名古屋に出かけた帰りに少しだけ時間があったので、栄のバナナレコード・ジャズ・シンジケートに寄りました。ヴォーカルものを買うつもりだったのですが、LP、CDともめぼしいものがなく期待外れでした。気を取り直して、近くのHMVに行ってCDを物色して少ない品揃えの中からインスト2枚を購入しました。同店では、マイケル・ブーブレ(vo)のアルバムを陳列してプッシュしていたのが目にとまりました。帰宅後、男性歌手を聴きましたが、その中の一枚です。
JESSE BELVIN (ジェシー・べルヴィン)
MR. EASY (RCA 1959年録音)
ジェシー・べルヴィン(vo)は、1933年生まれですが、このLPを録音した後、1960年2月に自動車事故で若くして亡くなってしまいました。声の質や、こぶしを効かせているところなど、サム・クックに似ているところがあります。どちらかというと、ソウル、R&B寄りですが、このアルバムは、マーティー・ぺイチの編曲を得て、よくスイングし端正なところもあります。
インストの好きなジャズファンにも知られている作品で、その理由は、伴奏にアート・ペッパー(as,cl)が参加し、ソロもいくつかとっているからでしょう。伴奏は、西海岸のスターによる編成のビッグバンドやそこに弦楽器などが加わったもので、3回に分けて録音されています。
曲はスタンダードが主です。「It's All Right With Me」(私はご満足)、「Something Happens To Me」、「What's New」、「In The Still of The Night」(夜の静けさに)、「Blues In The Night」(夜のブルース)、「Let There Be Love」、「Imagination」、「The Best is Yet To Come」、「Makin' Whoopee」、「Angel Eyes」、「I'll Buy You A Star」、「The Very Thought of You」(君を想いて)の12曲。比較的珍しいのは、「Something Happens To Me」と「I'll Buy You A Star」でしょうか。
べルヴィンは、少しハスキーながら滑らかな声と丁寧なフレージングでスタンダードを歌っています。早いテンポではペッパーのソロも入る「It's All Right With Me」、ミディアムテンポで、ぺイチ編曲によるサウンドも心地よい「Something Happens To Me」、遅いものでは、ペッパーのクラリネットソロが入る「Blues In The NIght」、ナット・キング・コールに並ぶような歌いぶりの「The Very Thought Of You」がよく、たまに聴くアルバムです。
【名古屋市栄のレコード店など】