安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

アル・コーン STANDARDS OF EXCELLENCE

2014-11-19 22:02:05 | テナー・サックス

先週の13日(木)に長野市で開催されたヴォロディーミル・シレンコ指揮キエフ国立交響楽団の公演に行ってきました。久しぶりにオーケストラの響きに触れることができましたが、そのコンサートの感想は別に拙ブログにまとめました。長野県内にはプロの管弦楽団はないので、東京などへ出かける必要がある中、こういう公演はありがたいです。比較的近くだと、高崎市に群馬交響楽団があるので、一度聴きに行くつもりです。「Russian Lullaby」(ロシアの子守唄)が入ったアルバムを聴いてみます。

AL COHN (アル・コーン)
STANDARDS OF EXCELLENCE (CONCORD 1983年録音)

   

「Russian Lullaby」は、アーヴィング・バーリンが1927年に作詞作曲した歌です。バーリンは、シベリアの出身で幼いころ(2歳~4歳)に家族でニューヨークへ移住したので、おそらく出身地のことは覚えていなかったのではないかと思います。けれども、メランコリックな曲調は、ロシア音楽に通じるものがあります。原曲は、ワルツですが、ワルツでやっているものは少ないようです。

「Russian Lullaby」の演奏は、ヴィック・ディッケンソン(tb)やジョン・コルトレーン(ts)のものが有名ですが、他に僕のもっているヴァージョンだけでも、アル・コーン(ts)、ウラディミール・シャフラノフ(p)、ヤン・ラングレン(p)とあって、近年でも録音がされているのが意外でした。さて、このアルバムのメンバーは、アル・コーン(ts)、ハーブ・エリス(g)、モンティ・バドウィック(b)、ジミー・スミス(ds)。

曲は、タイトルどおりスタンダードです。「Russian Lullaby」(ロシアの子守唄)、「When Your Lover Has Gone」、「O Grande Amor」、「You Say You Care」、「I Want To Be Happy」、「Embraceable You」、「I Remember You」、「When Day Is Done」の8曲。ジュール・スタイン=レオ・ロビン作「You Say You Care」と、ロバート・カッシューが1924年に作った「When Day Is Done」は、スタンダードとはいっても珍しい。

ハーブ・エリスの参加を得て、アル・コーンがメリハリをつけながらよくスイングしています。 「Russian Lullaby」は、コーン(ts)が、豊かなトーンで吹き始め、哀愁漂う曲想にそったプレイをしています。急速調の「I Want To Be Happy」は、コーンのドライブの素晴らしさが味わえ、エリス(g)との絡み合いもスリリング。「O Grande Amor」は、ゲッツやズートのボサノヴァに負けず劣らず、スムーズで心地よい出来具合です。アル・コーンは、「アル&ズート」のもので聴くことが多いですが、ワンホーンのこれは欠かせません。

【クラシック情報誌 ぶらあぼ11月号】

コンサート会場などで無料で配布されています。毎号いただいてきて読んでいますが、音楽家のインタビュー、国内や海外のコンサート情報、テレビのクラシック放映情報などクラシック関連の情報はこれ一冊あれば充分です。以前この情報誌を掲載したことがありますが、継続して発行されているのがすごい。

      


キエフ国立交響楽団演奏会

2014-11-18 22:03:20 | 演奏会・ライブ

先週の13日(木)に長野市で行われたキエフ国立交響楽団演奏会に行ってきました。ひと月くらい前から、たまにはオーケストラを聴きたいと思いながらどうしようかと逡巡していたのです。それは、指揮者と交響楽団ともに、マイナーで名前を聞いたことがなかったからです。ピアニストのウラジーミル・ミシュクは、チャイコフスキーコンクールで第2位に入り、過去に来日もあって、名前を目にしたことがありました。

当日になって、曲目に惹かれて長野県民文化会館(ホクト文化ホール)に足を運ぶことにしました。演奏の方はあまり期待せずに出かけました。

指揮:ヴォロディーミル・シレンコ
ピアノ:ウラジーミル・ミシュク
管弦楽:キエフ国立交響楽団
会場:長野県民文化会館(ホクト文化ホール)(長野市)

A・ボロディン作曲歌劇「イ―ゴリ公」序曲
チャイコフスキー作曲「ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23」
チャイコフスキー作曲「交響曲第5番 変ホ短調 op.64」

ところが、いい方へ期待が裏切られました。休憩後の「交響曲第5番」は素晴らしい演奏でした。僕はもともと乗りやすい体質ですが、第4楽章は、ダイナミックさに足で拍子をとりながら、手を握って興奮していました。木管、金管も過不足なく、ことによかったのは弦楽器のアンサンブルで、第2楽章のはじめの低弦だけでスタートするところや第3楽章のワルツも細やかな演奏でいい雰囲気でした。ヴォロディーミル・シレンコは無名ながらなかなかいい指揮者のように感じました。

ひどかったのは、「ピアノ協奏曲第1番」です。ピアニストのミシュクに元気がなく、精彩を欠いていました。カデンツァも全然だめで、正直ちょっと期待していただけに、がっかりでした。ピアノのサウンド全体のバランスもよくなく、オーケストラとの調和がとれていませんでした。最初の「イ―ゴリ公」序曲が期待を抱かせる演奏だっただけに、この2曲目にはこけました。

アンコールに2曲も管弦楽曲(曲名はわかりません。)を演奏してくれて、キエフ国立交響楽団はサービス精神もあって、ピアノコンチェルトを除くといいコンサートでした。少々残念だったのは、会場は空席が目立ったことです。平日の夕方とあって、足を運びにくいのは確かでしょうが、クラシックファンは、もう少しはいると思うので、県内全体にPRしたほうがいいかもしれません。

      


リチャード・ウィリアムス NEW HORN IN TOWN

2014-11-16 09:01:21 | トランペット・トロンボーン

先日、諏訪方面に行った際に、茅野市の尖石縄文考古館で、今年、新たに国宝に指定された「仮面の女神」を見てきました。縄文時代後期の仮面表現をもつ土偶で、八ヶ岳山麓の中ヶ原遺跡からの出土です。また、国宝の土偶「縄文のビーナス」も展示してあります。この二つの土偶は、この地に高い縄文文化があったことを強く印象付けるものでした。新たなホーン奏者が紹介されたアルバム。

RICHARD WILLIAMS (リチャード・ウィリアムス)
NEW HORN IN TOWN (CANDID 1960年録音)

      

リチャード・ウィリアムス((tp)は、50年代後半から60年代にかけて、チャールス・ミンガスやジジ・クライス、サド=メル楽団などで活動していました。サイドメンとしての吹き込みは結構ありますが、リーダー作となるとこの一枚しかないのが残念です。ウィリアムスの音色は成熟した美しいもので、ソロ・フレーズも長めで分かり易いものです。そんなとこから、クリフォード・ブラウンとともに、ジョー・ワイルダーもちょっと想いおこします。

メンバーは、リチャード・ウィリアムス(tp)、レオ・ライト(as, fl)、リチャード・ワイアンズ(p)、レジー・ワークマン(b)、ボビー・トーマス(ds)。レオ・ライトが加わり、サウンドにカラフルさが出ています。リチャード・ワイアンズの参加は、嬉しいところで、ウィリアムスと同様、抒情的なところもあるので、この人選はよかった。

曲は、スタンダードとメンバーのオリジナルです。スタンダードが、「I Can Dream, Can't I?」、「Over The Rainbow」(虹の彼方に)、ジャズ・スタンダードの「I Remember Clifford」(クリフォードの想いで)。ウィリアムス作が3曲で、「Raucous Notes」、「Blues in a Quandary」、「Renita's Bounce」、ワイアンズ作「Ferris Wheel」の全7曲。ウィリアムス作が3曲もあって、意欲が感じられます。

穏やかで中庸をいく、美しい演奏を楽しむことができます。「I Remember Clifford」は、しみじみとした情感が出ていて、なかなかの名演だと思います。また、「I Can Dream, Can't I」では、ワイアンズ(p)の印象的なソロも入り、心地よく聴けます。オリジナルの中では、アップテンポの「Raucous Notes」が、レオ・ライト(as)、ウィリアムス(tp)が伸び伸びとしたプレイをしています。

【尖石縄文考古館】

住所:長野県茅野市豊平4734-132
電話:0266-76-2270
ホームページ:茅野市ホームページ:尖石縄文考古館

       

考古館の入り口

      

考古館の左手に、国宝誕生の横断幕がありました。

   

縄文考古館の前庭です。木立がきれいだったので撮りました。    

            

左は、縄文のビーナス、右は仮面のビーナス。本物も撮影したのですが、ケースに入っていて反射したものも写ってしまい大失敗でした。これは、パンフレットからのコピーです。


飯縄山、瑪瑙山 (長野市) 

2014-11-14 22:37:50 | 登山・ハイキング

先週の11月8日(土)、飯縄山登山に連れて行ってもらいました。4人で出かけたのですが、ド素人は僕だけで、あとの3人はベテランです。リーダーのSさんが、登山計画から当日のコーディネートまでをしてくれました。初心者コースだそうですが、行程は次のとおりでした。僕に合わせて、ゆっくりと歩き、休憩をたびたびとったので、かなり時間がかかっています。天気がよく、眺望も効いて、最高でした。

【行 程】(時間はアバウトです。)

長野市内を2台の車で出発 8:00

戸隠中社の神告げ温泉駐車場に行き、1台をそこに駐車して、もう1台に全員乗って引き返し、一の鳥居苑地の駐車場に駐車。登山靴に履き替えるなど準備。

山登り開始  09:07  
飯縄山山頂 11:36ー12:07    
瑪瑙山山頂 13:21ー13:50  
戸隠中社神告げ温泉駐車場 15:20

温泉入浴 15:20ー16:20
蕎麦屋「横大門」 16:20ー16:50 
長野市内自宅着 18:00            

【飯縄登山口~飯縄山頂】

      

歩きだして間もなく、真ん中あたりに山頂が見えます。遠そう。

   

11番目の石仏がある「駒つなぎの場」です。頂上までほぼ半分の地点のようです。もちろん休憩をとりました。

       

飯縄山は、神社がある信仰の山です。登山道には、13の石仏があります。これは第8 観音菩薩です。山頂に行くにしたがい、番号が若くなります。 

         

途中からの景色。僕にはよく分らなかったのですが、八ヶ岳や富士山が見えたようです。右下は飯縄高原の大座法師池。雲海も見えます。

       

山頂(1917.4m)の道標。山頂は意外に風が強く吹いていて、持って行ったダウンパーカーを着こみました。ここで、軽食をとりました。

     

山頂には、登山者が十数人いました。僕らが登る途中、下ってくる人も結構いたので、この時期でも登る人は多いようです。

   

飯縄山頂から北アルプス方面

   

飯縄山頂から北アルプス方面拡大。戸隠連峰も見えます。

 

 【飯縄山~瑪瑙山~戸隠中社 神告げ温泉】

飯縄山に着いて、やれやれだったのですが、しばし休憩後、瑪瑙山に向かいました。飯縄山からの急な下りと、瑪瑙山頂への急な登りで、少しハードでした。

   

飯縄山から下ってくる道の途中で撮影したものです。こちらのコースも眺望がよいです。

   

向かって右手の方を撮影しました。遠くに見える右端の山は、黒姫山です。

   

降りてきて途中岩がでているところから、瑪瑙山への道をとりました。途中は快適なのですが、最後は登りになります。

      

瑪瑙山山頂(1748m)の道標です。風が吹いていなかったので、お湯を沸かして紅茶などを飲みました。正確には、飲ませていただきました。午後に入っても天候に恵まれ、風もほとんどなく、初心者にはありがたい日でした。

   

戸隠スキー場のリフトが見えますが、ゲレンデの最上部です。瑪瑙山山頂は、同スキー場の上になります。後方は戸隠連峰。

   

瑪瑙山から下山開始です。最も遠くに見えるのは、北アルプスです。

   

戸隠スキー場のコース内を降りているところです。

       

神告げ温泉に到着。入浴して、そのあと、近くの「横大門」で、お蕎麦をいただいて、長野市へ向かいました。

眺望の素晴らしさに加え、温泉と蕎麦もあり、楽しい一日でした。Sさんはじめ連れて行っていただいた3人に感謝です。今年はおしまいで、来年の春に妙高山に登ろうという話も出ています。冬の間に、少し登山靴に慣れておこうと思います。


ホッド・オブライエン RIDIN' HIGH

2014-11-12 21:50:45 | ピアノ・トリオ

しばらく前になりますが、夕方、松本市内で買い物をしてきました。まず、アリオ松本店内にある「タワーレコード(ミニ)」でCDを2枚購入、次に、中古レコード店の「BEATNIKS」(ビートニクス)に寄り初めて買い物をしました。ジャズの在庫は少ないのですが、それでも、LP1枚とCD1枚を購入。そして、ジャズ喫茶「エオンタ」で珈琲を飲んで休憩し、駅前に戻り、丸善書店で本を2冊。CDや本は通信販売の利用も多いですが、街歩きも兼ねて、地元のお店もたまに利用します。品物を手にとって見ることができるのは嬉しい。ビートニクスで購入したCD。

HOD O'BRIEN (ホッド・オブライエン)
RIDIN' HIGH (Reservoir 1990年録音)

   

ピアノ好きな人にはおなじみのReservoir(レザボア)レーベルですが、その中でも知られたアルバムです。ホッド・オブライエンの代表作ともいえるもので、おもちの方が多いのではないでしょうか。オブライエンは、1936年生まれで、ピアノのプレイは、バド・パウエルやトミー・フラナガン、バリー・ハリスから影響を受けたようです。既にベテランといっていい時期の録音です。

メンバーは、ホッド・オブライエン(p)、レイ・ドラモンド(b)、ケニー・ワシントン(ds)。バップ曲を演奏するのに、最適なメンバーが集まっていて、どっしりとしたドラモンドのベース、曲により手数の多い派手なワシントンのドラムスといい、重量級です。録音は、ルディ・ヴァン・ゲルダーで、ブルーノート・レーベル並の迫力がある音のような気がします。そのせいか、このCDを自室で聴いていると、家人から苦情がきます。

曲は、スタンダードとオブライエンの自作、ジャズ・オリジナルです。スタンダードが、「Ridin' High」、「There's No You」、「You and The Night and The Music」(あなたと夜と音楽と)、「Summer NIght」、「Willow Weep For Me」(柳よ泣いておくれ)、オブライエン作が、「Portrait of Stephanie」、「Joop's Lope」、「Nathalie」の3曲、そして、ジジ・グライス作「Up In Quincy's Room」と、パーカーの「Yardbird Suite」の全10曲。それぞれ長めで、トータルの演奏時間は、67分です、

ピアノ中心ながら3人がかなり絡んだ、溌剌としたピアノ・トリオの演奏が楽しめます。「Ridin' High」は、うきうきした曲想ですが、オブライエン(p)は、テーマをブロックコードを使って流麗に、ソロはシングルトーンでメリハリをつけています。オブライエン自作の「Portrait of Stephanie」も、冒頭から躍動感一杯で、ドラモンド(b)の雄弁なソロも入ります。「You and The Night and The Music」は、抑えたテーマの後、オブライエンの急速フレーズによるソロが気持ちよい。ワシントン(ds)が、パワフルかつ丁寧な伴奏をつけています。

【中古レコード店BEATNIKS】

住所:長野県松本市中央2丁目4-2
電話: 0263-33-2610 (水曜日定休)
お店のホームページ:BEATNIKUS

      

【夕方の松本市内 2014秋】

       

縄手通り。左右に軒を連ねて小規模のお店が並んでいます。

       

千歳橋から、街の真ん中を流れる薄川の上流方面。

       

区画整理によって道は見違えあるように広くなりましたが、かつては狭い路地でした。写りがよくありませんが、向かって右側の鮨店の「蔵」は、変わらぬ営業を続けている老舗です。