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安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ビル・チャーラップ 'S WONDERFUL

2011-01-09 17:40:04 | ピアノ

僕の職場に、東京出身で、アメリカの大学を卒業し、長野で就職したという同僚がいて、外国は面白いと言っては、今でも年に2~3回は海外へ出かけて行きます。行き先は英語圏が多いのですが、最近はヨーロッパに惹かれているようです。このごろ、二人で出張した折に、フランスの美術館の話をしていたのですが、途中からジャズの話題になりました。彼はピアノ・トリオを好んでおり、ビル・チャーラップのファンです。

BILL CHARLAP (ビル・チャーラップ)
'S WONDERFUL (Venus 1998年録音)

 Swonderfulbillcharlap

ビル・チャーラップ(p)は、日本でも知られていて人気があります。このアルバムは、僕の職場の同僚の推薦盤でもあります。トリオでのアルバムが多いチャーラップですが、歌の伴奏もやっており、手元にあるキャロル・スローン(vo)の「When I Look In Your Eyes」(1994年録音・Concord)の伴奏も彼で、そこでは粒だった音が際立っています。

ビルの父のマーク・ムース・チャーラップは作曲家で、いくつかミュージカルを作曲していますが、代表作が「ピーターパン」(1954年)。母が「My Coloring Book」をヒットさせた歌手のサンディ・スチュワートというわけで、両親の才能を受け継いだのでしょう。この出自もよく話題とされます。

メンバーは、ビル・チャーラップ(p)、ピーター・ワシントン(b)、ケニー・ワシントン(ds)。選曲に凝ったものがあり、レパートリーが広く、「Time After Time」、「My Shining Hour」、「The Blue Room」、「Boy, What Love Has Done To Me」、「Isfahan」、「Lover」、「Something To Live For」、「'S Wonderful」、「Summer Serenade」、「Only The Lonely」。ジョージ・ガーシュイン作「Boy,What Love~」は珍しい。

トリオはバランスがよく、ベースがずっしりときます。テンポが速いものでは、チャーラップはバリバリと弾いていますが、ミディアムくらいまでのものは、ピアノの音色に変化をつけ、また、音の強弱にも気を使い効果をあげています。ペダルと指使いのなせる技でしょうが、簡単ではないはず。そんな繊細さとダイナミックさが合わさった「Time After Time」、「Lover」が代表かと。録音が良いのも特徴です。

キャロル・スローン (vo) When I Look In Your Eyes

1994年録音、Concordレーベル。メンバーは、Carol Sloane  (vo)、Bill Charlap (p)、Steve Gilmore (b)、Ron Vincent (ds)、Howard Alden (g)。チャーラップとともに、ハワード・アルデンがソロをとっています。キャロル・スローンは好調で、秀作の部類に入るのではないでしょうか。

 Whenilookinyoureyescarolsloane


マージー・レイバーン MARGIE

2011-01-05 20:03:20 | ヴォーカル(L~R)

今年のお正月は、事前の予報と異なりいいお天気でした。そこで、3日に久しぶりに善光寺に初詣に行ってきました。長野駅から善光寺に通じる中央通りに人を多く見かけたので、予想した通り到着した境内は人でいっぱいでした。今年は例年に比べて人出が多いようです。晴れ着姿の女性は見かけませんでしたが、皆さんいくらか華やいだ様子で参拝に来ていました。内容、ジャケともに華やかな作品。

MARGIE RAYBURN (マージー・レイバーン)
MARGIE (Liberty 1959年録音)

 Margie   

本人を描いたジャケットの絵がよくてレコードを購入しました。CD(LPTIMEレーベル)も出ていますが、この笑顔はLPサイズが断然映えます。見るからにキュートですが、ジャケ裏の写真では異なるイメージです。マージーは、1924年カリフォルニアに生まれ、第二次世界大戦中に歌い始め、終戦後、レイ・アンソニー楽団で歌い、また、サンフランシスコのナイト・クラブに出演し、シングル盤もリリースしています。

1954年にカントリー音楽のThe Sunnysidersの一員となりましたが、56年には独立してソロ歌手となり、5番目のシングル「I'm Available」が、57年12月にビルボード・チャート(HOT 100)の9位に達するヒットを記録しました。最後の録音は66年ですが、その後引退してロスアンジェルスで過ごし、2000年に亡くなりました。59年の本作録音時点では、既に充分なキャリアがあったことになります。

編曲はラッセル・ガルシアとデニス・ファーノンです。曲は、「This Could Be The Start of Something」、「Body and Soul」(身も心も)、「Wonderful One」、「Day In, Day Out」、「Blues in The Night」、「Almost Like Being in Love」、「Should I」、「Come Rain or Come Shine」(降っても晴れても)、「Hurry My Love」、「It's a Lonesome Old Town」、「Ill Wind」、「The Man I Love」の12曲でほとんどスタンダード。

シングル盤では、ガールポップ風のところがありますが、ここでは、声がよく出ていて華やかなショー歌手、ないしはスタンダード歌手の面をみせてくれます。テンポの早い曲がよく、「This Could Be The Start of Something」、「Almost Like Being in Love」、「Should I」と、ビッグバンドの伴奏に乗りはつらつと歌っています。スティーヴ・アレン作の「This Could Be The Start of Something」は調子がよくて大好きなメロディ、リズムなので、この曲が収録されているものはとりあえず買ってしまうことが多いです。

【ジャケット裏面の写真】

シングル盤では、かわいい女の子というイメージを出していました。この写真は、キャリア充分な歌手という感じがします。

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【善光寺光景 2011年1月3日】

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バリー・ハリス BREAKIN' IT UP

2011-01-01 17:02:12 | ピアノ

新年明けましておめでとうございます。いつもは自宅の玄関にしめ縄を飾っていますが、今年は奥さんが小さな門松を買ってきました。見方によっては、干支の兎の耳のようにも見えます。お正月は馴染みの作品を聴いています。バド・パウエル(ピアノ)のルースト盤でスタートし、ソニー・クラーク、ウィントン・ケリーと続け、ヴォリュームを上げて聴いた「Kelly at Midnight」(Vee Jay)に体を揺らしていたのですが、バリー・ハリスを取り上げたことのないのに気付きました。

BARRY HARRIS (バリー・ハリス)
BREAKIN' IT UP (ARGO 1958年録音)

 Brekin_it_up_barry_harris

バリー・ハリス(p)の初リーダー作です。彼は、一般的に地味なピアニストと言われます。確かに、ケリーのようにフレーズが跳躍するわけでもなく、ガーランドのようにブロック・コードを用いるのでもありません。しかし、近い音を連続させることによりアドリブを展開しており、それを飽きさせずに聴かせるのは、たいへんな技だといえましょう。

リバーサイドやプレスティッジレーベルに録音した諸作がよく知られていますが、案外と僕はこの第1作を好んでいます。メンバーは、ハリス(p)、ウィリアム・オースティン(b)、フランク・ガント(ds)。フランク・ガントは、モンティ・アレキサンダー(p)・トリオの一員として来日し、僕はその公演に行ったので親近感があります。

曲は、スタンダードの「All The Things You Are」、「Embraceable You」、「Stranger in Paradise」、チャーリー・パーカー作「Ornithology」、「Passport」、デンジル・ベストの「Allen's Alley」、ハリス自作の「Bluesy」と「Sro」で全8曲。スピードを求められる曲でどんなプレイをしているのか気になるところです。

はじめの「All The Things You Are」のイントロからすぐに引き込まれます。もともと名曲ですが、テンポの設定、メロディの歌わせ方など、ハリスのプレイは哀愁を感じさせます。同じく「Embraceable You」もいいムードで、彼はスタンダードの良さを引き出すのに長けています。テンポが急速な「Allen's Alley」は、息をもつかせぬ早さの指さばきに、大きくとらえていると思われる構成で、短い演奏ながら傑出しているのではないかと。

【モニカ・ボーフォース】

ホームページのヴォーカルに、この頃贔屓にしているモニカ・ボーフォース(Monica Borrfors)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう モニカ・ボーフォース

【自宅(長野市)玄関脇の門松】

 竹が二本揃って兎の耳のように見えなくもありません。

 Jitakukadomatu2011