
(8月の選挙前、カブールの街角に溢れた選挙ポスター この国の命運を託すに足る政治家は・・・ “flickr”より By TheNewYorkTimes
http://www.flickr.com/photos/thenewyorktimes/3788427461/)
【ボイコット】
混迷するアフガニスタンの大統領選挙について、昨日からアブドラ元外相の決戦投票ボイコットの可能性が報じられていましたが、今日、本人からボイコットが発表されました。
7日に予定されている投票自体は予定どおり行われるとのことですが、今後の先行きはますます不透明になっています。
****アフガン大統領選決選投票、アブドラ氏がボイコット表明*****
アフガニスタンの大統領選の第1回投票で2位のアブドラ前外相は1日、現職のカルザイ大統領との間で争う決選投票のボイコットを表明した。カルザイ氏寄りとされる選挙管理委員長の退任やカルザイ派の閣僚の更迭などの要求が満たされなかったためとしている。アブドラ氏のボイコットで、決選投票の実施が危ぶまれ、アフガンの政治情勢がさらに混迷を深める懸念も広がっている。【11月1日 朝日】
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これまでカルザイ大統領とアブドラ元外相の連立協議も続けられてきましたが、成果が出せず、また、アブドラ元外相サイドからの独立選挙委員会委員長更迭などの要求も容れられなかったことによるとされています。
“第1回投票で選挙違反がまん延したことからアブドラ氏はカルザイ大統領に対し、同大統領が任命した独立選挙委員会(IEC)の委員長の退任と、カルザイ陣営に参加した4閣僚の停職を求めている。アブドラ氏は26日に記者会見で要求を明らかにしたが、カルザイ大統領とIECはおざなりな反省を示したに過ぎなかった。
カルザイ陣営に近い筋によると、両陣営の間で交渉が行われ、決選投票後にアブドラ氏の支持者が政府に入り、権力を分担する可能性が模索された。しかし、アブドラ氏側が閣僚ポストなどで大きな要求を出したため、カルザイ氏側は受け入れなかったという。”【11月1日 AFP】
カルザイ大統領の優位が予想される決戦投票にあって、アメリカ政府も「新政府発足前に新戦略の策定は可能」とカルザイ大統領再選を見越したことで、アブドラ元外相サイドが反発。決選投票のボイコットを示すことで、カルザイ大統領側に要求を認めるよう、アメリカに圧力をかけさせる狙いもあったとも報じられています。
しかし、アラブ首長国連邦に滞在中のクリントン米国務長官は31日、アブドラ元外相がボイコットした場合について「選挙の正当性に影響するとは思わない」と述べ、ボイコットがあってもアメリカ政府が決選投票の結果を受け入れるとの見通しを示しています。【10月31日 毎日より】
より直接的には、“アブドラ氏は選挙資金が不足しているうえ、初回投票よりも得票が下回ると予想されていることから、「選挙戦から降りるかもしれない」との見方も示していた。”【10月31日 朝日】という事情があります。
8月に行われた選挙前には、カルザイ大統領を見限っているアメリカは、決戦投票になれば対立候補を支援する・・・との見方もあったようですが、そのアメリカからも期待した支援が得られず、資金もなく、勝ち目の無い選挙から降りた・・・といったところのように思われます。
【救いの無い国民不在の政治】
それにしても、現カルザイ政権は汚職と腐敗が横行し、選挙となると不正が大規模に行われる。対立候補は、第1回投票結果でのカルザイ大統領勝利を認めず、連立にも参加せず、やっとのことで動き出した決戦投票もボイコットする・・・というのでは、彼等政治家は一体この国の混乱をどうするつもりなのか・・・という暗澹たる気持ちにもなります。
アフガニスタン国民の不幸は、まっとうな指導者を持ち得なかったことにあり、タリバンのような反政府勢力が力を増すのも仕方がないのかも・・・とも思われます。
べトナム戦争当時の南側での腐敗と混乱を思い起こさせるものがあります。
*****アフガニスタンの児童労働、4人に1人******
アフガニスタンでは多くの子どもたちが、読み書きを覚えるのもそこそこに、家計を助けるために働いている。午前中働き、午後に学校に行く子もいる。そうした子どもたちの家族は、約30年にもわたる国内の混乱でパキスタンなど周辺国に流出し、最近帰国した難民たちだ。
じゅうたん1枚を織って子どもたちが得られる賃金は、店頭価格よりもずっと安い12,000~13,000アフガニ(約21,700~23,600円)で、できあがったときに支払われる。
アフガニスタンは国連の「子どもの権利条約」を批准しており、憲法でもその他の国内法でも子どもの権利が保護されているが、2007年の国連児童基金(ユニセフ)の発表によると、実際には7~14歳の子どもの4人に1人が労働に従事している。アフガニスタン独立人権委員会では、首都カブールだけで約6万人の子どもが働いていると推計している。【11月1日 AFP】
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“午前中働き、午後に学校に行く子もいる”・・・・学校に行ける子供はまだ恵まれたほうではないでしょうか。
タリバンの勢力が強い地域では、特に女子児童の教育はどうなっているのでしょうか?
テロや戦乱に巻き込まれて命を落とす子供は?
国内の混乱で十分な医療を受けられずに失われる命は?