昨日(1月15日)は東京出張でしたが、長野~東京の新幹線の中は読書をしてました。普段、読書にまとまった時間がなかなかとれないので、こういう時間は貴重です。読んだのは村上春樹著「意味がなければスイングはない」(文春文庫)です。11人の音楽家をとりあげ、その音楽や人生について論考をめぐらせたものです。ジャズでは、シダー・ウォルトン、スタン・ゲッツ、ウィントン・マルサリスが登場します。帰宅したあと、シダー・ウォルトンのアルバムを聴いてみました。
CEDAR WALTON (シダー・ウォルトン)
CEDAR (Prestige 1967年録音)
村上春樹さんがシダー・ウォルトン(ピアノ)をとりあげて詳しく論じているのを読んだ時にはわが意を得たりでした。もちろん僕の理解度はとても村上さんに及ぶものではありませんが、そのクリアーで刺激的な音と線的ラインを中心とするアドリブに魅せられていたからです。現役ピアニスト中いちばん好きな人は、シダー・ウォルトンだと村上さんは書いています。
このアルバムは1967年という年にあって、ハードバップの残り香をもちつつ、ウォルトンのピアノと彼の作曲した曲にモーダルで新しい感覚が盛られているものです。メンバーは、ケニー・ドーハム(トランペット)、ジュニア・クック(テナー・サックス)、シダー・ウォルトン(ピアノ)、リロイ・ヴィネガー(ベース)、ビリー・ヒギンズ(ドラムス)というものです。また、本作品はシダーのリーダーアルバム第1作にあたります。
曲目は、「Turquoise Twice」、「Twilight Waltz」、「Short Stuff」、「Head and Shoulders」というシダー・ウォルトンのオリジナル4曲と「My ship」、「Come Sunday」そしてCDで追加された「Take The A Train」のスタンダード3曲で合わせて7曲です。ウォルトンのオリジナル曲はそれぞれ工夫が凝らされていて面白いです。
本アルバムは、麻薬中毒のドーハム、なんとなくはっきりしないクックというわけで、覇気のある演奏とは言えないかもしれません。中では、「Short Stuff」が軽快にバウンドする楽しい曲で、ウォルトンのピアノ・ソロも分離のいいタッチでリズミカルに奏されていて聴きごたえ十分です。「My Ship」はトリオでやっていて、ウォルトンの長い旋律ラインが登場します。
東京は晴れわたっていました。地下鉄御成門駅近くの横断歩道橋から携帯電話で撮影した東京タワーです。とんぼ返りで、残念ながらジャズ喫茶やレコード店には全く行けませんでした。余裕のある出張を組みたいものです。