松本の古書店兼喫茶の「想雲堂」で購入したフランソワ・ポスティフ編著の「JAZZ HOT ジャズ・ジャイアンツ・インタビュー集」を読んだところ、格段に面白かったので、備忘的に感想を記すことにしました。
この本の編著者で、もともとミュージシャンにインタビューを行ったフランソワ・ポスティフは、フランスのジャズ専門誌「ジャズ・オット」の記者として活躍した人で、インタビューの初出は、ジャズ・オット誌に掲載されたものです。翻訳者は山口隆子さんという方です。
(目 次 登場するジャズメン)
デューク・エリントン
ホレス・シルヴァー
リー・モーガン
ジーン・ラミイ
ケニー・クラーク
セロニアス・モンク
ソニー・ロリンズ
キャノンボール・アダレイ
ローランド・カーク
チャールズ・ミンガス
テッド・カーソン
エリック・ドルフィー
ジョン・コルトレーン
マッコイ・タイナー
ビル・エヴァンス
キース・ジャレット
オスカー・ピーターソン
レスター・ヤング
(感 想)
綺羅星のごときのジャズミュージシャン18名に対するインタビューが掲載されています。インタビュー嫌いなセロニアス・モンクや、亡くなる一月前のレスター・ヤング、インタビュー例がそうないと思われるキャノンボール・アダレイのものは、珍しいのではないでしょうか。
インタビューが行われた時点は、今からみるとミュージシャンの旬の時期にあたるものが多く、例えば、エリック・ドルフィーは1961年2月、ジョン・コルトレーンは1961年1月、キース・ジャレットは1969年にインタビューが行われています。内容も回想ばかりでなく、これからどうしたいのかという視点も入っています。
ポスティフの質問は、率直で、ハラハラするようなことも言っていて、ミュージシャンとその音楽について的確な情報をつかみたいという意思が伝わってきます。例えば、ビル・エヴァンスに対しては、「音楽にユーモアのセンスが不足しているのではないか」という意味のことを言っています。
なお、植草甚一さんは、本書(ジャズ・オット誌)のビル・エヴァンスへのインタビュー記事を訳して紹介していますが、うまく訳し、植草流の文章になっています。植草さんはポスティフの質問のうまいことを褒めていて、その慧眼にもあらためて感心しました。【植草甚一スクラップ・ブック35巻収録の「ビル・エヴァンスとその他の白人ピアニストたち」に収録】
(内容の例 ビル・エヴァンスへのインタビュー)
(植草甚一スクラップ・ブック35 表紙)