ウクライナ戦争はNATO vs ロシアという図式に移行しているようです。トランプさんは第三次世界大戦ではないかと言っているようです。
宮崎さんが報告してくれています。プーチンを一方的に悪と決めつける今回の戦争には何かおかしさを感じて居ましたが、もしかしたらやはり裏があるのじゃないでしょうか。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和四年(2022)6月22日(水曜日) 弐 通巻第7377号
「これではまるで第三次世界大戦ではないのか」(トランプ)。
NATO vs ロシアという図式に移行している
ピーター・サンダーズ英陸軍大将はウクライナ戦争の見通しに関して「長期戦」を予測しており、「ロシア軍が近代兵器と 機甲 化部隊投入の前にウクライナの戦力を強化する必要があり、NATOは動員態勢と近代化準備を迅速に、ロシアより早くに進めな ければならない。陸戦でロシア軍を駆逐するには長い時間を要し、状況は1941年と似てきた」。
つまり西側はウクライナが勝てるように武器供与を急げと言っていることになる。これではまるで第三次世界大戦である。
トランプ前大統領はニューズマックス番組に出演してこう言った(6月20日)。
「わたしなら戦争は起きていなかった。バイデンがやっていることは狂っている。私の政権では、ウクライナへ3億 9100万 ドルの武器供与をなしたが、これはウクライナが返済可能な範囲だった」。
バイデンのウクライナへの武器、人道支援は330億ドル。トランプの100倍!!
英国のウクライナ援助は軍事面で13億ポンド、人道援助が28億ポンドにのぼっている。1ポンド=168年で計算すれ ば、 合計6800億円強になる。なにしろ英国のはりきりようはジョンソン首相が二回もキエフへ飛んで、ゼレンスキー大統領に発破 をかけていることからも了解できる。
戦前の状況に酷似していないか。
チャーチルはあらゆる手を講じて、とうとうルーズベルトを第二次世界大戦に巻き込んだように。英国のジョンブル精神とは 前向 きに「不屈の精神」などと解釈されることが多いが、誤解を懼れずにいえば、粗忽で乱暴な紳士道ではないだろうか?
フォークランドをアルゼンチン軍が突如占領したとき、サッチャーはすぐに軍艦派遣を決めた。閣内には反対、あるいは慎重 論が 多く、時の米国はヘイグ国務長官が、ロンドンとアルゼンチンを往復して調停を試みた。サッチャーからヘイグは軽くあしらわれ た。ロンドンの閣議では「この内閣に『男』はいないのね」と言った。
▲サッチャーは「この内閣に『男』はいないのね」と言った。
独仏伊の三国首脳も雁首をそろえて列車でキエフに赴き、さらなる軍事援助を約束した。
ストルテンベルグNATO事務総長も呼応するかのように「エネルギー、食糧の逼迫と価格上昇も問題だが、これは時間と の闘 いである」と発言している。
欧州はそろってタカ派に変貌したかに見えた。フランスはマクロン惨敗の結果、ウクライナ政策に変化の兆しがある。
なにしろドイツは初期段階では軍事支援をためらったため批判が多かった。その後、シュルツ政権は姿勢を改め、高度な武 器支 援に踏み切った。
その中味は多連装ロケットシステム「MARS」、砲兵検出レーダー「コブラ」の他、スティンガー・ミサイル500基、自 走榴 弾砲7門、1・5万個の対戦車地雷。10万発の手榴弾、走行車両ならびに暗視ゴーグルなど、かなり実務的な兵器である。
なかでもロシアが集中し、ドローンで索敵して破壊しているのが、この155ミリ榴弾砲。6月21日にも運搬中の15門が 破壊 された。
バルト三国も間接的参戦である。
エストニアは6月21日、ロシア軍ヘリコプターの領空侵犯に厳重に抗議した。『ロシアへ周辺国に軍事的脅威をあたえてい る』 と。
エストニアにはまだ人口の二割近くがロシア人であり、世界初のスマホ投票はロシアのハッカー部隊にさんざん妨害された。
リトアニアはロシアから領内を経由する鉄道とハイウェイによるカリニングラードへの物資輸送をバリケードした。「これは リト アニア一国の措置ではなくEUが決めた制裁品目が含まれているための『規制強化』の実施であって、『戦争行為』ではない」と した。
プーチン側近のパトロシェフ安全保障会議書記は「必ずやロシアは深甚な報復をする」と息まいたものの、具体的な行為反応 は6 月22日時点でまだない。
ところがリトアニアの鉄道輸送停止は効果覿面で、カリニングラードでは建材価格が70%高騰、食品が12%、GDPはマ イナ ス6%予測となった。名産の家具生産は20%激減。カリニングラードの合弁自動車メーカー「アドトトル」(現代、紀亜、 BMWの合弁)は21年度に販売実績17万台。EUの制裁により合弁からBMQがおりた。
こうなるとNATO vs ロシアという図式に移行しているのが現在のウクライナ戦争の実態になる。
オルデガ・イ・ガセットの箴言を思い浮かべる。
「ヨーロッパ社会において最も重要な事実」とは「大衆が完全な社会的権力の座に登った」ことである。(中略)「この事 実 は、ヨーロッパが今日、民族や文化が遭遇しうる最大の危機に直面していることを意味している」(オルテガ・イ・ガセット『大 衆の反逆』、神吉敬三訳。ちくま文庫)。
やはり、この戦争の裏には何かありそうです。本当に第三次世界大戦は始まっているのかも。
今年の年末はどうなっているのやら。もしかしたら来年は本当に来なかったりして。