孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アメリカ  バイデン・トランプ氏の「消去法の選挙戦」を左右する可能性がある「第三政党候補」

2023-07-08 23:30:59 | アメリカ
(【ウィキペディア】)

【「消去法の選挙戦」】
次期大統領選挙で再選を目指すバイデン大統領は高齢のためか、不用意な発言、言い間違い、あるいは唐突な「女王陛下、万歳」みたいな意味不明な発言が多々あるのは周知のところ。

*****バイデン氏、連日言い間違え 外交に支障、認知機能の衰え懸念*****
バイデン米大統領は28日、ロシアのプーチン大統領が「イラクでの戦争に明らかに敗北している」と述べ、ロシアが侵攻するウクライナとイラクを言い間違えた。ホワイトハウスで記者団に語った。

前日にも全く同じ間違いをしており、再選を狙う2024年大統領選を前に認知機能の衰えを懸念する声が高まっている。

バイデン氏は中国の習近平国家主席を「独裁者」と発言して中国の反発を招いたほか、日本の防衛費増額方針は自身が岸田文雄首相を説得した結果だと失言して波紋を広げた。外交にも支障が出ている。【6月29日 共同】
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日本の防衛費増額方針はバイデン大統領が岸田首相を説得した結果・・・実際、そうなのかも(と、考えている向きが多いようです)。
ただ、日本政府の立場を考えれば、同盟国として通常その類は口にはしないことです。アメリカの圧力で防衛費を増額した・・・なんて話が公になったら、しっかりした野党が存在する国なら国内政治は大問題になります。

習近平国家主席を「独裁者」云々も似たような話。実際そうだとしても、外交上は口にしない発言です。

****バイデン大統領「誤解招く発言だった」 日本の防衛費増額で「私が説得した」発言を修正****
アメリカのバイデン大統領が日本の防衛費の大幅増額をめぐり、「私が3回にわたって日本の指導者を説得した」などと述べた発言について、「誤解を招くものだった」として修正しました。

バイデン大統領は今月20日、日本の防衛予算の大幅増額について「私が3回、日本の指導者と会い、説得した」などと、自身の説得で岸田総理が決断したかのような発言を行いました。

しかし、27日にメリーランド州で開いた集会では、「私の説得は必要なかった」「岸田総理はすでに決断していて、防衛費を大幅に増やし、ヨーロッパの戦争に関与した」と述べて発言を修正。

「誤解を招く発言だった」「説得したのは韓国との関係改善だった」などと説明しました。

バイデン大統領の当初の発言に対しては、日本政府がアメリカ政府に対して「誤解を招き得る」と申し入れを行っていました。【6月29日 TBS NEWS DIG】
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一方、このまま行けば対立候補となるトランプ前大統領は、すでに起訴された訴訟、今後予定されている訴訟が示すように、政治家としての資質云々以前に、人間として品格を疑うような人物(と、私には思えますが、そう思わない人も多いようです)。

****トランプ氏?機密所持を認めるような音声 CNNが放送****
CNNは、アメリカのトランプ前大統領が機密文書の所持を認めるような発言をしているとされる音声記録を放送しました。

CNNが公開したトランプ氏とされる音声:「びっくりするだろ?文書の山があるんだ。見てくれ」「秘密だ。これは機密情報だ。これを見てくれ」

CNNが27日に放送した約2分の音声は、トランプ氏が大統領退任後の2021年に出版関係者からのインタビューに応じた際に記録されたものだとしています。

イランへの攻撃計画に関するものとみられる文書についてトランプ氏とされる音声は、「高度な機密だ」「これがその文書だ」と述べ、文書をめくりながら見せる様子が伺えます。

また、「大統領として機密解除もできたが今はできない。まだ機密のままだ」という音声も確認でき、機密扱いの文書だと認識していたことを示唆する内容となっています。【6月28日 テレ朝news】
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何を考えているのか・・・と言うか、やっていいことと、そうでないことの区別がつかず、ただ自己顕示欲に突き動かされて行動している・・・といった幼児性がうかがえます。

今後の起訴が予想される、アリゾナ州知事に大統領選挙での不正投票の証拠を見つけるように圧力をかけた件、議会襲撃への関与はもっと深刻で、民主主義の根幹にかかわる問題です。

高齢バイデン大統領と人格を疑うトランプ前大統領の再対決で、「トランプ氏以外ならいい」対「バイデン氏よりはマシ」という判断しか働かない「消去法の選挙戦」になってしまう”【7月5日 清水克彦氏 DIAMONDonline】といった「見るに堪えない」【同上】状況。

【拮抗するバイデン・トランプ氏の支持率】
両者の支持率は、バイデン氏リードは誤差の範囲というように拮抗しています。トランプ氏については“隠れ支持者”がいることは、これまでの選挙でも明らかになっています。(支持を公にできないような候補に投票するというのはどういうことか?・・と、個人的には思いますが)

また、周知のようにアメリカ大統領選挙は州ごとの戦いですから、実際の選挙では重要州を得た方が勝つということで、全国集計の支持率とは別物の側面もあります。

****バイデン氏、僅差で支持率リード トランプ氏との再対決想定****
米NBCテレビは25日、2024年大統領選で再選を目指す民主党のバイデン大統領(80)と、共和党の候補指名争いで首位に立つトランプ前大統領(77)の再対決を想定した世論調査でバイデン氏が4ポイントリードしたと伝えた。

世論調査は16〜20日に実施され、回答した有権者の49%がバイデン氏、45%がトランプ氏を支持した。支持率の差は誤差の範囲内としており、拮抗しているとみられる。

私邸への機密文書持ち出しで8日に起訴されたトランプ氏の共和党内の支持率は4月の46%から51%に上昇。党内で捜査への反発が広がり、追い風になっている。【6月26日 共同】
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【他に候補者は? 二大政党の枠内ではバイデン、トランプ氏に対抗するのは困難】
「消去法の選挙戦」ということで、「他に誰かいないのか?」と考える有権者も多いのが現実。

民主党では、バイデン氏以外では、暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領の甥で、やはり凶弾に倒れた弟のロバート・ケネディ元司法長官の息子、ロバート・ケネディ・ジュニア氏が参戦しています。

****【1500万再生動画】ケネディ元大統領のおいジュニア氏 大統領レースに向け筋肉アピールも…腕立て9回で力尽きる 米****
大統領選に出馬しているロバート・ケネディ・ジュニア氏が、腕立てをする動画が話題になっている。投稿からわずか2日で、1500万回再生された動画がある。(中略)

ケネディ・ジュニア氏は、元々は環境活動家。ここ数年は、新型コロナのワクチン反対運動などで注目を集めていた。そして、ケネディ・ジュニア氏は2カ月ほど前に、大統領選挙に民主党から立候補すると表明した。

しかし、直後は人気が低迷していた。それが、ケネディ・ジュニア氏は、現在の世論調査では14.0%。現職のバイデン大統領に次ぐ、2番人気と予想外の大健闘をしている。

年齢を筋肉でアピールも9回で力尽きる
ケネディ・ジュニア氏の人気急上昇のワケが、筋肉と関係していた。バイデン大統領は、歴代最高齢の80歳だ。カメラの前で、度々転んでいる。時には、亡くなって、その場にいないはずの議員を探すなど、大統領を続ける事に不安の声が上がっていた。

一方のケネディ・ジュニア氏は、11歳年下の69歳。その年齢を、筋肉でアピールしていたのだ。ちなみに動画では、10回を目標に腕立てをスタート。しかし、9回で力尽きていた。本人は、「最後のセットだった。10回以上できる」と弁明している。(「イット!」 6月27日放送より)【6月28日 FNNプライムオンライン】
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世界の将来に極めて重要な影響力を有する米大統領が腕立て伏せで決まるというのは・・・ため息が出る状況。

****泡沫候補のはずが、ケネディ人気がうなぎ登りなわけ****
民主党支持層はバイデン70%、ケネディ17%

このところ米主流メディアが民主党大統領候補、ロバート・F・ケネディ・ジュニア(69)について競って報じている。

暗殺された故ロバート・F・ケネディ司法長官の息子だという「金看板」。現職大統領を有する与党・民主党から2024年大統領選に立候補したという「泡沫候補」とはいえ、ニュースバリューもある。

常識にとらわれず現在の沈滞した米社会のムードを一掃しようとする既成政治家にないケネディ氏の「突飛さ」に拍手しているようにも見える。

何よりも高齢問題、不人気に加えて、二男ハンター氏の有罪騒動も飛び出して、米国民のジョー・バイデン大統領に対する嫌悪感が増している昨今、無傷のケネディ氏は一服の清涼剤になっているからだろう。(後略)【6月26日 高濱 賛氏 JBpres】
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環境保護の弁護士として地道な社会活動を続けてきたケネディ氏ですがコロナワクチンに関し「このワクチンは幼児の自閉症を併発する。危険な薬物だ」と異論を唱え、脚光を浴びました。

①海外800か所ある米軍基地の閉鎖、米軍撤退②ロシアの主張をある程度受け入れる形でのウクライナ戦争の即時停戦③メキシコ国境地区の完全封鎖などを打ち出しています。

一方、共和党はトランプ前大統領以外に、ロン・デサンティス フロリダ州知事(44)、マイク・ペンス 前副大統領(64)、ニッキー・ヘイリー 元国連大使(51)、その他、共和党の上院議員では唯一の黒人であるティム・スコット氏、中西部ノースダコタ州のダグ・バーガム知事、南部アーカンソー州のエイサ・ハッチンソン前知事、起業家のビベック・ラマスワミ氏、ラジオ番組司会者のラリー・エルダー氏が立候補を表明しています。

玉石混交状態ですが、なかには・・・

****米共和候補「ウイグルって何?」 スアレス市長、無知を露呈****
2024年米大統領選の共和党候補指名争いに名乗りを上げた南部フロリダ州マイアミのスアレス市長(45)が27日のラジオ番組で、人権状況が懸念される中国の新疆ウイグル自治区の人々について選挙戦で語るのかと問われ「ウイグル人って何?」と返答し、この問題で無知を露呈した。

スアレス氏は番組の最後にも「調べてみるよ。何て言った? ウィーブル?」と発言。司会者からウイグル人に関して知っておく必要があると言われ「私はのみ込みが早いんだ」と答えた。

その後、CNNテレビの取材に「(司会者が言ったウイグルという)発音を認識できなかった」と弁明した。【6月28日 共同】
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国外のことには無関心なアメリカ人の国際情勢への認識はこんなものでしょう。ただ、大統領候補がこれでは・・・。

いずれにしても、民主党・共和党という二大政党の枠内では、バイデン、トランプ氏に対抗するのは難しいでしょう。共和党のデサンティス フロリダ州知事も伸び悩んでいます。

【民主、共和両党の支持率を大きく上回る「無党派層」 二大政党以外からの第三の候補者が重要州で数%の票を得るだけで、バイデン、トランプ氏の勝敗を左右】
ただ、バイデン、トランプ氏が拮抗している状況では、二大政党の枠外から出る者が数%の支持を得ることができれば、バイデン、トランプ氏の勝敗に大きく影響します。

****二大政党制はもう古い? 米国でも増える無党派層****
二大政党制はすでに時代遅れか
伝統ある米世論調査機関「ギャラップ」社(中略)によると、2004年当時、「民主党」支持35%、「共和党」支持33%、「無党派」31%だったが、その後は毎年のように無党派層が増え始め、今年3月時点での無党派層はついに49%にまで達した。そして、民主、共和両党の支持率(いずれも25%)を大きく上回ったことが明らかになった。

既存政党にくみしない無党派が、両党合わせた支持層とほぼ横並びになったことを示しており、米国政治風景が大きく変わりつつあることを示している。

今回の調査結果について、政治メディア「Axios」は、「増大する無党派層は今後もさらに2大政党制の存在を脅かし続けると同時に、今の政治の二分化がいかに脆弱かを暗示している」と指摘した上で、「ギャラップ」社アナリストのジェフ・ジョーンズ氏の以下のようなコメントを紹介している:

「無党派層の増加は、主として若年世代の意識の変化に起因している。若者が従来の政党に不満を抱いていること自体、珍しいことではない。ただ、今回調査で際立つのは、『X世代GenerationX』(1965~1980年生まれ)や、『ミレニアル世代』(1980~1995年生まれ)が年齢を重ねても政党を選ばず、無党派のままでいる点だ。これは、メガトレンドというべきものであり、彼らの多くが、今の政治システム、政府機関、二大政党制について、時代遅れで機能せず、あるいは極端な党派主義に偏っているとみなしている」

そして、こうした無党派層の増加は、ただちに来年の大統領選に重大な影響を及ぼすことは避けられない。

注目集まる「第三政党候補」
とくに、その後の別の世論調査でも、民主、共和両党の最有力候補とみられるバイデン大統領、トランプ前大統領のいずれにも与せず、「第三政党候補」の出馬を待望する有権者が全体の5割近くにも達したことが、大きな話題となっている。  

(中略)さらに「具体的に他に誰を支持するか」を尋ねたところ、21%がバーニー・サンダース上院議員(無所属、バーモント州)、10%が共和党に反旗を翻したリズ・チェイニー前下院議員(ワイオミング州)、7%が民主党異端分子として知られるジョー・マンチン上院議員(ウェストバージニア州)の名を挙げた。また、43%が 「その他の第三政党候補」と回答した。  

この結果を踏まえ、政治メディア「The Hill」が、名前の上がった対象者にそれぞれ感想を求めたところ、チェイニー女史は、第三政党からの立候補の可能性を否定せず、とくに「トランプの共和党指名獲得阻止のためなら、あらゆることをする」と語った。  

また、マンチン上院議員も、立候補を否定しなかった。サンダース上院議員は「バイデン候補を支持する」と回答したという。

過去にも第三政党候補が台風の目に
無党派層の増加は、とくに民主党のバイデン、共和党のトランプ両陣営にとって重大関心事となりつつある。 過去にも、第三政党候補が民主、共和両党候補による大統領選での最終決着に少なからぬ影響を及ぼしたケースがあるからだ。  

例えば、1992年選挙では、保守系政治家のロス・ペロー氏が、再選を目指したジョージ・H.W.ブッシュ共和党大統領、ビル・クリントン民主党候補相手に第三政党候補として戦いを挑み、最終的に本選で、1900万票もの支持票を獲得した。  

結果的に、クリントン氏が現職のブッシュ氏を破り、大統領に選出されたが、ブッシュ氏敗退の一因として、ペロー氏が共和党支持票を分断したことが指摘され、話題となった。  

2000年選挙には、民主党アル・ゴア副大統領、共和党ジョージ・W・ブッシュ・テキサス州知事のほか、第三政党から環境保護運動の旗手といわれたラルフ・ネーダー氏が出馬した。本選では、ブッシュ、ゴア両候補が最後まで大接戦を演じ、最終的にフロリダ州でブッシュ氏がわずか537票差で勝利した結果、初当選を果たした。  

これに対し、ネーダー氏の支持票は全体のわずか3%程度にとどまったものの、その大部分は民主党から流れたといわれる。このため、ネーダー氏はその後、全米の民主党支持者の多くから〝スポイラー〟(略奪者)の烙印を押されたほどだった。  

しかし、その後、無党派層はさらに増え続け、支持率でも2大政党を直接脅かすほどの存在になってきたことから、来年選挙では、これまで以上に第三政党候補が台風の目になる可能性がある。

すでに民主党陣営では、「第三政党候補が、バイデン再選を阻む恐れがある」として、その動向を危惧する声が出始めている。 とくにホワイトハウス選挙参謀たちが気にかけているとされるのが、「No Labels」と呼ばれる超党派グループの存在だ。  

去る6月11日付けの議会専門電子メディア「The Hill」によると、「No Labels」は、来年選挙は「バイデン、トランプ両候補による再試合」の公算が大きいとして、両党以外から別の〝統一候補〟を立てるべく、着々と準備に入っている。(後略)【7月7日 WEDGE】
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かりに重要州のアリゾナ、ジョージア、ウイスコンシン3州において、本来の民主党支持層からわずか4万4000票程度のアンチ・トランプ票が「No Labels」候補に流れた場合でも、バイデン氏の全米での勝利は微妙になります。

実際、緑の党からの立候補を目指している第三の候補もいますが、民主党左派からの評判が悪いバイデン氏の票を食ってしまう可能性も。

****米大統領選 進歩派のウェスト氏、緑の党から立候補目指す****
2024年米大統領選に第3党からの立候補を表明している進歩派的な活動家で哲学者のコーネル・ウェスト氏(70)が、緑の党からの立候補を目指していることが判明した。(中略)

ウェスト氏はアフリカ系米国人の著名な政治思想家で、今月5日に第3党から立候補する意向を表明した。この際は「人民党」の候補者として臨む考えを示していた。しかし、17年設立の人民党は全米での基盤を持っておらず、大統領選ではほとんどの州で投票用紙に政党名と候補者名が記載されない可能性が指摘されている。

一方、緑の党は、民主・共和の2大政党、小政党のリバタリアン党に次ぐ存在だ。全米に基盤を持ち、近年の大統領選では毎回候補者を擁立している。連邦選挙委員会によると、00年に288万票、16年に145万票を獲得。いずれも、主張が近い民主党支持層の票を激戦州で奪い、結果的に共和党候補を利する「スポイラー(妨害)効果」があったとみられ、注目を浴びた。(中略)

エマーソン大が22日に発表した世論調査では、大統領選の本選を想定した設問で、民主党のバイデン大統領支持が43・5%、共和党のトランプ前大統領支持が43・4%で互角だった。だが、ウェスト氏を選択肢に加えた場合は、トランプ氏41・4%▽バイデン氏40・3%▽ウェスト氏5・8%――だった。【6月28日 毎日】
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バイデン、トランプ氏の争いが僅差の勝負になればなるほど、第三の候補の存在が大きく影響します。

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