
(史上最年少の外相に就任にしたパキスタン・カル外相(写真は08年) 美しい方ですが、相当にセレブで、困難な状態にあるパキスタン経済の“financial adviser”の役職にあった人物でもあります。 “flickr”より By nahl http://www.flickr.com/photos/naqvi/2579109061/ )
【国際社会にアピールするには十分な容姿と経歴】
パキスタンでは、5か月間空席になっていた外相ポストに、ヒナ・ラッバーニ・カル外務担当相(34)が昇格し、同国初の女性外相が誕生しました。同国史上最年少の外相でもあります。
パキスタンの外交は実質的には軍が掌握していると言われていますが、若く容姿も端麗な彼女の就任は、男性優位社会のパキスタンにおいて女性の権利にも配慮が払われていることを国際的にアピールする狙いもあると見られています。
なお、年齢については、下記産経記事は33歳としています。77年1月19日生まれとの情報もありますので、それが正しければ、現在34歳です。どちらでもいいことですが。
カル外相は、2003年に当時の政権与党パキスタン・イスラム教徒連盟( PML –Q)から下院議員 に当選しましたが、08年には、再選のための公認がPML – Qから得られず(あるいは、彼女の方から離れたのか?)、現与党のパキスタン人民党 ( PPP )に席を移して再選されています。政治的野心・嗅覚(あるいは“志・情熱”?)もなかなかのもののようです。
非常に裕福で特権的な政治家一族の出身ですが、そのあたりは政治家が一種の家業となっているパキスタンにおいてはよくある話で、故ブット前首相も同様です。
“financial adviser”の役職にありましたが、結果としてパキスタン経済は非常に困難な状態にあります。経済的専門知識については“?”ですが、日本でも財務大臣が必ずしも経済的知識がある訳でもありませんから・・・。
****“お飾り”か、新風か パキスタン初の女性外相・33歳カル氏****
27日にニューデリーで行われた印パ外相会談で、46歳年上のインドのクリシュナ外相(79)との会談に臨んだパキスタンの新女性外相カル氏(33)に注目が集まっている。パキスタン外交は実質、軍が掌握している状況だが、カル氏はパキスタン外交を国際社会にアピールするには十分な容姿と経歴を備えており、対外的には潜在性の高さをにじませている。
初の女性外相に就任したカル氏は、パキスタン最大の東部パンジャブ州ムザファルガー地区出身で、同地区の州知事、州首相などを輩出してきた有力政治家の一員。名門のラホール経営大学を卒業後、米国の大学院でホテル経営学を学んだが、2003年の総選挙で当選したのをきっかけに政界入りした。
政権のカル氏登用の狙いははっきりしない。だが、パキスタンが男性優位社会で、女性の権利が守られないとの国際社会のイメージを変える狙いがあるとみられている。
カル氏の外相就任について国内の反応はさまざまだ。「外交を仕切る軍が了承したのだろうが、所詮、意思決定は軍にあり彼女は“お飾り”だ」(外交専門家)との声が上がる一方、好意的な意見も少なくない。
大使経験者のザファル・ヒラリ氏は、「パキスタンの外交は、1958年の軍事政権樹立以降変わっていない。カル氏の外相就任を契機に進化させるべきだ」と擁護している。【7月28日 産経】
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【「協力関係の新時代」・・・?】
カル外相は、先週インドネシアで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議でヒラリー・クリントン米国務長官と顔を合わせ、今週は上記記事にもある宿敵インドとの1年ぶりの外相会議に臨んでいます。
****インドとパキスタン、1年ぶり外相会談****
2011年07月28日 07:57 発信地:ニューデリー/インド
インドのS・M・クリシュナ(S.M. Krishna)外相とパキスタンのヒナ・ラッバーニ・カル外相は27日、インドの首都ニューデリーで会談した。停滞している和平プロセスの進展を目指したもので、両国の外相会談は1年ぶり。
クリシュナ外相は会談後、両国の関係は「正常な方向に」戻ったと述べ、今回の会談を評価。カル外相は「協力関係の新時代」と表現した。
会談後の共同声明では、テロ対策や貿易促進、和平のための対話継続における両国の包括的な取り組みの構想がうたわれたものの、こうした楽観的なムードを裏付ける実質的な合意はほとんどみられなかった。
インドは、2008年のムンバイ同時襲撃事件をめぐり、パキスタンを拠点とする組織による犯行だと非難し、パキスタンとの対話を中断していた。【7月28日 AFP】
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“インドのクリシュナ外相は会談後、記者団に「両国関係は正しい方向へ向かっている」と強調した。カル外相も「新しい世代は過去とはかなり違う両国関係を目にすることになる」と関係改善に自信を見せた”【7月27日 朝日】とのことですが、“ただ、目新しい合意内容は少なく、共同声明の中で、カシミールの停戦ラインを挟んだ交易を週4回に倍増し、観光客や巡礼者の渡航を容認することに言及した程度だった”【同上】とも。
長年の対立がある両国関係ですから、急に実効ある友好関係・・・というのは無理な話でしょう。
核保有国でもある両国の“危険な関係”が、久しぶりの外相会議で少しでも和らぐならば意義もあることです。
【蘇る?ムシャラフ前大統領】
一方、以前から政界復帰への意欲が報じられているムシャラフ前大統領ですが、次回総選挙への立候補を表明しています。
ムシャラフ氏は、ザルダリ大統領の妻で、政敵だったブット元首相が暗殺された事件で逮捕状が出ています。
政権末期の国民からの支持はさんざんだった同氏ですが、本当に復帰の芽があるのでしょうか?
****パキスタン:ムシャラフ前大統領 13年総選挙出馬の意向****
米CNNテレビ(電子版)などによると、パキスタンのムシャラフ前大統領は21日、米ワシントンのシンクタンクで講演し、2013年の総選挙に立候補する意向を表明した。来年3月に帰国して、本格的な準備に入る。ムシャラフ氏は08年8月の大統領辞任後、ロンドンに滞在。昨年10月に新党の設立を発表し、政界復帰に向けた準備を進めていた。
ムシャラフ氏は講演で、米軍部隊による国際テロ組織アルカイダのビンラディン容疑者殺害に関連し、米国内で指摘されているパキスタン軍部とアルカイダとの関係について「そんな事実はない」と全面否定した。
ムシャラフ氏は陸軍参謀長だった99年にクーデターで政権を奪い、01年には大統領に就任。だが01年の米同時多発テロで始まった米国の「対テロ」戦争に協力したことから、多くの国民が反発。07年のイスラム礼拝所「ラル・マスジッド」の弾圧で多数の死者を出したことで政治危機に陥り、国会の反発も受けて辞任に追い込まれた。
また07年12月にザルダリ大統領の妻で、政敵だったブット元首相が暗殺された事件を巡って、暗殺計画の情報を事前に知りながら、適切な警備態勢を取らなかった疑いがあるとして、同国の裁判所から逮捕状が出ている。しかし、ムシャラフ氏を支持するイスラム政党が政権与党との関係を改善するなど、帰国へ向けた政治的環境も改善されつつある。【7月22日 毎日】
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