安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ワルシャワ室内歌劇場「フィガロの結婚」(11月2日 長野県伊那文化会館)

2019-11-04 20:06:38 | 演奏会・ライブ

長野県伊那市で、ワルシャワ室内歌劇場によるモーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」の公演があったので、出かけてきました。比較的近いところで聴けるのはありがたいことです。

   

(出 演)

指揮:ピョートル・スワコフスキ
演出・リシャルト・ペリット

アルマヴィ-ヴァ伯爵:スタニスラフ・クフリュク
伯爵夫人:エヴァ・トラッチ
スザンナ:イングリダ・ガポヴァ
フィガロ:アルトゥル・ヤング
ケルビーノ:ヤン・ヤクブ・モノヴィド
マルチェリーナ:エルジュビェタ・ヴルブレフスカ
その他

管弦楽:ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場管弦楽団
合唱:ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場合唱団

(感 想)

「フィガロの結婚」のストーリーは、当時の封建制時代なら刺激的で受けたのかもしれませんが、現代ではそれほど面白いものではありません。登場人物が多くて、ストーリーがこんがらかるような気もします。しかし、出てくるアリアなどは、ヒット曲満載なので、それを中心にして観劇していました。

演出がシンプルで、余分な小道具や過剰な演出はなく、簡素でよかった。また、オーケストラも40人位と少人数ですが、伴奏という点からは十分でした。歌手に有名な人はいませんが、フィガロを歌ったアルトゥル・ヤング(バリトン)は、まずまずで「もう飛ぶまいぞこの蝶々」は楽しめました。

常設の歌劇場のためか、出演者の演技はこなれたもので、その点は感心しました。チケットは、S席(SSはなし)でも7千円なので、お得感がありました。そのためもあってか、会場は、7~8割くらいは席が埋まっていました。こういった公演が近くであれば、長野県内でもオペラやクラシックのファンが増えるかもしれません。

映像作品も多く出回っていますが、オペラはなんといっても実演が面白い。オペラについては、東京に行かなければほとんど観ることができないので、日程、予算がままならならず難しいのが残念なところです。

【参考に観たブルーレイディスク】

   

ダニエル・バレンボイム指揮 シュターツカペレ・ベルリン。ドロシア・レシュマン、ルネ・パーペ、ロマン・トロケルら出演。

【長野県伊那文化会館と周りの春日公園の光景】

伊那文化会館のあるところは、伊那市の春日公園の一角で、樹木や散策コースが整備されています。右側に見えるのが、会館です。

入口。

   

フィガロの結婚の立て看板。

伊那文化会館の下の方になります。午後3時の開演まで時間があったので、この場所で本を読んでいました

枯葉。秋が深まっています。


槙島和宏(ts)クインテット+門馬瑠依(vo)ライブ (11月2日 安曇野市いさつ歯科)

2019-11-03 20:06:49 | 演奏会・ライブ

槙島和宏クインテットにゲストとして門馬瑠依が加わったライブがいさつ歯科であったので、喜んで出かけていきました。

 

(出 演)

槙島和宏(ts)
新間康雄(g)
カツ渡辺(p)
高田博史(b)
結城和宏(ds)
門馬瑠依(vo)

(曲 目)

1 Whims of Chambers (ポール・チェンバース)
2 Visitation (ポール・チェンバース)
3 Softly as in a Morning Sunrise (シグモンド・ロンバーグ)【歌】
4 So Many Stars (セルジオ・メンデス)【歌】
Moonstruck Avenue  (ピーター・ヴースト)【歌】
Delight  (ピーター・ヴースト)
7 Del Sasser (サム・ジョーンズ)

〈休憩〉

1 Gloria's Step (スコット・ラファロ)
Peau douce (スティーヴ・スワロー)
3 Polka Dots and Moonbeams (ジミー・ヴァン・ヒューゼン)【歌】
4 Moonlight in Vermont (カール・スースドーフ)【歌】
5 Next to You (ピーター・ヴースト)
6 スーカスー(鈴木良雄さん作曲の曲。よくわかりませんでした。)
7 How High The Moon (モーガン・ルイス)【歌】
Hey Jude (ポール・マッカートニー)【歌】
9 You'd be So Nice to Come Home To (コール・ポーター)【歌】

(注)【歌】と表記してある曲が、門馬瑠依の歌が加わったものです。(  )の中はその曲の作曲者名です。

(感 想)

槙島和宏クインテットのライブは、2017年に次いで2回目でしたが、今回は、ベース奏者が作曲した曲と、月面着陸から50年ということで、月に因んだ曲に焦点を当てて演奏をしていました。ハードバップ、スタンダード、北欧の曲と、リーダーの槙島さんの選曲はバラエティに富んだ注目すべきものでした。

ベース奏者の曲では、サム・ジョーンズの「Del Sasser」がグルーヴィーで、かっこいい演奏でしたが、まさかのスコット・ラファロ作「Gloria's Step」のクインテット演奏には驚きました。槙島さんが言っていましたが、ここ数年で最も難しい曲だそうです。意欲的で、好感が持てました。

月に関するものでは、門馬さんの歌が加わったバラード「Polka Dots and Moonbeams」が、ロマンチックな雰囲気をたたえた歌、演奏で、僕の好みにぴったりでした。デンマークのベース奏者ピーター・ヴーストの3曲は、初めて聴きましたが、ヴェロニカ・モーテンセンが歌った「Moonstruck Avenue」は佳曲で、記憶に残ります。

門馬瑠依さんの歌は、2018年3月に神田のジャズクラブ「Lydian」で聴いて以来でしたが、声に伸びがあり、快調でした。「How High The Moon」などスキャットも使って盛り上げていましたが、サービスで突然やってくれた「You'd Be So Nice to Come Home to」では、テナー、ギターの素晴らしいソロも聴けて、最後まで大型コンボ+ヴォーカルによる編成が嬉しいライブでした。 

 【門馬瑠依】

   

北海道出身で、現在は東京で活動し、ジャズクラブへの出演が多く組まれています。

ホームページ:monmarui

【3rd Album「WORDS CAN’T DESCRIBE」】

   

今年の5月1日に発売された3作目のCDです。僕は既に購入していたので、会場にもっていってサインをいただきました。クール気味の声の響きが印象的な「Slow Hot Wind」やペーソスを湛えた「Send in The clownds」など、なかなかよいCDです。


アレクサンドル・ラザレフ指揮 群馬交響楽団演奏会 グラズノフ「四季」など (10月26日 高崎芸術劇場)

2019-10-29 20:06:22 | 演奏会・ライブ

群馬交響楽団の高崎芸術劇場における初の定期演奏会は、アレクサンドル・ラザレフが指揮するロシアプログラムで、期待して出かけました。

   

(出 演)

指揮:アレクサンドル・ラザレフ
管弦楽:群馬交響楽団

(曲 目)

グラズノフ / バレエ音楽〈四季〉 作品67

〈休憩〉

プロコフィエフ / バレエ音楽〈ロミオとジュリエット〉(ラザレフ選)

(感 想)

アレクサンドル・ラザレフさんは、ロシアを代表する指揮者の一人で、74歳という年齢から巨匠風の動きの少ない指揮を行うだろうという先入観があったのですが、エネルギッシュな動きでそのイメージを完全に翻させられました。今回、座席が前の方だったので、指示を細かく出していたのが、よくわかりました。

ロシアのバレエ音楽の名作2曲ですから、弦楽器の奏する美しい旋律を浴びてくるつもりだったのですが、ラザレフ指揮は、かなりメリハリがついた演奏になっていました。冬から始まるグラズノフの「四季」では、ハープのカデンツァで春に進みますが、それをかなり強力な音を出させていました。春の目覚めという感じです。

さらに、夏のワルツや最終章の秋の場面ではきめ細やかに華麗に盛り上げていて、グラズノフの音楽の豊かさ、面白さをみせてくれました。プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」では、冒頭の不協和音が強烈で驚かされ、鋭角的に上下する旋律が印象的な「騎士の踊り」場面の重厚な響きがすごく、エネルギーが溢れているようでした。

群馬交響楽団の3人の弦楽器の首席のソロがよく、木管金管にも大きなミスがなく、高崎芸術劇場における最初の定期演奏会は大成功だったのではないでしょうか。このホールは、響きがよいのに加え、音の分離もよく、管弦楽を堪能できるよい空間だと再び感心しました。満ち足りて帰途につきました。

【あらかじめ聴いたグラズノフ「四季」のCD】

   

エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮 フィルハーモニア管弦楽団(1977年録音)

【当日会場でいただいた群馬交響楽団の葉書】

表には、ミュージック・アドバイザーの小林研一郎さんの挨拶。

裏面には、団員全員の集合写真。記念になりました。


篠﨑 友美ヴィオラ・リサイタル (10月9日 長野市芸術館)

2019-10-11 20:05:22 | 演奏会・ライブ

ヴィオラの音色は好きですが、ソロで聴く機会がほとんどないので、長野市芸術館で行われた篠﨑友美さんのリサイタルに出かけてきました。

   

(出 演)

ヴィオラ:篠﨑友美
ピアノ:石野真穂

篠﨑さんは、1997年ミュンヘン国際コンクール第3位入賞、2002年より新日本フィルハーモニー交響楽団首席ヴィオラ奏者。ソリスト、室内楽奏者として内外のフェスティバルに出演するほか、紀尾井ホール室内管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラなどのメンバーとしても活躍しています。石野さんは、パリでコレペティトゥーアの研鑽を積み、帰国後はオペラ公演に多数関わるほか、新国立劇場オペラ研修所ピアニストなどを務めています。

(曲 目)

フンメル:幻想曲 ト短調 Op.98
ヴォーン・ウィリアムズ:「グリーンスリーヴス」による幻想曲
山本友重:ふるさと幻想曲
R. クラーク:古いイギリスの調べによるパッサカリア
B. ブリテン:ラクリメ  -バウランド歌曲の投影 Op.48a

〈休 憩〉

ブルッフ:ロマンス
加藤昌則:未在の庭
シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ D.821

ドヴォルザーク(クライスラー編曲):スラヴ幻想曲 (アンコール曲)
レーガー:ロマンス (アンコール曲)

(感 想)

後半の最初にトークコーナーがあったのですが、篠﨑さんは、ヴィオラのリサイタルの機会は、ほとんどないと話していました。それだけに、当日の選曲や演奏にはかなり力を入れてくれたようです。全体に清々しい素晴らしい演奏会になりました。

このリサイタルのために篠﨑さんは、山本友重(東京交響楽団)さんに委嘱して、童謡「ふるさと」のメロディを元にした「ふるさと幻想曲」を作曲してもらったそうです。演奏は難しそうですが、おなじみのメロディも登場し、楽しく聴けました。加藤昌則さんの「未在の庭」も演奏してくれて、邦人作曲家の作品を取り上げていたのも好印象です。

篠﨑さんの音色は高音から低音までフルに鳴っている美しく迫力のあるもので、ブルッフの「ロマンス」といったロマンティックな曲もよかったのですが、ブリテンの「ラクリメ」が変化に富んだ曲想と技巧を凝らした演奏で最も面白かった。

石野さんのピアノ伴奏も余裕のある感じで、初めての共演だそうですが、なかなかよいコンビです。アンコールを2曲もサービスしてくれ、しかも、篠﨑さん選定の「ぷちスイーツ」をもらい、お得感もいっぱいでした。


小林研一郎指揮 群馬交響楽団 マーラー交響曲第1番他(9月28日 高崎芸術劇場)

2019-09-30 20:03:51 | 演奏会・ライブ

高崎芸術劇場開館記念「第30回高崎音楽祭」の催し物で、小林研一郎指揮群馬交響楽団特別演奏会が開かれたので、高崎に行ってきました。高崎芸術劇場は初めてなので、ワクワクしながら高崎駅東口へ。

   

(出 演)

指揮:小林研一郎
ピアノ:金子三勇士
管弦楽:群馬交響楽団

(曲 目)

モーツァルト / ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
リスト /  愛の夢第3番 (金子さん独奏 アンコール曲)

〈休憩〉

マーラー / 交響曲第1番 ニ長調「巨人」
マスカー二 / 歌劇「カバレリア・ルスティカ-ナ」間奏曲 (アンコール曲)

(感 想)

指揮者の小林研一郎さんは、現在群響ミュージックアドバイザーという地位にありますが、今回は新たな拠点での初の演奏会でかなり力を入れたのではないかと思いました。マーラーの第1番では、予想はしていましたが、終楽章は派手な盛り上げで、最後の方でホルンと金管楽器全員を立たせていました。

8月に、ファビオ・ルイージ指揮サイトウ・キネン・オーケストラで、同じ曲を聴いたばかりなので、どうしても比較してしまいましたが、ヴィオラやチェロの弦セクションが、迫力のある音を出していて印象に残りました。コントラバスのソロから始まった第3楽章がしっとりとした美しさが出ていました。

アンコールで、カバレリア・ルスティカ-ナの間奏曲を演奏してくれたのは、好きな曲なので嬉しかった。モーツァルトのピアノ協奏曲第20番は、金子さんのピアノ演奏はきれいな響きをしていて、全体にはよかったのですが、テンポが遅めで、初めの方などちょっともたれた感じがありました。

高崎芸術劇場の音響はかなりよいように思え、潤いがあり、豊麗なサウンドに聴こえました。また、足元が広く、ゆったりと座れるのもありたがく、いい施設だと感心しきりです。当分、長野から高崎に通ってしまいそうです。

【高崎芸術劇場】

   

高崎音楽祭のパンフレット表紙

高崎駅東口から続いているペデストリアンデッキからの高崎芸術劇場

入口を入ったあたりです。

当日の催し物のお知らせ

ホワイエにある飲み物の売店

ホワイエの広々とした窓からは外がよく見えます。