢をたばさみて的に向ふ。師の云く、「初心の人、二つの矢を持も事なかれ。後の矢を頼みて、始めの矢に等閑の心あり。毎度、たゞ、得失なく、この一矢に定むべしと思へ」と云ふ。わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろかにせんと思はんや。懈怠の心、みづから知しらずといへども、師これを知る。この戒め、万事にわたるべし。

 道を学する人、夕には朝あらん事を思ひ、朝には夕あらん事を思ひて、重ねてねんごろに修せんことを期す。況や、一刹那の中において、懈怠の心ある事を知らんや。何ぞ、たゞ今の一念において、直にする事の甚難き。 

【現代語訳】
或人が、弓の稽古で、二本の矢をセットして的に対峙した。すると師匠が「素人が二本の矢を持つんじゃない。次の矢があるからと、一本目の矢に気合いが入らなくなるじゃねえか。いつでも、一本の矢が的中するように精神統一をせんか」と指導した。師匠の手前、わざと最初の一本を無駄遣いする人もいないだろう。しかし、無意識に怠け精神は目を覚ます。師匠はその事を知っているのだ。この戒めは、何事にも同様である。

 悟りの道を歩む者は、夜には翌朝の修行を思い、朝には夜の修行を想像する。同じ事を繰り返し、「次はしっかり修行しよう」と思い直したりもする。そんな体たらくでは、この一瞬の中に、己の怠けの精神が目覚めていることを自覚しないだろう。この瞬間を自主的に生きるのは、何と難しい事であろうか。

◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2021/03/23)

2021年03月23日 | Daily Vocabulary
26886.as far as I am aware(私が気がついているかぎり)
As far as I am aware, the water pressure can't be changed. 
26887.I can see your point, but(言い分はわかりますが、でも~)
I can see your point, but I think you need to be more specific .
26888.soba delivered(そばの出前A stretch of time is a period of time 
Let's get soba delivered
26889.lockdown((緊急的な)避難、封鎖)If there is a lockdown in a building or the building is on lockdown, nobody is allowed to enter or leave because of a dangerous situation. 
Some cities that ended their lockdowns before New York have seen increased car traffic. 
26890.settle in(落ち着く) If you settle in, you become used to living in a new place, doing a new job, or going to a new school. 
How are you settling in?


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