安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

チャーリー・マリアーノ BEAUTIES OF 1918

2010-12-08 22:54:55 | アルト・サックス

コーヒー豆の販売店「豆の木」(長野市)に寄ったところ、「クリスマスブレンド」という商品を販売していて、クリスマスが近いのだと気づかされました。その「クリスマスブレンド」を買ってきて飲んでいますが、ケーキとあいそうなので、イブにはケーキを買うことにします。既に子供も社会人で、プレゼントを贈ることもなくなってしまい、昨年はケーキも買いそびれ、クリスマスとは縁がなくなってしまい、ちょっと寂しい気がします。アルトサックス2本入りの賑やかそうな作品です。

CHARLIE MARIANO (チャーリー・マリアーノ)
BEAUTIES OF 1918 (WORLD PACIFIC 1957年録音)

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タイトルは1918年の美人というところでしょうか。曲目は禁酒法が施行されていた当時のものを集め、コンセプト・アルバムともいえます。チャーリー・マリアーノとジェリー・ドジオンの2人のアルト・サックス奏者の共演ですが、知名度が低いジェリー・ドジオンは、サドメル楽団やベイシー楽団にも在籍した、堅実なプレイをするミュージシャンです。

当時の水着の写真が使われているジャケットも有名ですが、今から見るとおよそ水着らしくないですが、当時としては最新のファッションだったのでしょう。メンバーは、チャーリー・マリアーノ(as,recorder)、ジェリー・ドジオン(as,fl)、ジミー・ロウルズ(p)、ヴィクター・フェルドマン(vib)、モンティ・バドウィック(b)、シェリー・マン(ds)で、明るいサウンドが聞こえてきそうです。

曲目は古いものを集めています。「After You've Gone」(君去りし後)、「When Johnny Come Marching Home」(ジョニーが凱旋する時)、「Deep River」、「Till We Meet Again」、「K-K-K-Katy」、「Till The Coulds Roll By」、「Over There」、「Ja Da」、「Hello Central, Give Me No Man's Land」の9曲。僕にとってなじみのあるものと、そうでないものが極端に分かれました。

二人のアルト奏者の演奏順は、ライナーに記載がありますが、マリアーノの方がよりスリルが感じられます。早いテンポの「After You've Gone」は、それぞれのソロのスタートで伴奏をやめるなど、よくある手ですが、かっこよい。「Till We Meet Again」は、ドジオンが力強く旋律を吹き、フェルドマンのヴァイブ・ソロ、間奏、マリアーノのソロと続き躍動感がありますが、ベースだけで終わるという面白い編曲。全体にシェリー・マン(ds)を中心としたリズム隊が明快なリズムを奏でています。

まめの木 クリスマスブレンド】

珈琲豆販売店「まめの木」の豆や挽いてもらった粉をいれる包装紙です。
所在地:長野市栗田190-3 電話:026-228-4535

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リタ・ローザ BETWEEN THE DEVIL AND THE DEEP BLUE SEA

2010-12-05 09:20:45 | ヴォーカル(L~R)

今年の忘年会も、戸倉上山田温泉(長野県千曲市)の旅館で泊まりでやることになりました。幹事には、料理の美味しいところにしてくれと頼んでおきましたが、さてどうでしょうか?去年は同温泉の別の旅館でしたが、車で出発したものの大雪で到着が1時間以上遅れ、しかも、僕は宴会の真っ最中に仕事で呼び戻されて、とんでもない目にあいました。楽しみですが、12月は既に6~7回の飲会が予定されているので、深酒は慎みます。去年の忘年会の日の気分は、「絶体絶命」でした(笑)。

LITA ROZA (リタ・ローザ)
BETWEEN THE DEVIL AND THE DEEP BLUE SEA (DECCA 1957年録音)

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「Between The Devil and The Deep Blue Sea」は、1931年にテッド・ケーラー詞、ハロルド・アーレン曲のコットン・クラブのショーのために書かれた曲です。タイトルの日本語訳の絶体絶命とはよくつけたもので、進退窮まる状態のことですが、歌詞の方は、嫌いにならなくてはいけないのに愛してしまって進退窮まったという男女間の恋愛模様を可愛く描いたものです。

リタ・ローザは、イギリスの歌手で、40年代半ばから60年代にかけて活躍をしました。バラードが得意な歌手というイメージを持っていたのですが、2003年に日本で復刻されたこのCDは、それを翻すジャジーなものでした。伴奏は、英国トップミュージシャンで、編曲がビリー・マン、ロニー・ヒューズ(tp)、ジョージ・チジョム(tb)、ドン・レンデル(ts)、ビル・ラサージ(vib)らに英国楽旅中のアイク・アイザックス(g)が一部参加。

曲はよく知られたもので、「Between The Devil and The Deep Blue Sea」(絶体絶命)、「Willow Weep For Me」、「Little White Lies」、「Moon Song」、「Wrap Your Troubles in Dreams」、「I Only Have Eyes For You」(瞳は君ゆえに)、「You Turned The Tables on Me」、「I Cover The Waterfront」(水辺にたたずみ)、「You're Driving Me Crazy」、「MoonGlow」、「You Took Advantage of Me」、「No Moon at All」、「My One and Only Love」の13曲。

リタ・ローザは、ややハスキーながら高音が美しい軽やかな声で、スローから早いテンポまで余裕をもった感じで歌っています。ビリー・マンの編曲が本格的なジャズ志向で、サウンドにそれが窺え、楽器のソロもたくさん入ります。タイトル曲の「絶体絶命」はもちろん、「Willow Weep For Me」、「You Turned The Tables on Me」、「Moonglow」、「No Moon At All」などフェイクを交えながらはつらつと歌っています。インスト・ファンにもアピールする好作品。

ホームページのヴォーカルにリタ・ローザ(Lita Roza)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう リタ・ローザ


エロール・ガーナー PLAYS MISTY

2010-12-01 22:13:58 | ピアノ

インフルエンザの予防接種も受けて注意はしていたのですが、3~4日前から風邪にかかったらしく、喉の痛みや体のだるさがあり元気がありません。さすがに、アルコール類は控えることにして、部屋を暖かくして早く寝ようとベッドに入ったのですが、寝付けないので、少し音楽を聴きたくなりました。昨夜はそんな気に全くならなかったので、今日はいくらか症状が改善しているに違いないと都合よく理解して、アルバムを聴きながらブログを書いています。アップしたら漢方薬の「葛根湯」飲んで寝ます。

ERROLL GARNER (エロール・ガーナー)
PLAYS MISTY (Mercury 1947~54年録音)

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ピアニストのエロール・ガーナーにより1954年に作られた「Misty」(ミスティ)は、インストはもちろん、翌年ジョニー・バークによってつけられた詞による歌でもよしの名曲です。出だしの「ソミシー」から始まるメロディのよさ、サビ部分(AABAのB)の転調の感じや盛り上がりなど一度聴いたら忘れられません。出だしが「Ebb Tide」(引き潮)にそっくりだという指摘もありますが、たまたまでしょう。今夜は作曲者本人の録音を聴きました。

クリント・イーストウッドの初監督作品「恐怖のメロディ」(原題は「Play Misty For Me」)で、この曲が使われています。ラジオ局の人気DJに「ミスティ」を電話リクエストする女性が、彼と一夜をともにした後で、ストーカーに変身し事件を起こしていくというあらすじです。DVDを一度観ましたが、伏線が巧みで次第に恐怖感が高まるリアリティのある映画でした。音楽はガーナー本人の協力によるものです。

「ミスティ」は、1954年の録音ですが、その他は1947年後半から50年代前半にわたるセッションからで、ピアノソロの1曲を除きピアノトリオです。曲は、ガーナー作曲が2曲で「Misty」と「Frantenality」で、他に「Exactly Like You」、「You Are My Sunshine」、「What is This Thing Called Love」、「Again」、「Where or When」、「Love in Bloom」、「Through a Long and Sleepless NIght」、「That Old Feeling」の全10曲。

「Misty」の初演にあたるここでの演奏は、比較的ストレートなプレイでメロディの美しさを際立たせています。途中からアルペジオを用いて華やかさも演出していて、良質なムードミュージックという感じもします。早いテンポでスピード感が出ている「You Are My Sunshine」もよいですが、今夜は「Misty」、「Again」、「Through a Long and Sleepless Night」と、就寝前なのでファンタジックなバラード演奏を楽しみました