神戸労災病院で定期検診を受けた後、原田の森の『神戸文学館』まで歩いた。14日まで「時実新子展」をやっている。
入学が決まっていた女学校の校舎が米軍の空襲で焼け、自宅待機中に親が決めた相手と17歳で結婚。
時実新子さんは小学校時代イジメに6年間毎日耐える学校生活を送りながら、皆勤したという戦う子供でもあった。
時実川柳の作風には好き嫌いがあるようだが、彼女の人の虚と実のあわいを突く鋭さを受け入れるかどうかだろう。
私は新子さんのおかげで川柳が好きになった。展示された原稿や色紙の自筆の文字はすっきりと美しかった。
◎居酒屋E“e”の女将は神戸新聞文芸の川柳壇に投稿しています。時実新子さんに選句された川柳が六句あります。
「兼題:カビ」
大切にとっておいたらカビまみれ 04年6月28日 特選掲載
「兼題:ずるい」
世渡りの知恵をずるいといいつのり 04年11月22日 入選掲載
「兼題:桃」
娘ら育ちひとり調う桃節句 05年3月28日 入選掲載
「兼題:球」
我が球をかわし今日まできた夫 05年4月25日 入選掲載
「兼題:浮く」
浮き玉に乗って漂う人生よ 05年7月18日 入選掲載
「兼題:声」
うそだよという声を待つ通夜の席 05年11月14日 入選掲載
◎「生まれて初めて川柳を神戸新聞に投稿したら、その句が特選になって掲載された朝刊を見たあの日の朝のことを一生忘れない。それから生活も変わった」と女将は言っています。
掲載を契機として、川柳と俳句の毎月の投稿を楽しむことになり、女将は時実新子さんとの紙上の出会いに感謝しているそうです。