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(11月4日の抗議行動 手首に巻かれた緑色のリボンは改革派のシンボルカラーです。
“flickr”より By netadmin
http://www.flickr.com/photos/36905456@N04/4086488122/)
【抑え込まれる街頭行動】
イランの大統領選挙後のアフマディネジャド政権に対する抗議行動は、ここしばらく表に出ることはありませんでしたが、在テヘラン米国大使館占拠人質事件から30年を迎えた今月4日、改革派のムサビ元首相の支持者数百人がテヘラン市内で警官隊と衝突する混乱もあったようです。
****イラン:テヘランで反政府デモ****
米イランの国交断絶の要因になった在テヘラン米国大使館占拠人質事件から30年を迎えた4日、テヘラン市内で政府主催の反米集会が開かれた。一方、アフマディネジャド政権に反発する市民らも大規模なデモを繰り広げ、警官隊と衝突。警官隊はデモ参加者を警棒でたたいたり、催涙弾を発射するなどして抑え込んだ。
テヘランでの大規模デモは9月下旬以来で、市中心部の大通りなど各地で散発的に起きた。市民らは改革派のシンボルカラーである緑色のリボンを手首に巻き、6月の大統領選で敗れたムサビ元首相の名前を連呼した。
イラン政府は、大統領選直後の混乱の再燃を恐れ、「反米」以外のスローガンを掲げないよう事前に警告。各地に多数の警官が配置され、終日ものものしい雰囲気に包まれた。
一方、米大使館前で行われた反米集会には、各地から動員された学生や保守派の市民ら数千人が参加。「米国に死を」「イスラエルに死を」などのスローガンを繰り返し、米国旗を焼いて気勢を上げた。【11月4日 毎日】
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ムサビ氏や同じく大統領選で破れたカルビ元国会議長はこの日、アハマディネジャド大統領に抗議するデモを支持者に呼び掛けていたそうです。
表面的には、政権側の抑え込みが功を奏して、最近は、抗議行動は大きな広がりには至っていないようにも見えます。
【「この国では、なぜあなたを批判することが許されないのか」】
そうした抗議行動よりも注目されたのは、ある男子学生のタブーを打ち破る行動でした。
****イラン:男子学生がハネメイ師を面前で批判 内外で注目****
言論統制の厳しいイランで、最高指導者ハネメイ師を面前で批判した男子学生が内外で注目を集めている。
AP通信によると、シャリフ工科大で数学を専攻するバヒドニアさん。先月28日、ハメネイ師が同大学で、大混乱を招いた6月の大統領選の正統性について演説した後、質問に立ち、「この国では、なぜあなたを批判することが許されないのか」と詰問。「新聞を読んでも批判記事は見当たらない。国営テレビやラジオは反対派の動きを正しく伝えない」とたたみかけた。
また選挙の開票不正疑惑に反発して拘束された市民らが、刑務所で拷問やレイプの人権侵害を受けたとされる問題で、最高指導者としての責任にも触れ、一連の追及は約20分間に及んだ。ハメネイ師は「批判を禁じた覚えはない」と答え、足早に引き上げたという。
最高指導者を面と向かって批判したという前代未聞の出来事に、反対派市民は「タブーを打破するものだ」と英雄視。これに対し、偽の逮捕情報が流れたり、イタリアの複数の国会議員が「彼の勇気をたたえたい。必要なら亡命を受け入れるべきだ」と発言するなどホットな話題になっている。【11月11日 毎日】
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最高指導者ハネメイ師を敢然と批判するというのは、極めて痛快です。
20年前の天安門事件のとき、戦車の列の前に立ちはだかった青年を思い出します。
また、同時に、今後のこの男子学生の身の上が案じられます。
「批判を禁じた覚えはない」というのであれば、それを実証する対応を政権側に求めたいものです。