2023年のNHK大河ドラマは、「どうする家康」で、徳川家康が主人公です。僕はそのドラマは見ていませんが、江戸時代に関心があるので、磯田道史著「徳川がつくった先進国日本」(文春文庫)を購入しました。
磯田道史さんは、1970年岡山市生まれで、慶応大学文学部博士課程修了。現在、国際日本文化研究センター教授。専門分野は日本史学。研究内容は、近世中後期の幕藩政改革、歴史地震津波の史料を調べ解読し防災に役立てる試み、伊賀・甲賀など忍び(忍者)の古文書調査、感染症の日本史。「武士の家計簿」など著書多数。
(カバー裏にある本書の概要)
(大まかな目次)
第一章 「鎖国」が守った繁栄 1806年(文化3年)
文化爛熟期に起きたウェスタン・インパクト
開国論と鎖国論
武力衝突の回避へ
第二章 飢饉が生んだ大改革 1783年(天明3年)
飢饉が明らかにした政治の矛盾と限界
名代官の時代
幕藩体制の転換
第三章 宝永地震 成熟社会への転換 1707年(宝永4年)
新田開発へと雪崩を打つ
大地震と津波の甚大な被害
豊かな農村社会へ
第四章 島原の乱 「戦国」の終焉 1637年(寛永14年)
「徳川の平和」への助走期間
島原の乱とは何か
「平和の到来」をもたらした「生命の尊重」
(感想など)
本書は、平成23年(2011年)10月に『さかのぼり日本史 江戸"天下泰平"の礎』という4回シリーズの、NHK教育テレビの番組を元にまとめられたもので、わかりやすく面白い内容です。読んだら、僕の今までの思込みが全く誤っていた点が2~3ありました。
一つは、「代官」は年貢徴収ばかりに熱心で、総じて悪者だと思っていたのですが、実はそうではありませんでした。天明の飢饉から農村を立て直すのに、老中の松平定信は、有能な人材を登用し、民政を重視する名代官が次々と出現していたので、驚きました。(第2章)
二つ目は、5代将軍綱吉の「生類憐みの令」は、悪法の象徴のように思っていたのですが、実は、犬だけを大事にしようとしたものでなく、社会的な弱者を救済するさまざまな法令群を総称したものだそうです。綱吉こそが徳川の平和に大きく貢献したのが事実のようです。(第4章)
(参 考)
NHKどうする家康ホームページ:大河ドラマ「どうする家康」 - NHK
松平定信の像
徳川綱吉の像