昨日、古い文庫本などを整理していたら、本棚の隅で目にとまったのが、植草甚一スクラップ・ブック(晶文社)です。全てではありませんが、多くの巻数があり、ジャズ関連のものを中心として買っては読んでいたことを想い出します。その中でも、「ぼくたちにはミンガスが必要なんだ」(14巻)というタイトルは目をひきました。植草さんのエッセイ(翻訳)の題名をそのまま、巻のタイトルにもってきたものです。
CHARLES MINGUS (チャールズ・ミンガス)
MINGUS AT CARNEGIE HALL (Atlantic 1974年録音)
1970年代に晶文社から刊行された植草甚一スクラップ・ブックは、映画、音楽(ジャズ、ロック)、小説などに関する批評やエッセイが収録されており、購入して読むのが楽しみでした。主にジャズの巻を読んでいたのですが、エッセイに付けられた見出し(表題)が秀逸で、今でもいくつか記憶にあります。その中でも、「ぼくたちにはミンガスが必要なんだ」というタイトルは、すっと入ってそのまま刷り込まれてしまいました。
「直立猿人」などミンガスの有名アルバムは持っていたのですが、このエッセイを読んで新たに買ったのが、このライブ盤です。それゆえ愛着があり内容も面白いので、ミンガスのリーダーアルバム中、今でも取り出す一枚となっています。当コンサートでは、他にも演奏されていますが、ここで聴けるのは2曲だけです。
メンバーは、当時のミンガス・グループのチャールズ・ミンガス(b)、ジョージ・アダムス(ts)、ハミエット・ブルーエット(bs)、ドン・プーレン(p)、ダニー・リッチモンド(ds)に、ゲストがジョン・ファディス(tp)、ジョン・ハンディ(as)、ローランド・カーク(ts&strich)、チャールズ・マクファーソン(as)という9人編成のバンドです。
曲目は、「C Jam Blues」と「Perdido」というエリントン・ナンバー。ミンガスを中心としたリズム隊がスイングしていて、体を揺らしたくなります。ホーンの方では、ハンディ、ブルーエット、アダムスといった面々のソロも刺激的で悪くないのですが、ローランド・カークのバイタリティ溢れるプレイは格上といってよく、ことに「Perdido」において聴衆を興奮のるつぼと化させるソロは圧巻です。音量を上げて聴きたくなること必至の作品なので、回りに注意しています(笑)。
【ぼくたちにはミンガスが必要なんだ】
植草甚一スクラップ・ブックの第14巻(晶文社)です。モンク、ドルフィー、ミンガスの3人について書かれた文章をまとめたものです。