(豪シドニーで、豪海軍の潜水艦「ウォーラー」を視察するマクロン仏大統領(左から2人目、2018年5月2日撮影)【9月18日 AFP】)
【フランス 異例の米豪大使召喚】
9月16日ブログ“「ポスト・アフガン」の新たなパワーゲーム 米英豪で「AUKUS」”でも取り上げたように、中国に対抗するためのインド太平洋地域における米英豪の新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」創設に伴い、オーストラリアへの原子力潜水艦建造技術を提供することとし、オーストラリアがフランスとの次期潜水艦開発計画を破棄したことでフランスが激怒しています。
フランス側はオーストラリア・アメリカの対応を「うそつき」「二枚舌」「トランプ前大統領と同じ」と激しく批判し、米豪に駐在するフランス大使を召喚するという異例の事態ともなっています。
****フランス、収まらぬ怒り 潜水艦計画を豪が破棄「直前まで知らず」****
米英豪による新しい安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」創設に伴い、オーストラリアがフランスとの次期潜水艦開発計画を破棄したことについて、ルドリアン仏外相は18日、「(米豪の)振る舞いは同盟国内ではあり得ない。重大な危機だ」と警告した。
国営テレビの番組で、米豪の駐仏大使を召還した理由について説明する中で語った。
仏政府報道官によると、マクロン大統領はバイデン米大統領と近く電話協議を行う方針。仏の強い不満を伝えるとみられ、怒りは収まる気配が見えない。
ルドリアン氏は、オーカス創設についてフランス側は「発表の1時間前まで知らなかった。事前にフランスと協議したと説明する米国の説明は事実ではない。だから、うそや軽視があると主張しているのだ」と強調。
バイデン氏について、「ツイートしないトランプ」とやゆし、米国第一主義を掲げたトランプ前政権と似ているとした不満を改めて示した。
英国の大使召還をしなかったことに関しては、「英国のいつものご都合主義は知っている。やっても意味がないことだ」と述べた。
ルドリアン氏は、北大西洋条約機構(NATO)について、脱退の可能性は否定しつつ、主要指針である新たな「戦略概念」の改定に今回の問題が影響する可能性を指摘した。
ルドリアン氏は17日、米豪の対応は「同盟関係や、欧州にとってのインド太平洋地域の重大性の考え方に関わる」として大使の召還を発表した。【9月19日 毎日】
**************************【9月20日 NHK】
敵対国間で大使召還というのはよくある話ですが、同盟国間、それもフランスと米豪という中核となる国家間での大使召喚というのは、あまり聞いたこともない展開です。
米英の「特別な関係」、米主導の国際関係にあまり異を唱えることがない日本やドイツなどと違って、フランスは昔からアメリカに対し「対等」な立場でものを言う事が多く、また、何事につけ文化的優位性をほのめかし、独自性を主張することも多く、アメリカからすると「うるさいヤツ」といった感もなきにしもあらず・・・という関係ではありましたが、それにしても大使召還というのは・・・といったところです。
【アメリカ・バイデン政権への同盟国軽視の不信感】
フランスがオーストラリアと契約していた次期潜水艦開発計画は、金額的にも7兆円あまりという巨額のものでした。
****契約総額は7兆円余り「世紀の契約」とも****
(中略)この中でオーストラリアは、日本やインドと並んでインド太平洋地域の重要なパートナーと位置づけていて、その核となってきたのが、5年前に日本やドイツと競った末にオーストラリア政府から受注した12隻の潜水艦の共同開発計画です。
契約の総額は、追加の費用も含めて560億ユーロ、日本円で7兆円余りにのぼると見込まれ、フランスでは「世紀の契約」とも言われてきました。
契約の総額は、追加の費用も含めて560億ユーロ、日本円で7兆円余りにのぼると見込まれ、フランスでは「世紀の契約」とも言われてきました。
それだけに、開発計画が破棄されることは、フランス政府にとって大きなショックで、みずから前政権の国防相時代に契約を取り付けたルドリアン外相は16日「背中を刺されたようなものだ」とオーストラリア政府を厳しく批判したうえで、バイデン政権に対しても「一方的で予測できない決定はトランプ前大統領がやっていたことに似ている」と不快感をあらわにしていました。(後略)【9月20日 NHK】
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フランスが金額以上に問題としているのは、アフガニスタンから撤退もそうだったように、トランプ前政権に引き続きアメリカ・バイデン政権も同盟関係を軽視して、アメリカの利益だけで動いている・・・・との不信感でしょう。
****フランスはアメリカに対する不信感が背景に****
フランスではこの問題について「潜水艦危機」として多くのメディアで連日大きく報道されていて「重大な信頼関係の破壊」とか「『世紀の契約』が魚雷攻撃を受けた」といった見出しが並び、アメリカの突然の発表による衝撃の大きさをうかがわせます。
フランス政府が強く反発する背景には、アメリカのバイデン政権が同盟関係を軽視しているのではないかという不信感があります。
フランスは、自国第一主義を掲げたトランプ前政権との間で貿易や気候変動などをめぐりぎくしゃくした関係が続いたことから、バイデン大統領の就任でアメリカとの関係回復に強く期待してきました。
ところが先月アフガニスタンでタリバンが政権を掌握した際には自国民などを確実に退避させるためフランスからはアメリカ軍の撤退期限を延期するよう求める声があがりましたが、バイデン政権は予定どおり先月末に軍の撤退を完了させました。【9月20日 NHK】
フランス政府が強く反発する背景には、アメリカのバイデン政権が同盟関係を軽視しているのではないかという不信感があります。
フランスは、自国第一主義を掲げたトランプ前政権との間で貿易や気候変動などをめぐりぎくしゃくした関係が続いたことから、バイデン大統領の就任でアメリカとの関係回復に強く期待してきました。
ところが先月アフガニスタンでタリバンが政権を掌握した際には自国民などを確実に退避させるためフランスからはアメリカ軍の撤退期限を延期するよう求める声があがりましたが、バイデン政権は予定どおり先月末に軍の撤退を完了させました。【9月20日 NHK】
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アメリカは予想外のフランスの反発に、なんとかなだめようと躍起です。
****フランスが予想外の猛反発、潜水艦計画の破棄で米豪大使を召還****
(中略)豪州や米国にとっては、フランスの猛反発は予想外で、事前説明が不足していた可能性がある。米ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)のエミリー・ホーン報道官は17日の声明で「我々はフランスの立場を理解する。意見の違いを乗り越えるべく、今後も協議を続けていく」とした。
米国務省のネッド・プライス報道官も「フランスは最も歴史ある同盟国であり、我々は米仏関係に最大限の価値を置いている」と強調し、フランスの理解を得たい思いをにじませた。
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マクロン大統領とバイデン米大統領は近く電話協議を行うことになっているのは前出のとおり。
【豪首相は「うそはついていない」 確かに以前からある「契約破棄」の話】
モリソン豪首相は、フランスは契約破棄の準備に気づいていたはずだと主張しています。フランス政府に対し「率直で、隠し立てせず、正直」だったとも。
****豪首相、フランスにうそはついていないと反論 原潜開発契約の破棄めぐり****
(中略)モリソン首相は、この枠組みについてうそをついていたというフランスの批判に反発。フランスは契約破棄の準備に気づいていたはずだと述べた。
モリソン首相は、フランスの落胆は理解できると発言。その上で、オーストラリアの立場は常に明確にしてきたと述べた。
また、フランス政府は「我々が抱える深刻で根深い懸念について、あらかじめ知っていたはずだ」と強調した。
「究極的には、これはオーストラリアの納税者に大きな負担を強いる中で、進水の暁には必要な業務をこなす潜水艦をどこで建造するのかという決定、最高の情報と防衛に関する助言に基づいた戦略的判断についての決定だ」(後略)【9月20日 BBC】
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フランスの契約がうまく進んでおらず、オーストラリア側から「契約破棄」という言葉が出ていたのは事実です。
****モリソン豪首相、潜水艦納期守れとフランスに警告****
日独仏入札競争で勝った仏の工期が延び延びに
(中略)フランスでは、モリソン豪首相は、オーストラリア海軍の次期潜水艦隊を建造中の仏企業に向けて、「今後2年間の設計作業計画を2021年9月の締め切りまでに提出しなければならない」と警告した。
また、マクロン仏大統領も、「政府としても契約を守らせる」と確約した。
現コリンズ級潜水艦の後継となる潜水艦隊の建造については、日本、ドイツ、フランスが入札競争し、日本の特殊鉄鋼技術が評価されていたが、特許技術共有などの問題が言われていた。
2016年、フランス国営の海軍艦船建造企業、DCNSが豪政府との「アタック級」潜水艦12隻の建造契約を獲得した。しかし、当初からいくつかの問題が起きており、報道では何度か契約破棄もほのめかされていた。
マクロン仏大統領との夕食会談でもモリソン豪首相は、オーストラリア側の不満を伝え、特に豪国防省がフランスとの契約を破棄し、他の国と契約することも検討し始めていることを伝えている。
モリソン首相は、「マクロン大統領とはこれまでも潜水艦建造契約についてオーストラリアの考えを伝えてきたが、まだまだ解決には遠いことを大統領に警告した」と語っている。
フランスのNaval Group社は、2021年2月に設計作業計画を豪政府に提出したが、豪国防省が、「経費がかかりすぎる」としてこの計画を却下、同社は新しい設計作業計画の提出締め切りを2021年9月まで延期された。
マクロン大統領は、「アタック級潜水艦隊建造計画は仏豪両国の協力関係と相互信頼の柱になるものだ」と語り、設計作業計画を急がせるよう確約した。
6月初め、連邦議会上院予算委員会の証人席に座ったグレッグ・モリアーティ国防省事務次官が、「フランスとの潜水艦建造契約が破綻した場合の代替案を用意しているのか」との質問に対して、「計画通りに進まない場合に代わりの案を用意するのが賢明で慎重な態度だと考えている」と回答している。【2021年6月16日 日豪プレス】
(中略)フランスでは、モリソン豪首相は、オーストラリア海軍の次期潜水艦隊を建造中の仏企業に向けて、「今後2年間の設計作業計画を2021年9月の締め切りまでに提出しなければならない」と警告した。
また、マクロン仏大統領も、「政府としても契約を守らせる」と確約した。
現コリンズ級潜水艦の後継となる潜水艦隊の建造については、日本、ドイツ、フランスが入札競争し、日本の特殊鉄鋼技術が評価されていたが、特許技術共有などの問題が言われていた。
2016年、フランス国営の海軍艦船建造企業、DCNSが豪政府との「アタック級」潜水艦12隻の建造契約を獲得した。しかし、当初からいくつかの問題が起きており、報道では何度か契約破棄もほのめかされていた。
マクロン仏大統領との夕食会談でもモリソン豪首相は、オーストラリア側の不満を伝え、特に豪国防省がフランスとの契約を破棄し、他の国と契約することも検討し始めていることを伝えている。
モリソン首相は、「マクロン大統領とはこれまでも潜水艦建造契約についてオーストラリアの考えを伝えてきたが、まだまだ解決には遠いことを大統領に警告した」と語っている。
フランスのNaval Group社は、2021年2月に設計作業計画を豪政府に提出したが、豪国防省が、「経費がかかりすぎる」としてこの計画を却下、同社は新しい設計作業計画の提出締め切りを2021年9月まで延期された。
マクロン大統領は、「アタック級潜水艦隊建造計画は仏豪両国の協力関係と相互信頼の柱になるものだ」と語り、設計作業計画を急がせるよう確約した。
6月初め、連邦議会上院予算委員会の証人席に座ったグレッグ・モリアーティ国防省事務次官が、「フランスとの潜水艦建造契約が破綻した場合の代替案を用意しているのか」との質問に対して、「計画通りに進まない場合に代わりの案を用意するのが賢明で慎重な態度だと考えている」と回答している。【2021年6月16日 日豪プレス】
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ただ、どの程度の「深刻さ」でフランス側に伝え、フランス側がどのように認識していたのかはわかりません。
計画が予定どおり進まないというのは、よくある話ですから。
【もともとは日本が契約すると見られていた計画】
もともと、このオーストラリアの次期潜水艦開発計画は、日本が受注するものと見られていたものをフランスが“かっさらった”契約です。(日本からすればの話ですが)
****日本製にすべきだった? 仏と破談の可能性も*****
(中略)インド太平洋地域では、中国をはじめ各国が潜水艦を運用している。そこで豪としてはもっとも強力な武器の一つであり、抑止力にもなる潜水艦で後れを取りたくないはずである。
(中略)インド太平洋地域では、中国をはじめ各国が潜水艦を運用している。そこで豪としてはもっとも強力な武器の一つであり、抑止力にもなる潜水艦で後れを取りたくないはずである。
結果的にフランスが受注したが、米海軍の元インド太平洋地域諜報員だったジェームス・ファネル氏は、中国の存在を考慮すれば、地域のパートナーであり太平洋で展開する日本の潜水艦を買うのがベストだったのではないかと話している(ABC)。
そもそも当初日本の受注は確実と言われていたが、日本製を強力に押していた当時のアボット首相の辞任でお流れとなった。
もし同首相が続投していたら、新しい潜水艦の納品は2020年代に行われ、日米豪3国間協力のなかでの日豪関係も強化されていたのではないかとストラテジストは述べている。
AFRによれば、豪政府がナーバル・グループとの契約をキャンセルすることを検討しているという話もあり、国際的なメガプロジェクトの今後の展開が注目される。【2021年1月27日 NewSphere】
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日本と契約していれば計画は順調に進んだのか、あるいは、今のフランス同様に、日本が切り捨てられることになったのか・・・そこらはわかりません。
【秘密外交の成果を誇るジョンソン英首相】
イギリス・ジョンソン首相は今回騒動に、「(イギリスの)フランスに対する愛が尽きることはない」とも。これもまたウソ臭い言い様です。
****英首相「フランスへの愛尽きない」 米英豪AUKUSめぐり****
英国のボリス・ジョンソン首相は19日、米英豪による新たな安全保障協力枠組み「オーカス」をめぐりフランスと亀裂が深まっているのを受け、英国の「フランスに対する愛が尽きることはない」と述べ、事態の沈静化を図った。
ジョンソン首相は米ニューヨークに向かう機内で記者団に対し、英国とフランスは「極めて友好的な関係」を築いていると強調した。
(中略)フランスのジャンイブ・ルドリアン外相は19日、英国は「役立たず」で、「常にご都合主義だ」と非難。また仏国防省の情報筋は同日、AFPに対し、今週行われる予定だったフロランス・パルリ国防相とベン・ウォレス英国防相との会談を中止したと明かした。
これに対しジョンソン首相は、AUKUSは排他的なものではなく、「特にわが友人フランスが心配するようなものではない」と述べた。 【9月20日 AFP】
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イギリスがフランスと「極めて友好的な関係」では“ない”ことは、EU離脱でも明らかですし、ナポレオン以来のものでしょう。
“ゴムボートでイギリスに渡る不法移民が急増、取り締まり巡り英仏対立も”【9月14日 Newsweek】
インド太平洋地域を中心にイギリスが世界との結びつきを強める戦略「グローバル・ブリテン」がEU離脱後のイギリスの方針です。今回AUKUSも密かにイギリスが主導した“成果”と誇示しています。
****EU離脱の英国、AUKUSを影で主導 成果誇示も仏とは嫌悪に*****
米英豪による新たな安全保障協力枠組み「AUKUS(オーカス)」をめぐり、欧州連合(EU)を離脱した英国が独自外交で存在感を示せたと、成果を誇っている。半年前からひそかに計画を進めて米豪の橋渡しをするなど、AUKUS立ち上げに大きな役割を果たしたためだ。
英タイムズによると、今回の計画が動き出したのは今年3月。原子力潜水艦の所有をめざす豪海軍から、技術供与についての相談が英海軍トップに持ちかけられた。提案は首相や国防相ら英政権中枢の10人ほどで共有され、保秘のため「フックレス」というコードネームで呼ばれたという。
英国は6月に自国で開催した主要7カ国首脳会議(G7サミット)に、豪州のモリソン首相を招待。期間中にバイデン米大統領を交えた3者会談を開き、ひそかに計画の詳細を詰めた。
豪州がフランスと結んでいた7・2兆円規模の潜水艦建造計画を破棄することは、発表当日まで仏に漏れることはなかった。両国は8月30日にオンラインで外交・国防相会談を持ったものの、フランスはまったく気づかなかったという。
ジョンソン首相は発表後の今月16日、「『グローバル・ブリテンのインド太平洋への傾斜(関与拡大)』がどんな意味を持ち、英国にどんな貢献ができるかという疑問があるとすれば、今回の豪州と米国との協力関係が答えだ」と議会下院で誇った。
「グローバル・ブリテン」は英国がEU離脱後の外交基本方針に据えた考え方。インド太平洋地域を中心に英国が世界との結びつきを強める戦略だ。
EU離脱を主導したジョンソン氏にとって、英国だけでも外交成果を上げられると示す好機になった。原潜建造には英国からロールスロイス社などが参加する見通しで、AUKUSによる経済効果も期待されている。
ほぞをかむのがフランスだ。ルドリアン外相は18日、国営テレビに出演し「我々は英国がいつも日和見主義なのを知っている。(AUKUSの)余り物だ」と述べ、英国は米国に追従したに過ぎないと印象づけようとした。
フランスは米豪に駐在する大使を呼び戻すと決めたが、英国は対象にしていない。ルドリアン氏は、計画を主導したのは米国だからだと示唆したが、フランスが目指す欧州自前の防衛構想には英国の協力が不可欠。将来の関係をにらみ、英国との外交危機は避けざるを得ない事情もあるとみられる。(ロンドン=金成隆一、パリ=疋田多揚)
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このあたりの話からすれば、フランスの“聞いてない”“裏切り”“背中から刺された”といった反応もわかります。
【対中国で同じ土俵にすら立てていない英語圏同盟国と欧州諸国】
しかし、“フランスなど欧州諸国はアメリカを中心とする英語圏の同盟国と、同じ側に立たなくてはならない”との指摘も。 ずいぶん英語圏同盟国の立場のようですが・・・
****<解説>ジェイムズ・ランデール外交担当編集委員****
ぎこちない外交、高まる感情、スパイのような秘密主義……AUKUS騒ぎにはこのすべてが含まれている。
しかし、恥辱を受けたフランスの閣僚たちが声高な非難を口にする間にも、基本的な真実が浮かび上がっている。西側諸国は、中国にどう対応すべきか、決めかねているのだ。
アメリカはイギリスとオーストラリアと共に、この安全保障上の課題に立ち向かおうとしている。一方、一部の欧州諸国をはじめとする諸外国は、中国に対してそこまで好戦的ではなく、中国との経済協力と、中国政府との戦略的競争を、引き続き区別して別扱いしようとしている。
フランスは、オーストラリアによる契約破棄に加え、アメリカとイギリスからの信頼欠如に憤っている。
この事態にフランスの新聞各紙は、大使召還を超える報復措置について取りざたし始めており、北大西洋条約機構(NATO)関連の対応の声もあがっている。これを機についに欧州は、戦略的自治の拡大について合意する気になるかもしれないという、そうした憶測も出ている。
だが、真実はもっと単純だ。西側諸国がインド太平洋での利益を守りたければ、フランスをはじめとする欧州諸国は、アメリカを中心とする英語圏の同盟国と、同じ側に立たなくてはならない。だが現時点では、両者は同じ土俵にすら立てていない。【9月20日 BBC】
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