TUTAYAのミュージカルの棚に「シェルブールの雨傘」がリマスター版DVDで入荷していたので、借りてきました。これは女優カトリーヌ・ドヌーヴの出世作ですが、もう一方の主役は、作曲のミシェル・ルグランです。彼の書いた華麗なメロディに乗せてフランス語の台詞のやりとりがされます。筋立ても面白いし、無意味なダンスがないのも好感がもて名作だと思います。今夜はミシェル・ルグランのピアノを聴いてみます。
MICHEL LEGRAND (ミシェル・ルグラン)
AT SHELLY'S MANNE-HOLE (Verve 1968年録音)
ルグランはパリ生まれで、パリ音楽院卒業の経歴を持つ作曲家で主に映画音楽を書いてきましたが、1958年の「ルグラン・ジャズ」などジャズ作品も残しています。代表的な作品に、「シェルブールの雨傘(1964)」、「ロシュフォールの恋人たち(1967)」、「華麗なる賭け(1968)」、「ビリーホリデイ物語(1972)」、「愛と哀しみのボレロ(1981)」などがあります。
「シェルブールの雨傘」の主題はロマンチックなメロディですが、ジャジーな編曲もされており、ジャズからの影響が強いことがうかがわれます。本作品「シェリーズ・マン・ホール」の録音は、ルグランが映画「Sweet November」の仕事でハリウッドに滞在している際、スタジオ・オーケストラで顔を合わせたシェリー・マンの申し出で行われたものです。
したがって、出演したライブ・ハウスはシェリーズ・マン・ホール。メンバーは、ルグラン(p)、レイ・ブラウン(b)、シェリー・マン(ds)という豪華メンバーです。曲目は、8曲中4曲が3人による共作と表記され、他に「A Time For Love」、「Watch What Happens」、「My Funny Valentine」、「Willow Weep For Me」です。
ルグランは、磨かれた歯切れのいい音で、単旋律を用いたソロを中心になかなかスイングします。レイ・ブラウンの縦横無尽なベースプレイも聴きものです。3人の共作作品から、ミディアムテンポでグルーヴィーな味わいもある「Ray's Riff」、そしてルグランの熱演が聴ける「Another Blues」、のびのびとプレイしているルグランの自作曲「Watch What Happens」あたりが印象に残ります。
・・・そのうえミシェル・ルグランは凄く尊大で、態度が悪いと評判だった・・・シャンソン歌手で、ミシェル・ルグランの司会を務めた山崎肇さんの著書「シャンソン歌手はスパゲッティを食わない」に書かれている一節です。ウンウン頷きながら読みました。(笑)
ルグランは、音楽家として大成功しているので、尊大さもあったのでしょうね。アメリカでは、この作品の評判は、ピアノに対しては良くなかったようです。そんなことも手伝ってのことかもしれません。