安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

黒岩静枝 P.S. I LOVE YOU

2017-10-25 20:00:13 | ヴォーカル(E~K)

気分転換に通勤ルートを変えて、長野駅前のサンルートホテルの1階にある「森乃珈琲店 曇り時々晴れ」に入ってみました。モーニングサービスはやっていませんが、ブレンドが250円とリーズナブルです。店内は、ジャズが小音量で流れ、内装に木が使われていて落ち着きます。「森乃珈琲店」という名前から、札幌の「宮の森珈琲店」を連想し、札幌の歌手を聴きたくなりました。

黒岩静枝 (SUZIE KUROIWA)
P. S. I LOVE YOU (beyond 1994年録音)

   

今年古希を迎えた札幌在住の歌手、黒岩静枝(SUZIE)さんはお元気で、日本中で出演を続けているようです。僕もファンなので、札幌を訪れる度に、黒岩さんがオーナーのジャズクラブ「DAY BY DAY(デイバイデイ)」を訪れています。このアルバムは、その「デイバイデイ」でライブ録音されたものです。

このCDをはじめて見たとき、伴奏陣が豪華で驚きました。日本人歌手で、ジュニア・マンスの伴奏でCDを作った人は他にはいないかもしれません。メンバーは、黒岩静枝(vo)、ジュニア・マンス(p)、ピーター・ワシントン(b)、アルヴィン・クイーン(ds)、藤陵雅裕(as,ss)。なお、黒岩さんは、ジョン・ヒックス(p)の伴奏で歌ったアルバムも出しています。

曲目は、スタンダードです。「P.S. I Love You」、「Wave」、「Crazy He Calls Me」、「Have I Told You Lately That I Love You」、「Tennessee Waltz」、「Small Fry」、「Gift」、「Georgia On My Mind」、「You'd Be So Nice To Come Home To」、「You Belong to Me」、「What A Wonderful World」。「Small Fry」は、ジュニア・マンス・トリオによる演奏です。

黒岩静枝(vo)のソウルフルな歌が楽しめるアルバム。ソウルフルさが、声を張り上げるような、わざとらしさがなくて、実に自然にフレーズや歌声から滲み出ているのが素晴らしい。バラードで、ジュニア・マンス(p)の伴奏も見事な「Crazy He Calls Me」は、一番の聴きものだと思いますが、リズムにのって軽快に歌う「Wave」や「Gift」も楽しさ最高です。後者における藤陵雅裕(ss)のソロもなかなかよい。おなじみの「You'd Be So Nice to Come Home To」は、黒岩静枝が、初めからフェイクして歌っていて、個性的で、ジャジーで一味違ったものになっています。 

【ジュニア・マンスの写真など】

   

【森乃珈琲店 晴れ時々曇り】

住所:長野県長野市南長野末広町1356 NACS末広
電話:026-223-6334
ホームページ:森乃珈琲

入り口

店内。内装には木材が多く使われています。

奥から入り口を見たところ。カウンター席もあります。

絵本の展示

珈琲。しっかりとした味でした。

朝のメニュー表

【札幌 宮の森珈琲店】

 ホームページ:宮の森珈琲公式ページ

実は、群馬県前橋市にも「宮の森珈琲店」があります。通りがかったことはありますが、入ったことはありません。なんらか関係があるのかどうか。


CDプレーヤー購入記(1)【上田市のオーディオ・コアでカタログを入手】

2017-10-24 20:04:19 | オーディオ

CDプレーヤーは、ローテル社製の「ROTEL RCDー06」を使用していますが、それを安曇野市に持っていくので、長野市の自宅用にCDプレーヤーを購入することにしました。ネットであれこれと見てみましたが、カタログを入手し試聴もして決めようと、カタログをもらいに上田市のAUDIO CORE(オーディオ・コア)に行きました。

お店の外観

入口

同店は、製品の展示数が多く、試聴室もあるので、製品の試聴にうってつけです。店長からは「今月末に、パイオニアからCDプレーヤーの新製品「PD-70AE」が発売されますが、よさそうなので是非聴いてみてください」と言われたので、11月に入り同店で試聴する予定です。

アンプやCDプレイヤーの展示

スピーカーの展示。大きなものに加え、サイズの小さなものも置いてあります。

試聴室。各社のトップクラスのオーディオ機器がおいてあります。

購入候補は、Pioneer(パイオニア)PD-70AE、Accuphase(アキュフェーズ)DP-430、DENON(デノン)DCD-X11、DENON(デノン)DCD-2500NE、YAMAHA(ヤマハ)CD-S2100あたりです。 

    

    

もらってきたパンフレットの一部。

こちらのお店にないものは、御茶ノ水のオーディオ・ユニオンで試聴するつもりですが、予算の範囲内で、機械的に扱いやすく、音質的にはなるべく聴き疲れのしないものがほしいと考えています。あれこれと選んでいる時は楽しいですね。


槙島和宏(ts)クインテット+門馬瑠依(vo)ライブ (10月21日 安曇野市いさつ歯科)

2017-10-23 20:04:11 | 演奏会・ライブ

槙島和宏The Quintet+門馬瑠依(vo)のライブが、安曇野市のいさつ歯科医院で行われたので、聴いてきました。クインテット編成のコンボにヴォーカルが入る組み合わせは、なかなか聴く機会がないだけにありがたいです。

(出 演)

槙島和宏(ts)
新間康雄(g)
カツ渡辺(p)
高田博史(b)
結城和弘(ds)
門馬瑠依(vo)

(曲 目)

Everything I Love (コール・ポーター作曲) 
エロール(セロニアス・モンクの曲ですが、タイトルがよく聞き取れませんでした。)
Bouncing with Bud (バド・パウエル)
Lover Come Back To Me~Beens and Boys 【歌】
Hallucinations (バド・パウエル)
Take Five (デイブ・ブルーベック) 【歌】
スーン  (クリスチャン・ヴ―スト) 【歌】

(休憩)

Imagine (ジョン・レノン作)【歌】
Central Park West (ジョン・コルトレーン)
Island Birdy (マッコイ・タイナー)
I'm Beggining to See The Light (デューク・エリントン)【歌】
Nica's Dream (ホレス・シルバー) 【歌】
アイ・ノウ (クリスチャン・ヴ―スト)
シモーネ (フランク・フォスター)
Recorda-Me  (ジョー・ヘンダーソン)
Only Trust Your Heart  (サミー・カーン作詞、ベニー・カーター作曲)【歌】
Route 66 (ボビー・トゥループ) 【歌】 (アンコール曲)

(注)【歌】と表記してある曲が、門馬瑠依の歌が加わったものです。(   )の中はその曲の作曲者名です。

門馬瑠依の話で寛いでいるところです。

(感 想)

僕は初めてでしたが、門馬瑠依が参加した槙島和宏グループのいさつ歯科でのライブは、4回目だそうで、客席もなごみ和気藹々の雰囲気が漂うステージでした。リーダーの槙島和宏さんは、早稲田大学のジャズ研出身のミュージシャンですが、メンバーもその関連の人が多いようです。

器楽演奏は、ジャズオリジナルを新旧いろいろと演奏してくれました。最近のものでは、クリスチャン・ヴ―ストというデンマークのサックス奏者のものを2曲取り上げていて、「スーン」はファンクぽくて乗りやすい曲でした。バド・パウエル作曲の「Bouncing with Bud」と「Hallucinations」が、迫力の感じられるバップらしい演奏で、テナー、ギター、ピアノのソロも生き生きとしていました。

『コルトレーンの曲は難しい』と槙島さんが話してから演奏したバラード「Central Park West」や門馬瑠依が歌った「Imagine」など静かな曲も入れて雰囲気を変えていました。また、テナーサックスが、歌のバックで合いの手を入れたリ、オブリガートをつけたりと、管楽器入りのコンボの良さが出ていました。

門馬瑠依さんの声は低い方も出ていて、アルトだと思いますが、温かな声の質で、非常に聴きやすいものです。5拍子の「Take Five」も難なくこなし、「I'm Beginning to See The Light」や「Route 66」ではスキャット入りで盛り上げていました。初めて聴きましたが、なかなかいい歌手だと思い、会場でCDを購入しました。 

 【門馬瑠依】

北海道出身で、現在は東京で活動し、ジャズクラブへの出演が多く組まれています。

ホームページ:monmarui

    

   

会場で購入したCDで、サインもいただきました。


スコット・ハミルトン LA ROSITA 

2017-10-22 10:05:39 | テナー・サックス

天気がよかったので、昼休みに善光寺近くの古本屋「遊歴書房」まで散歩を兼ねて出かけました。書店名から連想されるように、海外関連のものや歴史関係が多いことに品揃えの特徴があります。立地場所は人通りが少なく、在庫本も地味なものが多いのに、既に6年(2011年6月8日オープン)以上営業を継続されているのは立派です。デビューから長く活躍を続けるミュージシャン。

SCOTT HAMILTON (スコット・ハミルトン)
LA ROSITA (BLAU 2015年録音)

   

甲府ジャズストリートで、スコット・ハミルトン(ts)の演奏を聴いてよかったので、会場で販売されていたCDを購入し、サインももらいました。モダンスイング系の演奏だと想像できますが、ディナ・ディローズ(p)が参加していて、参加ミュージシャンにも興味が湧きます。地中海に面したスペイン東部のビーチリゾート、ベニカシムにおけるライブ録音です。

メンバーは、スコット・ハミルトン(ts)、ディナ・ディローズ(p)、Ignasi Gonzalez(b)、Jo Krause(ds)。ディナ・ディローズは、ニューヨークのピアニスト兼歌手ですが、ここではピアノに専念しています。ベースは地元の人で、ドラムスはドイツからです。ハミルトンが、イタリアを本拠にしているので、ヨーロッパのミュージシャンを含む人選になったのでしょう。

曲目は、タッド・ダメロン作「Lady Bird」と、あとはスタンダードで「Willow Weep For Me」(柳よ泣いておくれ)、「The Girl From Ipanema」(イパネマの娘)、「The Way You Look Tonight」(今宵の君は)、「La Rosita」 の全5曲。「La Rosita」は、コールマン・ホーキンス(ts)の「Meets Ben Webster」(Verve)収録の演奏が知られているエキゾチックな曲です。

寛いで楽しいスコット・ハミルトン(ts)のプレイは、先日の甲府ジャズストリートにおける公演を想い起こさせるものです。甲府でも演奏した「The Way You Look Tonight」では、ハミルトンのプレイは、メリハリもあってズート・シムズ(ts)を連想させ、ディナ・ディローズ(p)もはじける様によくスイングしています。「La Rosita」では、ボレロのリズムに乗り、ゆったりと吹くテナー・サックスの深い音色が素晴らしく、聴き惚れました。印象的なメロディをもっている「Lady Bird」やボサノヴァの「The Girl From Ipanema」と、どの曲からもハミルトンの好調ぶりが伝わってきます。 

【スコット・ハミルトンのサインと裏ジャケット】

   

ライブ終了後にもらったサインです。

   

ポートレートが載っている裏ジャケット。

【遊歴書房と購入した本】

住所:長野県長野市長野東町207−1
電話:026-217-5559
ホームページ:yureki-shobo

   

この建物の中にあります。

   

入口

   

善光寺近くの東町にあります。

   

東町では、古い家屋をリノベーションして飲食店が立地しています。ケーキ屋さんの「華恋」。

   

こちらは、ピザ店の「TIKU(チク)」。人気があってランチは満席でした。

   

購入した本です。カタルーニャ地域出身のジャズミュージシャンでは、テテ・モントリュー(p)やアンドレア・モティス(vo,tp)がいます。また、指揮者の大野和士が、カタルーニャ国立バルセロナ交響楽団の音楽監督を現在務めています。そんなことから、カタルーニャに興味を惹かれて、この本を買ってみました。

   

紀伊国屋書店のことを書いた本です。紀伊国屋書店は、たまに寄るので、興味を惹かれて買ってみました。本日は、新書版の本を2冊購入しました。


紙谷一衛著「人を魅了する演奏」(角川学芸ブックス)

2017-10-20 20:03:57 | 読書

長野市立図書館から「人を魅了する演奏」という本を借りてきました。著者の紙谷一衛さんは、1930年生まれで、46年から斎藤秀雄に指揮法を学び、師の「指揮法教程」執筆に参画。57年東芝EMIに入社し、クラシックなどのレコードを制作し、78年より東京音楽大学指揮科助教授など。70年代より欧米でのコンサートも多数行ったという経歴の方です。

   

欧米の音楽家から「空っぽでナンセンス」といわれる日本の演奏家の演奏をどうしたら変えることができるかという課題に対して、自らの経験から解決策を探っている内容です。著者は、そのようにいわれる理由として次の6点を挙げ詳述しています。

1、ロマン派爛熟期の音楽に接し、音だけでも魅了されたこと
2、レコードの発明とラジオ放送―演奏している場と無関係に音楽が聴けるようになったこと
3、日本人の血のなかのものと異なる、西欧音楽の音階やリズム
4、和音の推移に対する感受性が薄い日本人
5、日本語と西欧の言語の根本的違いー西欧音楽の捉え方の誤り
6、日本人の生活習慣からくる静的・内向的特質が、西欧音楽を表現する際には異質であること

後半では、その対策について音楽教育の重要性が書かれていました。上記のの6点の中で、興味を惹かれたのは、2の「演奏している場と無関係に音楽が聴けること」と、4の「和音の推移に対する感受性が薄い日本人」の2つです。

「演奏している場と無関係に音楽が聴ける」とは、自宅で音楽を楽しめるので、演奏家と聴衆の接触が少なく、演奏家が聴衆に音楽をわかってもらおうとする努力をしないことや、聴衆側はよい音楽に対する反応ができないことが問題点として挙げられています。コンサートに足を運んでもらう努力も必要かもしれません。

「和音の推移に対する感受性が薄い日本人」の章は、説得力がありました。西洋の石造りの家だと音の反響がすごく、残響や音の重なりに関心が自ずと向き、澄んだ響きが求められるというのです。邦楽では、旋律の高低や間に重点が置かれるのに対し、西洋音楽は和音の推移が大事だそうです。

モダンジャズでは、和音の響きが注目されるようになりました。ビル・エヴァンス(p)は、特に響きを重視したミュージシャンですが、出自からも、そういう傾向になったのかもしれません。ヨーロッパのジャズピアニストにエヴァンスのように演奏する人が多いのもこういった点が関係しているのでしょうか。

   

ビル・エヴァンス「Alone」(Fantasy)。これを流しながら本の感想を書いています。

全体を通し、日本の音楽家は、技術的には高くても、世界で通用するようになるのはたいへんなことなのだと、考えさせられました。小澤征爾(指揮)や内田光子(ピアノ)は稀有な例なのでしょう。

   

小澤征爾指揮:ラヴェルのオペラ「子供と魔法」(DECCA)。出演は、Isabel Leonard, Susan Graham, サイトウキネンオーケストラなど。松本市におけるプロダクションで、グラミー賞受賞作です。