お盆の8月14日、飯田市のライブハウスCANVASで、鎌倉淳(アルト・サックス)グループの演奏を聴きました。彼は、長野県飯田市の出身で、関東各地のライブハウスなどに出演しています。バップに基づいたオリジナルの他、「It Don't Me A Thing」や「On A Clear Day」などスタンダードも演奏していましたが、マル・ウォルドロン作の「Left Alone」をやってくれたのには驚き、かつ嬉しくなりました。かつてのジャズ喫茶の人気盤「Left Alone」を聴いてみます。
MAL WALDRON (マル・ウォルドロン)
LEFT ALONE (BETHLEHEM 1959年録音)
マル・ウォルドロン(p)は、プレスティッジレーベルに多数の録音があり、また、「Left Alone」や「All Alone」といった作品により、かつては日本のジャズファンにおなじみでした。仙台には「MAL」という名前のジャズ喫茶があったくらいです。マル・ウォルドロンについては最近はほとんど話題に上らないような気がしますが、このアルバムは、聴き続けられていくに違いない一枚だと思います。
メンバーは、マル・ウォルドロン(p)、ジュリアン・ユール(b)、アル・ドリアーズ(ds)、ジャッキー・マクリーン(as)。マクリーンは、「Left Alone」に参加しているだけですが、彼のプレイによって、このアルバムの価値が高まり、多くのジャズファンが耳を傾けるようになったといってよいでしょう。アルバム全体は、マルが伴奏者を務めていたビリー・ホリデイ(vo)に捧げられています。
曲は、マルが作曲をした3曲、「Left Alone」、「Cat Walk」、「Minor Pulsation」と、ロリンズ作「Airegin」、スタンダードの「You Don't Know What Love Is」の全5曲。そこに、マル・ウォルドロンのインタヴューで「ビリー・ホリデイを偲んで」という1トラックが加わります。マルは、琴線に触れるような孤独、寂しさといった情感を漂わす曲作りをしていて、この「Left Alone」はもちろん、「Cat Walk」も印象的なメロディを持っています。
バラードの「Left Alone」は、マクリーン(as)のほの暗い音色がぴったりとあって、はじめから思いが溢れ出てくるような演奏です。マクリーンは、じっくりとストレートに吹くことに専念していて、曲の魅力をよく引き出しています。マクリーンとマルが、淡々とフレーズを綴っていくところは似ています。他の曲は、ピアノ・トリオで演じられますが、「Cat Walk」は、やはりマルの曲作りのうまさが光り、彼のソロも力のこもったものです。
【鎌倉淳カルテット】
当夜の演奏メンバーは、鎌倉淳(as)、外山安樹子(p)、関口宗之(b)、秋葉正樹(ds)、ゲストとして横前恭子(vo)。ゲストの横前さんを含めて、いいメンバーでした。鎌倉さんの出身地でのライブということもあって、大いに盛り上がりました。今後の活躍に期待します。
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